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164  作者: Nora_
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09

「大地さん、ご卒業おめでとうございます」

「せめてもう少しぐらい明るい顔で言ってほしかったけど、うん、ありがとう」


 やっと終わった、これで今度こそ自分とふたりのために動ける。

 だけどまさかこんな最後の最後で近づいてくるとは思わなかったな。

 最後だからこそなのか? 言いたいことがあるならなんでも吐けばいいが。


「終わりですね、清々しているんじゃないんですか」

「痛いだけだからね」

「ふーん、そういうの大地さんにもあるんですね」


 あったんだよ、そういうやつが僕の中にも。

 いいことではなかった、自覚しなければ僕はあのままでいられていたから。

 でも、それからはもう駄目で、逃げたいという気持ちの方が大きかったんだ。


「私、あれから大地さんのことが嫌いなんです、結局嘘で逃げてばかりだから」

「もう二度と顔を見なくて済む、これがきみにできる唯一のことだ」


 結局やり逃げみたいになってしまっているが許してほしい、あ、いや、一生許さなくていいから帰らせてほしかった。


「……なんでそうなんですか」

「これぐらいしか思い浮かばない人間なんだよ、極端なことしかできないんだ」


 左右どちらとも通れる空間があるのにしないのは最後ぐらい気持ちよく終わりたいからだった。

 今回も相手の方から解散の言葉を出してくれるように望んでいる。


「幸恵、ここにいたのか」

「兄さん」


 ここにいたのかってここは僕の家の前だぞ。

 いつもの靖みたいに通せんぼをしてきているという状態だったんだ。

 なんで自然とこんなところまでと考えて、ハメられたんだと気づいた。

 連絡もなしに自然とここに来るわけがない。


「まだ大地にうざ絡みしていたのかよ」

「そんなことっ、私はただ……」

「同じだ、もう終わった話だろそれは」


 あれ、って、彼はずっとこんな感じだったか。

 やたらと拘っていたのは彼女だけだ、だからこうなって当然だと言える。

 僕と靖の問題なのにどうしてここまで踏み込んでこようとするんだろう。

 終わった話なのに、多分イライラするだけでいいことなんてなにもないのに、彼女は途中から全く分からない存在になってしまった。


「もういい! 兄さんも嫌い!」


 きっかけを作ったのは自分だから謝罪をしておいた。

 彼は「いや」と言って幸恵ちゃんが去って行った方を見ていた。


「大地、俺らのこれからってどうなるんだ?」

「三月で終わりだよ、そこから先はどこにも繋がっていない」


 はちょっと違うか、乗換駅があるというだけだ。

 それぞれの電車とかそういう物に乗って違う方へ行くんだ。

 謝罪だけでは違うから感謝の言葉を伝えて家の中に入った。

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