どんな風に生きてきたのかなんて
九日目。
家に帰ると、お母さんと軍人さんが何やら仲良くしてました。
「お母さん!?」
「あら、ちは。お帰りなさい」
私を“ちは”と呼ぶのはお母さんだけだ。
その語感があまり気に入ってはいないんだけど。
「お帰り、千早」
とフランクに軍人さんが言う。
「あ…………うん……ただいま…………」
どこから突っ込むべきか迷って、結局スルーしました。
「ぐんじ…………ザシャさむぐっ!?
「ちょっとだけ黙っててくれるか。それからちょっと……」
軍人さんは私を引っ張ってリビングから出て行った。
待ってそんなに引っ張ったら制服が伸びます。
「なんて謝ったら……じゃなくてなんて言ったらいいか分からないんだけど」
そう前置きして、軍人さんは話し始めた。
「俺の名前はザシャでいい。でも俺のこと軍人とかいうのやめよう。ね」
「それは分かってますけど」
「それと取り敢えず俺は千早の恋人ってことにしておいたから。一応ね」
軍人さんはにっこりと無機質な笑顔を浮かべた。
嫌がらせか!
「気持ち悪い!」
叫ぶと、
「ん? ナニカイッタカナァ? イッテナイヨネ? トッテモウレシイデスーダヨネ?」
と満面の笑みで釘を刺して、鼻歌でも歌いそうな感じで戻っていきました。
軍人さん怖いわ。
「はぁぁーー……」
このことがお父さんに知られないようにしよう。
「ちはをよろしく頼みますね、ザシャさん。それにしても国際恋愛に国際結婚かぁ……。いいね、青春だね、ちは」
ぽん、と肩に手を置いてお母さんが言う。
う。
全然嬉しくないしむしろ軍人さんをよろしく頼まれるのは私の方ですけど?
しかも軍人さんが何を言ったのかはわからないけどお母さんが納得しちゃってるし。
普通に軍人さんとお茶飲んでたよね。
なんなのあの人!
「ちは、ザシャさんにご迷惑かけないようにしなさい。じゃ、また再来週ね~♫」
お母さんは手土産とかなんとか言って買ってきたケーキを置いて帰っていった。
「一時はどうなることかと思ったよ」
「…………そうですか」
凄く上機嫌な軍人さんと沈んだ私。
軍人さんの馬鹿。
「あ、千早。洗濯機回していい?」
「いいですけど、何か洗うんですか?」
軍人さんは私を見下ろして笑った。
「洗うものがないと回さないよね、普通は」
煩いな。
何を洗うのかって聞いてるんですよ。
「俺が来てたやつ。軍服とか色々」
軍服。
神社か寺院のマークみたいな腕章とか。
茶色のシャツとか。ネクタイとか。
「部屋干しでお願いします」
「どうして」
と子犬みたいな目で聞いてくる。
「……その腕章だけでも部屋干しで。気色悪い宗教関係の人だって思われたら嫌ですから」
「ああ、まあそうかも。ナチとか半分位は気狂いばっかだもんねえ」
お前が言うなよ。
と思ったけれど口には出しませんでした。
「そう言えば軍人さんってどんな事してたんですか? ドイツで」
軍人さんはにっこり笑うと、
「主に女の子と遊んで
「軍で、でお願いします。」
「うーん。これは俺が来てたやつなんだけど、分かる?」
と言いながら、腕に持っていた服の中から白い長いものを取り出した。
白衣。
「医者?」
「そうそう。軍医ってやつ」
人差し指を立てて、得意げに言う。
「これは俺が普通に医者……というか研修医をやってた頃の白衣」
「けんしゅうい……ですか」
軍人さんはそう、と言って頷く。
「でも、さっさとブランデンブルクに入ったから医者としての活動期間は一年ちょっとくらいかな」
ぶらんでんぶるく……?
どこかのお菓子でしょうか。
「ブランデンブルク師団、知らないか?」
「知りませんが」
軍人さんは瞠目して、うーんと唸る。
「…………特殊部隊的な」
「特殊部隊的な、ですか」
でも十日前くらいは、“陸軍からえすなんとかに回されて――”どうのこうのって言ってたはずなんだけど、なんでなんとか師団にいるのかなあ?
「ああ、それは19になって国防軍に入れたから」
「じゃあなんでまたえすえす? なんかに」
軍人さんは苦い顔をした。
「伍長殿がね、アーリア人が好きなんだ。俺はアーリアンだし、身長もちょっとはあるし、軍経験者だしでどっかのおっさんから引き抜かれた」
萎えるわ、と言ってチッと舌打ちすることも忘れない。
伍長殿って誰のことかなあ。
「俺は早く国防軍に戻りたい」
そう言って軍人さんは遠い目をした。
「どうしてですか……?」
恐る恐る聞くと、
「国防軍の時の方がモテた、かなあ」
へらっと笑って答えられたので、とりあえずお腹を殴っておきました。
びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー(´∀`*)にへっ
作者:さあやっと二人になりましたー。
ザシャ:俺の兵科が判明したね。医療系です。兵科色はSSでブルー。
作者:君のキャラも安定してきたね。
さらっと毒舌さんってことにしたよ。自意識過剰の。
ザシャ:俺の評価低くない?
作者:ったりめーだろなに寝ぼけたこと言ってんだてめえは(--〆)
ザシャ:でもさあ、そろそろ来るんだろ。
作者:あと一日くらいは君らのフラグを立てることに専念するから。
ザシャ:思いっきり拒否されたんだけど。
作者:だって傘ネタでフラグたったじゃん。たてたよ。
ザシャ:立ってないよそのくらいじゃ。もっとすごいこと――
作者:じゃあ次回はお前の遊び癖の悪さとか気まぐれさとかダメ人間さを際立たせるやつを書くよ! 書いてやんよ!
ザシャ:それもちょっと。
作者:とりあえず次回は、ザシャさんの不倫とか浮気とか女癖とかそういうことを書きます。
ザシャ:作者のその心理描写は実体験なのかい?
作者:当たり前。というか詳しい描写は体験してなきゃ書けないよ。
ザシャ:失恋描写とかも?
作者:一方的に片思いして一方的に振られた経験ならありますけど?
ザシャ:それは普通のことだよ。じゃあXXX描写は?
作者:どこで私がそれを書いた!
ザシャ:Sorryの方で。うっすーくピロートークとか最中とか。
作者:日本語で言え。
ザシャ:千早、古語辞典。…………えーっと、後朝。
作者:よくできまちたー。で?
ザシャ:君さぁ、やったことあんの?
作者:直接的に聞くな馬鹿男。答えはしーくれっとですよ。
ザシャ:無言は肯定……っと。
作者:千早お前ぇぇぇえええ! 余計な慣用句を教え込むなこいつに!
千早:てへー(棒読




