71、意義や価値など上辺では判らないもの
※ 夢、あります。ご注意ください。
形式ばった晩餐会を嫌がるシェーカーたち親子も交えた気取らない夕食は、慣れてくると普通に話が弾み、リルルたちは食事をしながら彼らが今日どこでどういったものを見たかといった話を興味深く聞いていた。
シェーカーは意外と社交的な性格なようで、父や姉のラウラが質問しても丁寧に答えてくれていた。今日は王都の港にある食糧庫の見学をして、自治州のコーヒー豆の流通経路の説明を受けたらしかった。
「何が一番印象深かったですか?」
「そうですね、今日見た中で一番印象的だったのは、コーヒー豆の袋です。」
コーヒーの試飲会を開く前の段階で、既にいくつかの商会が名乗りを上げている状態だった。コーヒーを取り扱う予定のある貴族には、あらかじめ、見本としてコーヒー豆の袋や販売計画書を王城に提出するように取り決めてあった。
「意外ですね、どうしてですか?」
ラウラが質問すると、シャーカーは「子鹿です、」と微笑んだ。
「私たちの州の神話には、小鹿が私たちの始祖を神聖な泉へと導いたという逸話があるのです。その小鹿を、誤って射殺さないように首に赤いリボンを付け、目印にしたという誓いもあります。その話は私たちも忘れがちでもう老人しか知らないはずのことなのに、この国の人は知っていて、私たちよりも私たちの文化を理解しているのだと感心しました。」
まさかリルルの夢の中で見た、食べそうになった子鹿だとは言えずに、リルルは黙って夕食を続けた。
「ほほう、感心ですか。神獣を商品に使ったりして、お嫌ではありませんか?」
父が念のために尋ねると、シャーカーは首を振った。チェニーも小さく首を振っている。
「神聖なものですから、私たちの大事なものだと伝わるようで嬉しいです。私たちのコーヒー豆は、この国の人にとっては、私たちの神獣のように大切なものとなるでしょう。とても素晴らしいことだと思います。」
つくづく価値観が違うのだなあとリルルは思った。そんな大切な小鹿だとは思っていなかっただけに、描いたのは自分だと言えなくなってしまっていた。
「可能なら、あの絵を描いた人にお会いしてお礼を申し上げたいですね。私たちも忘れていたような神獣を、思い出させてくれてありがとうと伝えたいです。」
なんとなく事態を察した様子な父と姉は、気まずそうなリルルをちらりと見てから、「描いた者もそのようなこととは思ってはいなかった偶然だと思います。お気持ちだけでありがたいです。グロケット公爵領の者でしょうから、私の方で、お礼を伝えておきましょう、」と話を締めくくった。
「グロケット公爵領の…。そうですか、では、何かの機会があれば何かお礼をしたいですね。」
優しい眼差しで微笑んだシェーカーに、チェニーもクリスも嬉しそうに微笑んでいた。
※ ※ ※
リルルは案の定、部屋に帰ってから父に執務室に来るように呼ばれた。部屋にはすでに姉のラウラの姿もあった。執務机の前のソファアに座る父の傍に寄り添って立っている。
「リルル、そこに座りなさい。」
父が座る前のソファアに座るように勧められると、リルルは項垂れながら座った。傍に父も姉も寄ってきて、リルルを囲むようにしてソファアに座り直した。
「グロケット領のコーヒー豆の袋の絵を描いたのは、リルルだね?」
リルルの手を握って、ラウラはリルルを見つめている。
「…そうです。」
「夢の中の小鹿、だね?」
「…そうです。まさか、そんないわれのある赤いリボンだとは思わなくて、そのまま描いてしまい、色も再現してもらいました。」
「私もあの図案を見た時、コーヒーの苗を前にしているしとても素晴らしいと思ったけれど、まさかリルルが描いたとは思わなかったよ。」
無言で項垂れるリルルに、ラウラは静かに言った。
「…あの人たちは私たちとはちょっと違うって、リルルも気が付いたでしょう?」
「はい、チェニーと話をしていて色々とびっくりしてますから…。」
「例えば、どんな?」
リルルはチェニーが勝った・負けたの世界で生きていること、負けた者が先に名乗るということ、クリスとの婚約の感想など、チェニーと話した内容をできるだけ丁寧に再現して説明した。もちろん、リルルについての評価も、言いたくなかったけれど、伝えた。
話を聞き終えた父と姉は目を丸くして、「それならなおのこと、」と父は呟いた。
「リルル、自重するのだよ? 婚約したからにはチェニーはこの先、クリスと深く関わるようになるだろう。リルルが時見の巫女だとクリスは知らない。私たちが伝える必要がないと判断しているからね。他家へ婿養子に出るクリスにとって、不必要な情報だ。シェーカーは、リルルがそのような者だと知ると、リルルを殺すだろう。」
「どうしてですか?」
「あの州は、神の使いは王だけだと決まっている。時見の巫女は神の使いだ。今の王はシェーカーで、次代の王はチェニーと決まっているのに、リルルは必要ないだろう。」
リルルはあまりの衝撃に言葉を失った。
「絵を描くだけなら偶然のことと言えるが、時見の巫女が見た夢のお告げだと判ると、話が変わってくる。」
ラウラは顔の表情を引き締めて、リルルを見つめた。
「私は、リルルを守るわ。私の時見の巫女です。手を出させたりはしません。リルル、必要とあれば、早目にオルフェス侯爵家に逃げなさい。お城がいつも安全とは限らないでしょう? わかりましたね?」
「どうして、ティンクのところなのですか?」
「あの者はあなたの特別なのでしょう? オルフェス侯爵家のティンカードの夢枕に立つことが出来るのなら、もう決まったようなものでしょう?」
ティンカードならリルルを降嫁させるとき、自分は女王になっていると確信していた。女王である自分の直属の臣下となる二人には、理由を付けて王城から出さないように干渉することが出来る。王城のすぐ近くの騎士団の宿舎の近くに屋敷を作らせてそこに住ませてもいい。ラウラはそんな計画を立てていた。
「…まだ決まってはいません。」
「どうして?」
リルルをじっとラウラは見つめる。悪いようにはしないわよ、と言いそうになってしまうけれど、我慢する。
「どうしても、です。」
リルルは唇を噛んで、俯いた。ミーシャを手放すのは嫌だわ。婚約するだけにあんなに時間をかけた相手だもの、きっと今手放したらもう二度と婚約者にはなってくれないと思う。
「…わかりました。まだその時が来たわけではないのなら、それでいいとしましょう。でも、気を付けるのですよ? あの者たちはまだ滞在します。クリスは弟ですが、情報を漏らしていい存在ではありません。わかりましたね?」
「ラウラお姉さま、しかと心得ました。」
神妙な顔をしてリルルが項垂れていると、父は溜め息をつきながら言った。ラウラの提案は悪くはないけれど早急すぎると感じていた。
「トリュフの件だが、悔しいだろうが何もしてはいけないよ、リルル。」
「どうしてですか? 少し…、悔しいというより、悲しいです。」
リルルが買い占めているから高いのではなく、リルルの領地が産地なだけで、異国でも売るため全体量がないから高いのだと説明して歩きたいわと、リルルは思った。
父はにっこりと笑った。
「あの、いいものが好きな王女のリルル様が買い占めてしまいたいと思われる程美味しい食べ物だと、誰もが印象付けるだろう? その方が高いままでよく売れると私は思うよ?」
リルルは姉のラウラが代わりに市井に降りる公務に出たり、クリスがリルルが学校へ行っている間に慰問といった公務を肩代わりをしていることは知らないのだから当たり前だろう、とヨハネスは思う。
ヨハネスが何も言わないまま割り振りを変えているということにも、リルルは気が付いてはいない。だから、いいものばかりを食べていいものばかり見ているわがままな王女様と、慈善的な意味合いのある公務を行わないことを揶揄われているのだとも気が付いてはいないのだろう。
ヨハネスはそれでいいと思っていた。民と混じることで本来縁のない、必要のない病を貰うこともある。心のない噂を耳にすることもある。どうしようもない願望を強請られたり、無責任な意見に振り回されることもあるだろう。ラウラやクリスが統治者として耳を傾ければいいようなことを、リルルに聞かせたいとは思わない。
目をぱちくりしたリルルに、ラウラも微笑んだ。
「リルルはいいものが好きな王女だと認識されているのなら、ちょうどいいと私は思うわ。いい宣伝になるでしょう。トリュフが売れなければ、あなたの領地の領民は益が得られないのだもの。それくらい泥を被りなさい。」
「そうですね。そう言われてみればそうです。これが領主のお仕事というものなのですね。」
いい面だけではなく、こういう矢面に立つのも仕事なのだろう。
納得した様子のリルルに、ヨハネスは上手くラウラが納めてくれたとホッとする。
「ああ、そうだ。リルルが自分で言った、『好きな人が平和に生きていけるように、何が出来るのか、できないのは何か、どうしたら出来るように変わっていけるのかに取り組むこと』は、領民の為にリルルが何が出来るか、だろう?」
「私も、国民の為ならどんな悪役だって厭わないつもりよ? コニール様や、お父さま、リルル、あなたが私を支えてくれるのなら、それでいいもの。」
ラウラは曇りのない瞳でリルルを見つめた。
「私の為に長生きして、リルル。私の為に生きるの。わかった?」
お姉さまは時々とんでもないけど、時々物凄いわ。リルルはそう思って、素直に頷いた。
※ ※ ※
リルルがその夜見た夢は、美しい花の宴から始まった。
どこか遠い異国の宴席で、庭に見えるのは、咲き誇る沢山の花だった。空を覆うのは、なんの花かしら。ああ、沈丁花だわ。私が好きで使っているクリームと同じ香りだもの。桃の花も咲いているわ。ここはいったいどこの国?
暖かい気候の国なようで、季節感がよくわからなかった。リルルは黄緑色の小さな鳥になって、枝に掴まっていた。よく見ると鳥かごの中で、大きな宴会場の部屋の中の、上座のすぐ傍にいた。
豪奢な調度品に囲まれたこの部屋は、何かの香の芳しい匂いに満ちていた。
まるでアラビアンナイトの世界だわ、と前世の姉リルルの知識で、リルルは思った。
目に前にいる、肌が浅黒く瞳は黒曜石色で栗色の髪の王様のような若い男性の前で、水着のように露出の高い恰好をした踊り子が何人も、腕に巻いたひらひらとした羽のような薄い布を翻しながら、剣を手に剣舞を舞っている。若い王様を取り囲むように従者たちも座って酒を楽しんでいる様子だった。
花の香りが満ちている宴席は、笑い声が賑やかに聞こえていた。
剣は真剣なのかしら。金属音がしてぶつかる度に、刃毀れがしているのかキラキラと光っている。
美しいわ。なんて和やかなひと時なんでしょう。鳥リルルが見惚れていると、突然、庭先の方で破裂音がした。
何の音? と驚いた人々が、悲鳴をあげながら部屋の奥に固まった。酒を飲んで寛いでいた騎士や貴族たちが、立ち上がり庭の方に見に行った。
ザンザンと奇妙な音が響いて、リルルが次の瞬間見たのは、それまで怯えたように震えていた女性たちが剣を手に立ち上がり、若い王様に襲い掛かる光景だった。
騎士の誰もが庭を見ていて、若い王様を守ってはいなかった。
鳥リルルの目の前で剣で串刺しになっていく若い王様の血しぶきが飛び、濃い血の匂いに、リルルは震えた。
「ァ、…リ…ル。」
呟いて空中を掴んで、若い王様の瞳から光が消えた。リルルには自分の名前を呼ばれたように思えて、悲しみが胸に広がった。
「レイン様!」
気が付いた衛兵や騎士たちが剣舞を舞っていた女性たちをその場で始末し、血の匂いがますます濃くなった。うめき声やすすり泣きが聞こえる。
「誰か、医者を!」という声があたりに響いた。
自分の名前を呼んだような声が耳に残って、悲しくて悲しくて、リルルは目が覚めた。
※ ※ ※
翌朝、リルルは起きるとすぐに着替え、夜勤のサミラに父のヨハネスに面会を頼んだ。
朝食前だったのにもかかわらず父は執務室に来るように返答し、リルルは悲しい気持ちを引き摺ったまま部屋に入った。血の匂いを嗅いだのは夢の中なのに、自分の体から血の匂いがするように感じた。
父に人払いを頼み、見たままの、夢の内容を伝えた。
父は「そうか、」と悲しそうに言い、目を伏せた。その人物が誰なのかすぐに判った様子だった。
「リルル、よくお聞き。今日はリルルは風邪をひいてしまって寝込んでいる、わかったね?」
「どうしてですか? 」
「自分がどんな顔色をしているのか、鏡を見たかい? そんな様子だと、チェニーたちにおかしいとすぐに感付かれてしまうだろう。今日は誰とも会わなくていい。ロマニール先生にも伝えよう。いいね? 寝込んでいるのだよ。」
「わかりました。」
納得がいかなかったけれど、リルルは父に従わない理由が思い浮かばず、そのまま自分の部屋に戻った。
サミラはリルルの顔を見て、リルルが伝えたヨハネスの指示を聞いて、納得したのかリルルを着替えさせてベッドに戻してしまった。
「今日はカロヨンとクグロワとヨネアが来ます。朝食もお部屋にお運びしましょう。みんなにはきちんと伝えますから、リルル様、お風邪を召して眠っていらっしゃってください。」
予定として風邪をひくなんて変な話ね、とリルルは思ったけれど、黙って従うことにした。サミラの真剣な表情に、茶々を入れる勇気はなかった。
「ありがとう、サミラ。お休み、サミラ。」
サミラがふっと微笑んでいるうちに、リルルはすぅーっと眠ってしまった。
リルルが眠っている間にやってきたカロヨンたちにヨハネスの指示を伝え、サミラは夜勤から退勤していった。リルルの血の気のない寝顔を見たクグロワたちは、そっと静かに寝室を出ると、夢を見られたのだわ、と頷きあった。
「最近、リルル様は、結構な頻度で夢をご覧になっている気がします。」
カロヨンが暗い表情で言った。時見の巫女が見る夢はいい夢ばかりではないと実感しているだけに、また悲しい夢をご覧になったのだわと胸が痛くなる。
「以前ならひと月に一度あれば多い方でしたのに、ここ最近の間…、今年に入ってから特に多いと思います。」
「そうね、成長されたからなのかしら。」
リルルが姉リルルと混じり合って『名前のない人』に会ってから、なんて理由に思い至るのはリルル本人以外にはなく、クグロワたちは知るはずもなかった。
「今日のリルル様は…、きっと何か大きな夢を見られたのでしょうね。」
ヨネアはぎゅっと手を握って、「お風邪を召しておられるのなら、お守りしなくてはいけませんね。ちょうどお客様も滞在されてますから。リルル様は無防備ですもの、」と真剣な面持ちで言った。
「そうね、大丈夫よ、きっと。私もいるし、クグロワだっているわ。」
武術が得意なカロヨンとヨネアが出勤の日でよかったと、クグロワは思った。
「ロマニール先生にはご連絡をして、また後日お願いしましょう。カロヨンは帰り道のデートが出来なくて残念だったわね。」
「いいの、クグロワ。お家で待っててもらうのも、楽しいものですよ?」
カロヨンが余裕な表情で微笑むと、身に覚えがあるだけにクグロワはパッと顔を赤らめた。
※ ※ ※
昼食を部屋で済ませたリルルの部屋に、侍従たちを通して面会を申し出る者があった。わざわざ確認が必要な面会相手なんて珍しいわね、とリルルは思った。親や婚約者たちなら、そんな確認は今のところはなかった。
「ご安心を。私が話を聞いて、お断りしてきます。」
リルルの表情を読んで、にっこり笑いかけて、クグロワが廊下に出た。
顔見知りの侍従から話を聞いたクグロワが断ろうとすると、侍従と近衛の騎士たちの後ろにいたその者はクグロワを目を見開いて見つめ、クグロワの手首を掴んだ。
初めて見るその者は、背が高くよく日に焼けていて、赤茶髪で明るい緑色の瞳をしていた。クグロワはたじろいで、一瞬言葉を失った。
「何をするのです?」
「あなたと話がしたい。リルル様が無理なら、あなたでいい。一緒に来てほしい。」
「お断りいたします。私は今勤務中です。リルル様のお傍を離れるわけにはいきません。」
「私は南部の自治州の州長のシェーカーと言います。あなたの名前を知りたい。」
「私は既婚者ですから、名乗るほどの者ではありません。」
「私も既婚者です。既婚者の私が名乗ったのですから、あなたも名乗ってください。」
不快だなと思ったけれど、貴族の習性で自分よりも上位の者に従ってしまうクグロワは、しかたなく簡単に名乗った。
「クレイジュと言います。」
「クレイジュ、私の州に一緒に来てください。あなたを私の妻に迎えたい。」
言っている言葉の意味が理解できなくて、クグロワは唖然としてしまった。「それは出来ません。先程もお伝えしましたが、私は既婚者です。愛する夫がいます。そういったことは独身の方にお伝えください。」
クグロワは捕まれた手首を放そうと、腕を外側に向けて回して捩じった。振り解くようにシェーカーの手が離れ、ホッとする。
「あなたの顔は私の亡くなった妻に似ている。あなたが欲しい。これは何かの縁だろう。縁は強く保たないと綻びてしまう。」
「無理です。リルル様はご病気ですから、お帰り下さい。私も出来ないことはできないとお伝えします。」
「待ってください。証明するものが必要なのですか? 身体のどこかに魚の痣があるだろう。私の妻の印だ。」
人を欲しいと言える目の前の男は、州長かもしれないけれど、クグロワには気持ち悪く感じた。理屈ではなく、自分には無理だと思えた。
「痣なんてありません。」
侍従はクグロワの顔を見て、小さく頷いた。初対面で結婚を申し込むような恋愛があるのだとしても、この状況からはそんな甘酸っぱい空気は感じられなかった。隣に立つ近衛兵である近衛の騎士と顔を見合わせ、シェーカー次第では拘束もやむを得ないと覚悟した。
「侍従長を呼んでください。近衛兵長も。ここは王族の私室です。無理難題を吹っ掛ける場所ではありません。リルル様はお会いになりません。」
クグロワがはっきりと大きな声を出して応援を呼ぶと、廊下の向こうから人が集まってきた。
面白くなさそうな様子のシェーカーが「また来ます、クレイジュ。良い返事を待っています」と言って背を向けて去って行った。
「すみませんでした。クグロワ。警備を増やすように伝えます。」
顔見知りの侍従や近衛の騎士たちは、申し訳ないのか顔を伏せた。
「私は大丈夫です。このことは、ヨハネス殿下に速やかにお伝えください。あの方が私の手首を掴んだところを、あなたたちは見ていましたね?」
「ええ、大丈夫です、お伝えします。リルル様がご病気なのに、大変申し訳ありませんでした。」
夏の終わりのタッドリー事件の後遺症で、みんな神経質になっているのだわ、とクグロワは思った。でも、神経質になってくれている方が自分たちには都合がいい。ちょっとホッとして、クグロワは小さく笑った。
ありがとうございました




