表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリジナルオンライン−唯一無二のその力で−  作者: 井上狼牙
第一章 焼き尽くす炎の拳
24/82

第23話 少女の変化

「おーい、遅いぞー」


 20分ほど歩いてようやく村にたどり着いた。

 いくつか民家があるだけの小さな集落。

 村の入り口には一人衛兵が居たが、こちらはチラリとも見ない。


 こういう衛兵というのは村に近づこうとするモンスターをばっさばっさと切り倒す強NPCだ。

 カルカにも居たが、その圧倒的な攻撃力でモンスターを1撃で倒してしまう。

 最もフィールドの序盤の方となれば弱いモンスターばかりしか出ないし、奥から強いモンスターを引っ張ってくれば負けてしまうらしいが。

 ちなみにこういうNPCは死んでもしばらくすると復活する。

 さすがゲームである。


「お前が速すぎるんだよ。そんだけ体力が余ってたんならボスで活用しとけ」


「なはは、まだあんま上手に使いこなせなくてね」


 先に村に着いていたゴルムと言葉を交わす。


「随分小さい村ですね」


 レイナを背負ったアドリアが呟く。

 レイナは未だ起きる様子はない。

 どこかで寝させてあげたいところだが、この小さい村でそんな場所が確保できるだろうか。


「とりあえず行くぞ。入り口で話していても何にもならん」


 ここまで先導してきたルークが村へと入っていく。

 彼の装備は大盾と片手剣という異質な物だ。

 同時に使えないものを一緒に装備するとはどういうことなのか。


「どのNPCも動きませんねぇ」


 青髪の青年がのんびりと言う。

 道端にはちらほらとNPCが居るがほとんど動かない。

 話しかければ返答はしてくれるのだが、それもかなりぎこちないものだ。

 限りなく現実に近いこのゲームで、穴があるのがこのNPCというシステムだと思う。

 

「あれ? これは……?」


 村の端。

 どれもぼろい民家の中でここだけ新品同然の輝きを放つ建物があった。

 サイズはそこまで大きくない。

 窓も何もない無味乾燥なデザインだ。


「ふん、見てるよりも入った方が早いだろう」


 そう言ってルークが建物に入っていく。

 せっかちな奴だ。

 呆れながら俺達も後に続くと、それ程大きくない空間が待ち受けていた。

 そしてその中央にあるのは、仄かに青く光る台座だ。


「なんでしょうこれ?死んだときのワープ場所に似てますが。」


 俺の後ろについてきたアドリアが聞く。

 確かに城下町の神殿にある死に戻り場所に似ているように思う。


「いや、それも兼ねているようだが本命はワープポータルだな」


「ワープポータル?」


 説明するよりも使ってみた方が早い、とルークが台座の上に乗る。

 するとルークは全身から光を発しながら消えていった。


「え!?」


「落ち着け、言っただろ、ワープポータルだって」


 驚くアドリアをなだめる。

 ワープポータル。

 要するに、乗ると他の場所に置いてあるワープポータルへと転移できるのだろう。


「そういうことだ」


 再びルークが戻ってくる。

 双方向式だからよかったが一方通行だったらどうするつもりだったんだあいつは。


「どこに行ってきたんですか?」


「今行けるのはカルカだけらしい。まぁこれがあるだけでも十分だろう」


 肩をすくめながら言った。


「そんじゃ一回カルカに戻るかー。結構疲れたしね」


「そうですね。レイナさんを寝かせてあげなければなりませんし、攻略は後にしましょう」


 全員の意見が一致したところでボス討伐組は解散だ。

 俺たちは労いの言葉と共に、カルカへとワープしていくのだった。








 これは夢だ。


 最初は良い。

 父親は私が小さい頃に死んでしまったけれど、母と二人で静かに暮らしている夢。

 友と騒ぎ、笑い、母と語り合って、それなりに幸せな顔をしている私。

 でもある日、暗い闇が私を閉じ込める。


 きっかけは……そう、あの日だ。

 特に考えずに雑誌の懸賞に応募した日。

 大してゲームをしなかった私が、ほんの気まぐれを起こして葉書に名前を書いた日。

 その時から闇は私に少しずつ近づいていて、3日前に私を捕える。


 絶対に抜け出せない世界。

 全てがデータでできている仮初めの世界。


 現実ではどうなっているのだろうか。

 母は眠る私を見てどう思っているのだろうか。

 クラスメートは私を憐れんでいるだろうか、嘲笑っているだろうか。

 そんなことを考えて、夜はほとんど眠れなかった。


 暗い闇が私を放してくれないと悟って、自暴自棄になった。

 ただひたすらモンスターに向かって剣を振り続ける。

 ただひたすら文字を目で追い続けて詠唱の文言を覚える。

 そこには絶望しかなかった。

 ボス討伐に参加したのも、単なるヤケに過ぎなかった。


 初めて集団行動をして非常に驚いた。

 誰も物事を深く考えず、笑い合ってゲームを楽しんでいる。

 私には全く理解できなかった。

 きっとこの人たちは現実に何の未練もないのだろう。

 来年には受験が待っているような自分とは違うのだろう。

 そう考えると、更に心の闇が膨れ上がっていくようだった。


『違うぞ』


『皆で協力し合って足掻いているんだ!』


『人に頼って、縋りついて、泣きながら力を貸してもらって、お返しにちょっとでも力を貸せば良いんだよ』


 唐突に、目が覚めた。


 いつもと変わらないプライベートエリアの天井。

 でも悪夢を見た後のいつもとは違う感情が渦巻いていた。


 自分は昨日までの私とは違う。

 もう闇はない。

 同じくらいの光が闇を打ち消してくれた。


 朝ご飯を食べたらモンスターを倒しに行こう、そう思って起き上がるとベッドの横に人影が見えて身構えるよりも先に蹴っ飛ばしてしまった。


「んがっ!」


「きゃあああ! って、リュウじゃない。なんであんたがここにいるのよ!」


 どうやらベッドに寄りかかって寝ていたらしいリュウが寝ぼけ眼でこちらを見てくる。


「おう、起きたのか。よかった。でもいきなり蹴ることもないだろ」


「だ! か! ら! なんであんたが私のプライベートエリアにいるのよ!」


「え、あ、いや。パーティを組みっぱだっただろ? 同じパーティだと同じプライベートエリアなんだよな」


「だったら! パーティ解除すればよかったでしょこの変態!」


 とりあえず近くにあるものを片っ端から投げつける。

 命中、命中、命中。


「わ、わかったわかった! 出ていくからちょっと待て! ずっと起きなかったから心配になっただけだ! 起きたんならそれでいい! そんじゃな! 俺も眠いから帰るよ!」


 そう言うと部屋から出るリュウ。

 彼は何のために来たんだろう。

 心配になったと言っていたが寝ていただけで特に何も――。


「あれ?」


 そこまで考えて違和感に気づいた。

 窓から覗くと外は真っ暗闇。

 ウィンドウを開いて確認してみれば、時刻は深夜2時。

 ボス戦が終わって眠ってしまったのが14時程だったはずだ。

 てっきり普通に朝起きたと思っていたが全然違ったらしい。


「私そんなに寝てたんだ……」


 それは心配にもなるはずだ。

 わざわざ長い間付き合ってくれていたリュウに心の中で感謝する。

 

 彼のおかげで吹っ切れた。


「私はもう五十嵐玲奈(いがらしれな)じゃない。」


 仲間と共に戦う女剣士レイナだ。

 そう考えると少しすっきりした。


 再び眠気が訪れ、もう一眠りしようとベッドに寝転がるのだった。







「んー……」


 大きく伸びを一つ。

 時刻は7時。

 昨夜はレイナが起きるのを待ってから寝たからあまり長くは寝ていないが、昨日の午後はのんびり過ごしていたからあまり問題はないはずだ。


 あれからアドリア達はボス討伐を祝して宴会を行ったらしい。

 まだまだ未熟な生産者や、自信がなくて攻略に参加できていない人たちなどを積極的に参加させた大規模な物だったそうだ。

 俺とレイナは参加しなかったが、ボス攻略に参加して途中で死んでしまった人たちも集まり、新たに討伐隊を組んでイノシシに再挑戦したそうだ。

 死者を出しながらも勝利し、十数人のプレイヤーが新たに次のエリアに進めるようになったらしい。

 プレイヤーが協力し始めている、いい兆候だと思う。

 これからもこんな活動が増えることを願うばかりだ。

 

「んぬぬ……」


 昨日適当に露店で買っておいた焼き鳥らしきものをアイテムボックスから出して齧りつつ掲示板を開く。


 昨日の宴会やボス討伐でかなりの量が更新されている。

 宴会は好評で、攻略組の人員を大幅に増やすことができそうだ、とはアドリアの書き込みだ。


「あ?」


 ふとあるスレが目に止まる。


 『攻略組プレイヤーの二つ名を考えようぜスレ@1』


 ――なめてんのか。




 攻略組プレイヤーの二つ名を考えようぜスレ@1


1:ナナメ


ここは最前線で活躍している有名なプレイヤー、目立つプレイヤーの二つ名を考えていこうというスレ。


3:グリュウ


今の状況だとそこまで有名なプレイヤーっていなくない?


4:ナナミ


現時点で一番有名なプレイヤーっていったらアドリアさんかな?


5:ジュリア


 bだね


6:デモグリ


情報屋アドリアさんか。[隠密行動]を使いつつカマで攻撃。攻略最前線に立つトッププレイヤーでもあり情報屋。


7:デロ


>>6

話を聞く限り『死神』とかそんな感じかね。


8:ブーマー


いやいや黒髪美女にそんな無骨な名前つけたらあかん。


9:デロ


マジか美女なのか。


10:ブーマー


今日の宴会で見かけたけどかなりの美女。

が戦闘だとどこからともなく現れてカマで首を刈り取るという。


11:ジュリア


怖いわねw


12:ララーラ


そこらへんで考えますかー


13:Huga


美女はともかくとして隠密、カマ、死神ねぇ


14:フェラヌ


影隠(えいいん)』とか


15:ブーマー


いいね


16:ジリア


『影隠のアドリア』かっこいい! 厨二くさい!


17:ナナミ


二つ名考える時点で厨二くさいよw


18:ナナホシ


じゃあ決定w


19:タツヤ


他で言ったら誰かな?


20:ジニア


今日のボスリベンジ討伐戦で片方の指揮とってたゴルムさんとか


21:バルム


あーあの面白い人かw


22:ジニア


そうそう、かなりの自由人 戦闘中もいきいきしてた


23:ジュリア


でも強かったよ。イノシシの攻撃ほとんど受け流してたし。大剣ぶんすか振り回して。


24:ヴァラ


めっちゃ強かったあの人。自分のスキルを全部使いこなして戦闘に利用してる感じ。


25:クック


俺もあんな風にやれればなぁ


26:ギーギー


まぁそれはいいとしてゴルムさんの二つ名ですよ


27:デロ


ぶんすか振り回してるから『大剣旋風』とか


28:ファラ


『烈風』


29:ガル


それだったら『旋風剣』だな


30:ブリ


風魔法使ってたしそこらへんが妥当かも。


31:グルコサミン


じゃあ『旋風剣』で決定!






「くっだらねぇ……」


 なんだこのスレは。

 二つ名なんていう厨二くさいスレが立ってるとは知らなかった。

 しかもこの二つ名、意外と広まってるらしい。

 かわいそうに、ゴルム、お前はこれから『旋風剣』だ!






「おっすリュウ」


「おっす旋風剣」


 ゴルムに呼ばれてプライベートエリアから出ると、それに気づいたゴルムが声を掛けてくる。


「なんでその名前知ってんの」


「さっきな、掲示板で見た。きっとこれからはその名で知られることになるんだろうな」


 笑いながらからかってみると渋い顔をされた。


「そういうこと言ってるリュウだってもうすぐ二つ名が付くはずだからな!」


 な、なんだってー。


「昨日ちょっと話題になってたからね。メイン討伐組とは別にたった2人でボスを討伐した謎のペアが居るらしい! って」


「どっから広まったんだそんな話」


 昨日の討伐組に居た奴らか?

 俺にもあんな二つ名が付くと考えるだけで背筋が寒くなる。


「ま、それはどうでもいいとして、今日もやろうぜ」


 ゴルムが大剣を背中から降ろして振り回しながら言う。

 俺としては全然どうでもよくないのだが。


 ゴルムから決闘申請が送られてくる。

 今日もってこれの事か。

 確かに昨日はやったが、あれはボス戦前の肩慣らしじゃなかったんだろうか。

 まあ否定する理由もないので受けるのだが。


 昨日決闘した場所と同じ場所を目指して移動する。


「ん?」


 プライベートエリア近くのベンチにレイナが座っていた。

 何やら時々プライベートエリアの入口を見ている。

 誰かを待っているのだろうか。

 ……まぁ俺には関係ないのだが。


「おーい、リュウ行くぞー」


 ゴルムのその呼びかけに俺はレイナから視線を切り、先を行くゴルムを追い掛けた。





 




「この辺でいっか」


 大通りには面していない小さな空地だ。

 俺としてもあまり目立つところではやりたくないのでちょうどいい。


「今度は勝つぞ」


「はは。俺は楽しければなんでもいいや」


 カウントダウンが始まる。


 ゴルムは大剣を切っ先が地面に着くかどうかというレベルまで下げている。

 対する俺は構えない。

 イノシシとの戦闘で俺は先制には向いていないことが分かった。

 躱しつつ相手の懐に潜り込んでカウンターをぶっ放した方がいい。


 カウントが0になる。

 だがどちらも動かない。


「ん? なんだ、来いよ」


「いやね、なんか狙ってそうじゃん」


「そりゃあ狙うだろ。それでも一撃ぶち込んでこその決闘だろ」


 ルールは昨日と同じく単発エンドだ。

 どちらかが一定以上のダメージを与えるか、相手のHPを2割先に削った方が勝ちだ。


「ああそう、じゃあ――」


 ゴルムがふらりと上体を揺らす。

 それに合わせて大剣の切っ先も揺れ――。


「いくよ!」


 何の予備動作もなくゴルムが突っ込んでくる。

 何かのスキル――恐らく風を足元に発生させたんだろう。

 突進に合わせて大剣が下から上に、弧を描いて振るわれてくる。


 これを躱してもゴルムは勢いを殺さずに2撃、3撃目を加えてくる。

 躱したら不利になるだけだ。

 だったら――。


「ふんっ!」


「おおっ!?」


 手を、襲い掛かる大剣に添えると同時に全身を捻り、その力を右手に収束させる。

 ズガァン! とゴルムは錐もみ回転しながら吹き飛ばされていった。

 昨日の[発勁・大蛇]の応用版だ。

 [流旋(ルセン)]とでも名付けておこう。


「でい!」


 だがゴルムもそんなことでやられるほど甘くはない。

 風が唸り回転を減速させ着地する。

 と同時に大剣を風が包み込む。

 踏み込み――。


[風牙閃(ふうがせん)]!」


 放たれたのは風の刃。

 硬い地面を砕きながら高速で迫りくる。


「くっ!」


 身を捩ってなんとか躱す。

 通り過ぎた風の刃は――背後の建物に激突して一部を倒壊させる。


「あぶねぇ、ちょっと掠った……なんて技使うんだお前は……」


「いやー躱されるとは思わなかったよ。やっぱリュウは強い!」


「そりゃどうも」


 そう答えると同時に、再びゴルムが爆風と共に突っ込んでくる。


 そこからも拮抗した状態が続いた。

 ゴルムが攻撃を仕掛けてきて俺が躱す。

 反撃で放った攻撃をさらに利用してゴルムが攻撃をする。

 そんな繰り返しが5分ほども続いただろうか。

 単発エンドの戦闘で言うとかなり長いと言える。


「かっこいい!」


「やっちまえ! そこだ!」


「俺はゴルムさんに賭けるぜ!」


 いつの間に周囲に人だかりができていた。


「おいゴルム……なんでこんなことになってんだよ」


 チラリと周囲を見渡すと軽く30人は居そうだ。

 皆目をキラキラさせてこっちを見ている。

 ……早く逃げたい。


「俺が知るかい」


「……とっとと終わらせようぜ」


「よっし、任せろ」


 何が任せろなのかさっぱり分からないが、ゴルムが腰を落とし風を大剣に纏わせる。

 空気が変わったのを感じ取ったのか、ギャラリーも静まった。


「う、りゃ!」


 ゴルムが風を爆発させて疾走する。

 突き。

 風が大剣の周りを唸りを上げながら回転する。

 まるでドリルになったかのように空気を切り裂き迫り来る。


「うらっ!」


 それを俺は左手で逆向きの回転を乗せた[流旋(ルセン)]で受け止める。

 空いた右手をゴルムの顔面に――。


[突風(スコール)]!」


「またかよ!」


 風が二人の間で吹き荒れる。

 それをある程度は予測していた俺は咄嗟にしゃがんで吹き飛ばされるのを回避。

 少し距離を取ったゴルムに肉薄し――。


[烈風斬(ウインドスラッシュ)]!」


「っ!」


 振り下ろされる大剣を紙一重で回避。

 風が地面を抉る。


「ふっ! りゃあ!!」


 だがそこでゴルムの攻撃は終わらなかった。

 大剣が地面にめり込むと同時に地面が爆発。

 その衝撃を利用して跳び上がり、大剣を支えにして俺を跳び越える。


「[風牙閃]!」


「っ! [威圧(オーラ)・圧]、[放撃]!」


 限界まで威力を和らげた風を受けながら振り返る。

 ゴルムも大剣を振りかぶる。


 無刀流中級技――。


[砕月砲(クラッシュパウンド)]!」


[螺旋風刃(らせんふうじん)]!」


 二つの技が中心で激突。

 光が弾けた。






『WINNER ゴルム』


 決闘の終了を知らせるメッセージが空中に現れる。


 俺のHPは――ギリギリ2割削れていた。


「くっそ、負けたか……」


 呟き、座り込む。

 技自体は躱していたが少しずつHPは削れていたらしい。

 ゴルムの風技は攻撃範囲がかなり広い。

 完全に躱すことは難しいのだ。


「今日も俺の勝ちー」


 ……どうしてこうもイラっとするのだろうか。


「……次は勝つからな」


「んー、疲れた。ただの決闘でここまでとはね」


 俺もそこそこダメージを与えていたはずだが、ゴルムには[自然回復(リジェネレート)]がある。

 こいつに勝つのは簡単じゃないな。


 さて。

 チラリと周囲を見渡すと興奮したギャラリーがわーわー騒いでいる。

 ゴルムはのんびり手を振っているが俺はこういうのは苦手だ。

 ただでさえ目立ちたくないのにもし目立ってしまったら背筋が凍るような二つ名を付けられるというおまけまである。

 ということで。


「あ! おいリュウ!」


 声を上げるゴルムを尻目に、俺はその場から逃げ出した。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ