手合わせ!ミリノ!!
お久しぶりです
「っ!」
切断された冷凍バナナから一瞬極寒の冷気が吹き出し、剣圧で消し飛ぶ
先の凍ったはずの木刀もその速度からか一瞬で氷が砕け、刀身が露わになる
流石に強くなりすぎだろ…
…いや、むしろこっちが本来の強さか?
何時ぞやのダンジョンでの無双を思い出す。確かトラウマで本気が出せないって話だったが…
これを見るに吹っ切れたってことか…?
「油断…すんな!!!」
「うおっ!」
振り下ろされた木刀を避ける
そして、その拍子にバナナの皮をぶつける…!
が、ミリノはそれを見据えてたかのようにバナナの皮に向けて剣を振るう
「無駄…ッ!?」
しかし、驚くことに剣を起点としてツルリとミリノの上下が入れ替わったのだ
「嘘ッ!?」
「マジ!?」
互いに驚愕の声を上げつつ、瞬時に気を取り直して宙に浮かぶミリノを蹴り飛ばす
「ぐっ…!!」
大した有効打になった様子はなく、少し離れた位置でミリノは体制を直し着地する
「驚いた…そんなことまで出来るなんて」
「あぁ。私も」
ついでにその口調にもな!!
いつのまにかいつもの丁寧語ではなく砕けた言葉遣いになっていることに若干の驚きを覚える
「やっぱナナは強いなぁ…ちょっと速度上げてくよ…!!」
「っ!?」
その言葉と共に、目の前に木刀を構えたミリノが現れる
「うぉぉ!!」
避けることは出来たが、その頃にはミリノは元の位置に戻っている
そして、瞬きの間にまた木刀を構えたミリノ目の前に現れる
まるで瞬間移動のように
「っ!!」
斬っては消え、斬っては消えを繰り返すミリノに合わせて攻撃を回避していく
しかし、こちら側からミリノに攻撃することは一度も出来なかった
ただひたすらにこちらの体力だけが奪われていく
なんとかしなくては…
もう何度目か目の前にミリノが現れる
そして、次は攻撃をせずに消えた
「なっ!?」
もはや感覚で避けていた私はそのまま左に体を動かしてしまう
そして、当然とでも言うようにそこにはミリノが立っていた
木刀が振り下ろされる…
「一本…取れた…!」
「はぁ…はぁ…」
とても嬉しそうなミリノとは対象的に私は地に手を付き呼吸を繰り返す
ミリノの高速移動のお陰で短い時間に凄まじい運動をする羽目になった…前世の体なら絶対筋肉痛確定だったぞ…
「あ…大丈夫ですか?」
「はぁ…問題…ある…」
「あるんですか…」
「それにしても…はぁ…凄まじい強さになったな」
息を整えて素直に称賛を送る
昨日までとはまるで別人の様な強さだった
「はい。ようやく吹っ切れたお陰です」
「そういえば、ミリノの方でなにかあったのか?」
「はい。実はダンジョンに巻き込まれちゃって」
「一人で…!?」
そこからミリノに起きた出来事を聞いた
過去の追体験や私のいない世界のシュミレーション…そして…オウカ
個人的に引っかかるところも多かったがミリノのパーティーメンバーとしてそのオウカさんには感謝を捧げるべきだろう
我らがリーダーを導いてくれたことを
「オウカ…ねえ。次は私も会ってみたいな」
「ですね…そういえばナナは過去…えっとこちらに転生する前は何を?」
とミリノが聞いてくる
ふむ、難しい質問だな…こちらの世界にあるのかはわからないがまあ、一応話してみるか
「研究者。という生き物とか植物とか土とか、そういった自然のものを詳しく調べる職業をしてたな」
「研究者ですか!それじゃあ頭良かったんですね」
この反応だとこちらの世界にもあるのか
「いや、私は感覚派でね。周りと比べるとあんまり頭がいいわけじゃなかった」
「そうなんですか…?」
「あぁ。ただ好きな事や興味あることに関しては知識もあったな」
「なるほど…」
一通り研究者についての話が済むとミリノが次の質問を始める
「ちなみに、やっぱり元の世界に帰りたいと思いますか…?」
…
…
…
「いや思わないかな。こちらの世界も充実しているし死んじまったものは仕方がない。そう私は思っているよ」
「そうですか…すみません変なこと聞いて」
「いや構わない。それに!お前らと魔王を倒すって使命もあるからな!!」
「…!そうですね!」
「それじゃあそろそろ私達も休みましょうか。作戦に備えて」
「ああ、それじゃあ!」
元の世界か…絶対に帰りたくないな…
そう強く思うと同時にネックレスが輝いた気がした




