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おせち作りで白金塊と金塊が…

 クリスマスパーティーの一件以来、みーちゃんさんは元気を取り戻し、顔色も良くなって少しふっくらした。私たちはその姿に安堵した。何でも推し活なるものが新たに出来たそうで、その活動とバイトを精力的にこなしているらしい。何を推し活してるのかは、まだ教えてもらえてないけれど、イキイキとなる活力を見つける事が出来たのは良かった。


 そんな楽しいクリスマスが終わったと思っていたら、すぐにお正月がやって来ていた。今日はおせち作りのために、アネやんと買い物に来ている。オリさんとジィジが年末まで仕事で忙しいから、今年は二人でおせちを作ろうかという事になった。


「アネやーん! 見て見てぇー!! 伊勢エビッッ」


「まぁー立派ね! でもね、絲。これは買わないわよッ?!」


「えぇー! なんで、なんでぇー?」


「伊勢エビなんて買う余裕はないわよッ」


「なんでよ! オリさんとジィジから預かったお金があるんだから大丈夫だよ! これ入れると豪華だでぇ?」


「おバカちんッ!! 伊勢エビだけで飛んでいっちゃうわよ! あのね、おせちは豪華にするもんじゃないのよ。それぞれのお料理に意味があって、それを詰めていくのよ」


「そうなんッ!? おせちの中身って、普段食べられない豪華な物を詰めていって縁起良くするものじゃないの?」


「違うわよ。重箱に詰める意味もあるし、今は三段重が一般的になってて、昔は五段あったのよ。それぞれの料理にも意味があって、例えば黒豆は黒くなるまで、要は日焼けするまで黒く働くなんて勤勉さや健康を願う意味があったり、たたきごぼうは健康や豊作の象徴で開運を招くと言われているわ」


「ほぇー……」


「それより絲! 数の子は!? ちゃんと探してんの?!」


「あ、そうだった……数の子、数の子……」


「まったく、もうー……」


 それからアネやんの説教も時々混ざりながらおせち料理の蘊蓄(うんちく)と、値段が高いという愚痴を聞きながら食材を揃えていったのだった。


「ふぅー……これで全部かしら?」


「あ、あとは、さっき高くて断念した……」


「絲ー! アネやーん!!」


「吉乃!」

「吉乃っち!」


「二人でお買い物?」


「そうだよー。おせち料理の材料を買いに来てたの。吉乃は?」


「私はお母さんの荷物持ちで……」

 そう言いかけたところに、

 

「あら♪ 絲ちゃんと琉偉くんじゃない!」


「あ、こんにちは! 吉乃ママ、この前はお邪魔しました! ありがとうございました!!」

「みんなで楽しいクリスマスパーティーが出来て、とても楽しかったです。ありがとうございました」


 私たちはそれぞれお礼を述べたのだった。


「どう致しまして! 私も時々楽しい声が漏れ聞こえてきて……ふふっ。私も奏介くんの声に笑っちゃったわ。こんなに楽しいクリスマスを過ごせたのはみんなのお陰よ。これからもよろしくね。仲良くしてやってね」


「はい!」

「勿論です!!」


「もー……お母さんてば、またそんなことを……。ところで、二人はこれからもまだ買うものがあるの?」


「そうなの。栗きんとんに使う栗の甘露煮が買えてなくて。見て回ってたんだけど、全部値段が高くてさぁ……」


 それを聞いた吉乃ママが、

「あら。栗の甘露煮なら、この先にあるスーパーがお値段も抑えられてて良かったと思うわよ? 行ってみた?」


「そうなんですか!?」


 吉乃ママの言葉を聞いて吉乃も、

「そうだったよね! 金色でツヤツヤしてたし、国産なのにお値段も普通くらいだったから、私も良いと思ったよ」


「なぬッ!? 吉乃ママ、ありがとうございます。行ってみます! 吉乃もナイスな情報をありがとうー」


「どう致しまして! じゃあ、二人ともまたね!」


「うん、ありがとう! 吉乃、またね! 良いお年を!」

「吉乃っち、またね! 吉乃ママもありがとうございます。良いお年をお迎えください」


「絲ちゃんも琉偉くんも良い年を迎えてね。またね」


「「はい!」」


 年末のご挨拶をして、私たちは教えてもらったスーパーへとダッシュしたのだった。残り二瓶、セーフ! これで明日のおせち作りの準備は整ったのだった。


◆◆◆次の日◆◆◆

 本日は三谷家でおせち料理をつくっ……

 

「絲ッー!! まめッ、黒豆ーッッ!!」


「ん? あッッ!! ギャァアアーッ!!」


「あれほど目を離すなって言ってただろーがッ!!」


「だって……だって……」


「だってじゃねーよッ! お前っ、コレッ……何で中火でやってんだよッッ!!」


「……エヘッ。それはね、早く煮詰めるかなぁーって……」


「はぁー……。皮にシワがよってんじゃねーか。あ、でもギリセーフなやつもあるか……。仕方ねーなー」


「ご、ごめんちょ? トコトコ見つめるのも暇だったから、時間もあるし、ちょっと進めてるゲームしようかなーって。そしたらフィーバータイムが来てしまってですな……」


「スマホをしまえ……」


 アネやんの目がギラリと光った。


「ヒぇッ?! ……し、しまいますッッ、ごめんなちゃい……」


 お察しの通り、おせち料理の殆どはアネやんがしてくれていて、私は材料を切る係と黒豆を煮ている鍋を見つめる(・・・・)係だったのだけど、材料を切り終えて手持ち無沙汰になったから、少しだけスマホゲームを進めようとしていたのだった。


「ア、アネやん、本当にごめんよ? 悪気はなかったんだ? 時間があったし、お正月イベントになってたから、少ぉしだけ進めようかなぁって……」


「……」


「む、無言はやめてケロ?」


「……」


「いつもはこんなんじゃッ、こんなんじゃないのッ!! ちょっと魔がさしたのッッ」


「しょっ中、魔がさしてんじゃねーかッッ!!」


「しょっ中じゃないもんッ! 時々だもん!!」


「変わらねぇーわッッ!! おっ? 味は戻ったな」


「えっ!? 本当?? ありがとう!!」


「ありがとうじゃねーんだわ。手間取らせた分、どうしてくれんだよ? 俺もその正月イベントやりてぇのに出来ない、そして遅くなるこの状況にイライラMAXなんだけどねッッ!?」


「ア、アネやん、アネやん! 白金塊が前に欲しいって言ってたよね? ね? コレで怒りを鎮めてくれないかのぉ?」


「……じゃあ、金塊もつけてくれたら許す」


「ええ!? 金塊も?? 採掘から鋳造(ちょうぞう)して貯めていたのに!?」


「金塊2個で♪」


「2個もッ!? そ、それは業突く張りなんじゃ……。あ、それじゃ……」


「その他の交換条件は受け付けておりませんッッ!!」


「ぬぐぐぅ……。分かったヨォ……」


「やった♪ これで鋳物(いもの)工場の作業レベルがアップするわ。ありがとうね、絲! 持つべきものは駄犬よね」


「うっさいわ! 駄犬じゃないしッッ!! ったく、もう。アッキーじゃあるまいし……ブツブツ……」


「あ? なんか文句あんの??」


「な、何もありませんッッ! すいやせんっしたァアアー」


 そうふざけて謝りながらもアネやんの口調が戻った事に安堵した私だった。アネやんの最終激オコ進化形態は非常にマズい事になると熟知しているから、いつも直前でストップ出来ているッ! ……はず。


 アネやんは昔、オカマとか男女とかその優しい口調を揶揄われていた事があったらしい。だけど、激オコしだすと口調は変わるし、怖い男性の部分が垣間見える時がある。私は時々だけど、身をもって経験をしているから、よく分かっている……つもりだけど、ヤッちまうんだな、これが。

 そして、その激オコする事で小学校の時は手のつけられない暴れん坊で問題児だったと、同級生の風の噂でチラッと聞いた事があった。

 中学生になる前には落ち着いたらしいけど、暴れん坊で問題児のアネやんって想像つかない。何でその口調になったのかも聞いた事がないけど、きっと伽耶ちゃんが関係しているのだろうと私は勝手に思っていた。

 

 それからスムーズにおせち作りは進み、夕方には重箱に入れ終えて、私はアネやんにお礼と、ゲームで貯めていた白金塊、金塊2個を泣く泣く手離して、三谷家を後にしたのだった。アネやんはめっちゃ笑顔でお見送りしてくれたけどね。その精錬、全部で8時間掛かったんだけどなぁ……。また精錬するかー……。

不定期の更新となっておりますが、お読み頂きありがとうございます┏○))ペコリ


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