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Because I love you ,   作者: Ψ蒼龍Ψ
9/33

あなたが何を思っているのかとか



八日目。


「いってきます」

「……ん」


小さく挨拶をして、部屋を出た。

軍人さんはニュースを見ていた視線を私の方に向けて、小さく頷いた。


















学校。

昼休み。


お弁当を食べていたら、教室の後ろの方の扉から、びしょ濡れになった男子が数人駆け込んできた。

サッカー部。

彼らは頭にタオルを乗せてため息をついた。

「冬になってもゲリラ豪雨だよ」

とかなんとか言っているから、窓を見る。

と。

ザァァァァァ…………と音を立てて雨が降っていた。

いつの間に……?

「こりゃ当分止まないな……」

「あたし傘持ってきてないよ」

声が飛び交う。

そういえば私も傘を持ってきていない。

走って帰れない距離じゃないけれど、好き好んで濡れていきたいわけでもない。

軍人さんに傘持って迎えに来てー、なんて悠長なことは頼めない。

かと言って軍人さん以外に傘を持ってきてくれそうな人なんかいないし。

「う~~~~~…………」

前途多難。










放課後、空はどんよりと曇っている。

クラスメートたちが次々と帰っていく。

私は結局、鞄を傘変わりにして走って帰ることに決めた。

「…………よし」

靴箱は一階なので、階段をおりようとすると。

廊下で黄色い声。というか叫び声。

「キャー!」みたいな。

何かあったのかなあ、悪いことじゃなきゃいいんだけど。

そう思いながら歩いていると、

「外国人のイケメンさんがいた!」「誰か人探してるって」「誰?」「さあ、知らない人ー」「何歳くらいだった?」「二十五くらい」「彼女いるか聞いた?」「そんなの聞けるわけないよぉ」


外 国 人 の イ ケ メ ン さ ん で 二 十 五 歳 く ら い 。


すっごーく悪い予感しかしない。

「それでねえ、そのひとすごく綺麗な金髪でね」「背は百九十くらい? 高かったー」「目が青だった! ナチュラルでそれってすごいよねえ」「日本語を流暢に喋っててね」「留学生さんとかかなあ」


金 髪 碧 眼 で 百 九 十 セ ン チ く ら い で 日 本 語 を 流 暢 に 喋 る。


いやいやまさか、軍人さんなわけないよね。

だって軍人さん学校の場所なんか知るわけないもん。

「喋り方とかも優しそうで」「笑った顔とか超イケメンって感じ!」

あ、じゃあ違うかな。

軍人さんが笑うところとか見たことないから。

「国籍? ドイツだって!」


あー……、や っ ぱ り 軍 人 さ ん か も 。






「あ、千早。良かった、居た」

低い声で私に降ってきた声。

人が集まってくる。

「あー……ぐんじ……」

軍人さん、と言おうとしてやめた。

ここは日本だから、軍人さんとか言っても怪しまれるし、頭がおかしいと思われる。

「…………ザシャ、さん。どうしてここに」

軍人さんは小首をかしげて。

「雨が降っていたから、迎えに来たんだけど」

そうですか。

というか一週間前よりはるかにフランクだ。

軍人さんって落ち着いてる時はこんな感じなんだなあ。

「いえ、学校の場所はどこで……」

軍人さんはああ、と手を打って。

「肉眼で確認したよ」

馬鹿だ……この人馬鹿だ。

パソコンとかで調べればいいのに。

……ん? 軍人さんがいる時代にはパソコンとかないから、使い方知らないか。

それにしても身体能力が高すぎる。

「とりあえず帰るよ」

軍人さんがくるっと背を向けて歩き出したから、私はそれを駆け足で追った。

「あ、はい」











「あ、ごめん。傘一個しか持ってきてないんだ。千早入りなよ」

靴箱を出たところで軍人さんが言って、傘を私に渡した。

「軍人さんはどうするんですか」

「普通に濡れて帰る。慣れてるからね」

大丈夫、と言って歩きだそうとするから。

「入っていってください」

少し背伸びをして、軍人さんの頭の上に傘を差し出した。

「そしたら千早が濡れるだろ。俺はいらないから」

やんわり断られそうになった。

「いえ。軍人さんが濡れたら洗濯する手間暇がかかります」

「だからザシャだって……。まあいいや。じゃあ、失礼して」

私の手から傘の柄を取って、傘を差した。

「相合傘ですね」

「そうだねえ」

ザアザアと降る雨が、私たちの会話をシャットダウンしてくれるから。

軍人さんと私は傘をさしたままふざけ合いながら帰った。





「…………結局濡れちゃったじゃないですか」

「ごめんごめん」

乾いた笑い声。

「風呂沸かしてるんだ。入ってくる」

と、脱衣所にぽいぽいっと服を投げ入れ始めたので、私はマッハで脱衣所から逃げました。

「あ、千早」

「なんですか?」

ドアが閉まっていることを確認してから返事する。

「一緒に入ろうか」

ドアが開いて、軍人さんがひょこっと顔を出してそう言った。

「馬鹿か!」

盛大な音を立ててドアを閉めた。









びこーず作者VS登場人物あとがきこーなーm(_ _)m


作者:フラグ立てたいなあ。


ザシャ:久しぶり作者。ザシャだ。


作者:久しぶりだね。随分イケメンキャラになったじゃん?


ザシャ:だって俺いけめんだから。


作者:うっぜ……ゲフンゲフン。ところでそろそろ兵科が分かる頃なんじゃないですか?


ザシャ:まあそれは後後追々ってことで。


作者:そうだね。次回はお母さんが遊びに来ます。


ザシャ:おたくの娘さんを私にください、とか言うあれ?


作者:それは違う。


作者&ザシャ:それではまたお会いしましょう! ノノ~





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