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赤き日  作者: 溶接作業
20/25

狂気

 敵はいつの間にか走ることをやめ、血に濡れた味方を眺めている。すると、ザザンは我慢できなくなったのか、突撃を再度始めた。


 敵は恐怖に顔を引きつっている。ニッケランの方からは見えないが、ザザンは鬼のような顔で敵に迫っているのだろう。


 想像すると、妙に緊張し、拳に力が入る。


 すると、ハーフソードを持った男が半狂乱状態で突撃し、剣を無茶苦茶に振り回した。

 ザザンは一瞬戸惑ったように固まったが、上手く軌道を見切り、盾でそれを吹き飛ばす。


 あまりの勢いに敵は剣に引っ張られるように仰け反り、ザザンが剣先を男に向けた。


 敵は咄嗟に手を前に突き出した。考えたのではなく反射で出てしまったようで、後で露骨に焦った顔を見せる。


 しかし、時すでに遅し。


 グラディウスは敵の腹を裂くことは叶わなかったが、手を切り捨てることに成功した。


 ハーフソードの男は勢いのまま倒れ込んだが、剣を放り投げ、切り落とされた手を庇うように丸まり、低く唸っている。


「お前は最後だ」


 ハーフソードの男にザザンは低い声を放つと、残りの二人に剣を向ける。


 その剣は血に濡れ、太陽の光を浴び、妙に輝いて見えた。まるで、生き血を啜れたことを喜んでいるようだ。


 すると二人の兵士は斧を地面に放り投げ、跪き、命乞いを始めた。


「た、頼む、助けてくれ…捕虜になるからさぁ」


 一人の兵士が甘えるような声でザザンを見上げる。

 もう一人はそれに首がおかしくなるような勢いで頷いている。


「そうだなぁ…」


 ザザンは徐々に二人の兵士に近づいて行った。二人は距離が近くなればなるほど青ざめていく。


 するとザザンが一人に思い切り蹴りを入れた。

 蹴りを入れられた男は吹き飛び鼻から血を流し、口からは泡が溢れ出てきている。


「ま、待て、ザザン!」


 ニッケランは一瞬遅れて駆け出した。

 ザザンには聞こえていないようで、もう一人の兵士の方を向いたまま微動だにしていない。


 しかし、それは束の間の出来事に過ぎなかった。

 

 突然、その男にも蹴りをお見舞いしたかと思うと、馬乗りになり、グラディウスを兵士の方へ移動させた。


 覆いかぶさり、何をしているのか分からない。


 しかし、ニッケランはなんとなく何をしているのか分かっていた。


 なにせ、敵はザザンが手を動かすたびに激しく暴れ、この世のものとは思えない悲痛な叫びをあげている。


 手を庇いうずくまっている敵を通り過ぎ、ニッケランはザザンの肩を掴み思い切り揺さぶる。


「おい、何してるんだ!」


 走った息を整えようと一気に空気を吸うと、途端に吐き出してしまった。


 濃い血の匂いがする。


 恐る恐るザザンが何をしているのか覗いてみると、グラディウスで敵の顔の皮や肉を削いでいた。


「っ!」


 言葉にならないものをニッケランは吐き出し、目を背ける。


 昔に見た拷問された兵士の顔を思い出し、気分が悪くなった。しかし、使命感に駆られ慌ててザザンの顔を覗く。


 笑っている。しかし、目は虚ろな感じだ。


「おい、しっかりしろ!」


 肩を揺らし、目の上で手をバタバタと動かしてみるが反応がない。


 仕方なく、ニッケランはザザンの顔を殴りつけた。


 一瞬殺意に満ちた鬼のような顔を見せたが、誰かを認識するやいなや、驚いた顔を見せる。


「なんで俺を殴ったんだよ!」


最後までお付き合いいただき感謝いたします。

評価やコメントをいただけると、物語をより良くしていく大きなヒントになります。

ぜひ皆さまの声をお聞かせください!

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