↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10年越しの愛に、もう一度名前をつけるなら___  作者: きなこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/9

1

       挿絵(By みてみん)


幼い頃の神崎司にとって、如月夏希は世界で一番大切な女の子だった。



いつも一緒にいた。


庭を走り回るときも。


食事をするときも。


家族同士のパーティーで大人たちの話に飽きてしまったときも。





二人でこっそり抜け出して、屋敷の裏庭で遊んでいた。



「司くん」


「ん?」



「大きくなったら何になるの?」


「父さんの会社を継ぐ」



「じゃあ私は?」


司は少し考えてから、当たり前のように言った。


「俺のお嫁さん」


「……え?」



夏希の頬が赤くなる。


「だって、ずっと一緒にいるだろ」


「……うん!」


小さな夏希が笑った。


その笑顔が、司は大好きだった。


だから。


その約束を壊したのも、司自身だった。





きっかけは、一通の手紙だった。


高校生になった司のもとへ、夏希からだと思われる手紙が届いた。




そこには、残酷な言葉が並んでいた。




自分との婚約は家同士の都合。


神崎財閥の跡取りと結婚できればそれでいい。


自分自身を愛しているわけではない。




司は何度も読み返した。


信じたくなかった。



けれど、ちょうどその頃から夏希が少しずつ距離を取っているようにも見えた。



本当は、それも誰かが仕組んだものだった。




夏希が司に渡そうとしていた手紙を隠し。


司に届くはずだった贈り物を捨て。


二人が会う機会を減らした。




それでも司は知らなかった。


だから、傷ついた。


――ああ。


――俺だけが、本気だったんだ。


そう思った。




それから司は、夏希に愛情を見せなくなった。


好きだったからこそ。


これ以上、自分だけが傷つくのが怖かった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。