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164  作者: Nora_
10/10

10

「よう」

「おかしいな、もう四月になったはずなんだけど」


 まだ春休みだから来たということなのか? それか、お前の言う通りにはならねえよと否定したくて来たのかもしれない。

 かなりの時間が必要なのに意地悪な人だ。


「来ても時間が無駄になるだけだよ」

「だって俺らは友達だろ?」


 あんなことがなければそりゃ僕だって友達といつまでもいたかった。

 なんで好きになったりしたんだ、なんで我慢しなかったんだ。

 相手は女の子じゃないから断られて当たり前だったのに馬鹿だった。

 自分で自分の足を引っ張っているなんてアホだろう。


「どんな態度を取ろうと変えるつもりはない、俺は友達として行くだけだ」

「友達をやめたい」

「自分勝手だな」


 分かりきっていたことだ、今更言われたってどうしよもない。

 時間の無駄だった、そう吐き捨てて去ってくれるのが一番理想だ。


「君は時間を無駄にしなくて済む、僕は痛い思いを味わなくて済むんだ」

「我慢しろよ、罰を受ける必要があったんだろ?」

「そもそもっ――」

「静かにしろ」


 林村君は告白できなくてよかったと思う、悪い結果なら引きずることになるから。


「意地悪な君は嫌いだ」


 こう言ったら一ミリだけすっきりしたものの、まだまだだから変わらなかった。


「意地悪じゃなきゃいいのか?」

「えっ? そりゃ……まあ」

「どうすればいい?」

「そんなの分からないよ……」


 こっちとしては同じように存在していることしかできないんだから。

 靖のしたいようにしてくれと言っておいた。

 離れることが一番ではあるが、どうしても友達でいたいということなら……。


「大地にとってなにが正解なんだよ」

「そんなの……」

「あ、離れるというのはなしだぞ」

「じゃあもうあれしか言えないじゃん……」


 言ったら断られることは確定している、つまり詰みだ。

 こっちに聞かないで決めてくれよっ、なんでそこではそうなんだよと内は大暴れ。


「そんなに付き合いたいのか?」

「好きになったんだよっ、失敗する前提で告白なんかするわけがないだろうが……」


 言えただけよかったなんてそんなの嘘だ。

 幸恵ちゃんの言うように僕は嘘つき野郎だった。


「んー」

「……ごめん、いつまでも迷惑をかけて」

「本当だな、矛盾していたしな」

「分かったよ、ちゃんと気持ちを捨てて友達でいられるように努力をするからさ」


 前も考えたようにいい経験をできたと考えておけばいい。

 やっぱり彼には得なことなんてなにもなかったことになるが……。


「仕方がねえな! ただしっ、幸恵と仲直りしろよ!」

「ん? なんでそうなるの? 大丈夫だよ、ちゃんと連絡とかだって――」

「受け入れてやるから仲直りしろ! 大地のせいで俺まで嫌われたんだぞ!」

「無理しないでよ、大丈夫、仲直りはそれがなくてもするからさ」


 彼と関わっていくなら二度と顔を見せないってことはできないだろう。

 気持ちよく過ごすためにも、僕的にもそれは必要なことだと思うから。

 なーに、いつまでに捨て切らなきゃいけないとか期限があるわけではないんだから安心できる。


「なんでそこは素直に『いいのっ?』って言わないんだよ馬鹿!」

「いたっ!? な、なんで暴力キャラになってるの……」

「お前が悪いんだよ! 早く行くぞ!」


 行くぞって腕を掴まれていたら力差があるんだからそうするしかない。

 結局、彼もよく分からない存在のひとりだと強く伝えてきていたのだった。

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