表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/130

第八十四話 「八十八対『覇道』 後編」

 所々の皮膚の破片を落としながら『覇道』と対峙する八十八級。『覇道』、ギドウはそんな彼女を見てフンっと鼻で嗤って言った。


「どうした?随分と崩れそうな様だが」

「何でかしらね…?もう九回ぐらい殺されたみたい」


 パラパラと破片が落ちていく。顔の少し大きな破片が落ちて、ギドウは気付いた。あれは鱗では無く、『穴』だ。中が空洞の様になっているのだ。


「てっきり形が戻ったからリセットされたと思ったけど…霊泉でも死んだ回数は戻せなかったって事ね。まぁいいわ」

「…」


 リンデルは右腕を少し上に上げて、ギドウを見据える。右腕はみるみる形を変えていき、龍の様な鋭い爪を持つ腕へと変貌した。


「さ、続きを始めましょ。楽しい戦いなんだし…」


 ギドウの剣は既に振るわれていた。彼女が言葉を言い終える前にその龍の腕を断ち切らんとした。しかし、彼女は切断を許さず、その剣を龍の腕の方で掴み取った。


「(不意打は無駄か…期待はしていなかったが…)」


 ギシギシと剣が音を立てる。


「(流石は龍の腕と言ったところか。握力が並大抵のものではないな)」


 ギドウは引き離せない事を察知し、大鉈を手放す。そのまま後ろへと後退し、思い切り地面を殴りつけた。

 実際地面なんてものはそう簡単には砕けないが、古戦場の地面は放置されているが故にかなり風化していて脆かった。地面は砕けて空中へと舞い上がる。砂や石の破片は煙幕の様な役割をしてくれる。彼女の『常点視』を機能させなくするにはこういう小癪な手を使わなければならない。

 ギドウは槍を持ち、それを思い切り、何者をも貫かんという勢いで投げた。リンデルからすれば砂煙の中から突然槍が飛んでくる訳で避けられる確率はだいぶ下がる。


 だが、何もなかった。地面に刺さるような音が聴こえて、避けられたと察した。砂煙から風の様な勢いでリンデルが飛び出してくる。ギドウはそうなる事は想定していたが、想定外な速さで出てきたので対応しきれず。思い切り胸元に龍の爪を喰らった。


「っっっっっぐっぁ!」


 引っ掻かれた後、蹴り飛ばされて、地面を何回かバウンドして止まる。さらに追撃を加えようと迫ってくる。気付けば両腕共龍化していた。

 彼女の目はさっきまでとは打って変わって、殺気に溢れていた。楽しむ様な様子は無く、ただ目の前の敵を殺す為に動いているような。そんな感じがした。初めて出会った時の様な様子になっていた。

『覇道』の変境魔力による異常な感情動悸。今になってそれがリンデルに影響を及ぼしているのだ。殺意という物が爆発し自分を制御出来なくなっている。ギドウは詰められる距離を広げながら、ニヤついた。


 こうなった今、奴はだいぶ殺し易くなった。前回の回数もどうやら蓄積されている様でかなり身体を損傷している。今の奴の体は、かなり脆くなっている。

 そう思いながら立ち止まり、彼女を迎え撃つ準備をする。一気に距離を詰めて、龍の爪で再度斬り裂こうとするのをかわし、手刀を構えた。


「ふっ!」

「あぐっ!?」


 首元に手刀が入る。手刀が皮膚に触れた瞬間、パキッという音を立てて、破片が飛び散った。手刀はそのまま首を斬り落とした。


「これで十回目だ」


 リンデルはスクッと立ち上がり、頭を手で拾い、首に付けた。すると直ぐに首がくっつき、元に戻った。そしてピシッと顔に大きなヒビが入る。


「…っ!」

「甘い」


 龍爪で不意打ちをかまそうとしたそうだが、あっさりと止められてしまった。そして次の瞬間───。


「がふっ…」

「十一回目」


 心臓目掛けて刃が刺さった。それはしっかりと心臓を突き刺しており、死は免れない。リンデルは意地で胸に刺さった剣を抜き取り、再び倒れた。

 八十八級の加護『絶対的不死』には決定的な弱点がある。それは偽りの不死性を得る代わりに心臓を刺される、首を落とされるなどの即死攻撃を喰らった時に一定時間無力化されるのと、即時再生を重ねる毎に身体が脆くなっていく事である。

 十一回、即時再生をしたリンデルは布並みの耐久力しか無く、鉄の剣で簡単に身体が貫ける。そして、今のこの状況は、リンデルが再生を終わらせた瞬間に無力化、再生を繰り返す事で回数を重ねているのだ。


 ──────────


「飽きただろう?五回も心臓を刺されるのは」

「はぁ……はぁ……」


 十六回目。もうリンデルの身体は崩壊寸前である。あと一回、最低でも二回、急所を抉れば恐らく消滅する。リンデルもその事を分かっているのか、フラリと立ち上がり、龍の郷の方へと羽根を広げて飛んで行った。

 また逃げるのか、とギドウは憤り、大鉈を持ち直してそれを追った。リンデルは追われてるのに気付きスピード上げるが、間に合わず、上を取られて撃墜された。

 落ちた先は皆が揃う広場。


「十七回目だ。もう後が無いなリンデル」

「くっ…」


 崖の上からそう言い放ち、大鉈を担ぎ直した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ