私をひとりじゃないと <with 水城の士官先生>
前回に引き続き水城の士官先生の深沢義龍さんと一緒にお送りします。
「おはよう佐和くん」
深沢さんの爽やかな挨拶で一日が始まりました。
「もう九時だぞ。早く起きたほうがいい」
「え……っと…………って九時!?」
とっくに一時間目が始まる時間。
「ふかざわさん……あなた知ってますよね? 私学校七時半から……」
「ああ、そうだった。忘れてたよ。ははは」
はははじゃない。
なんか抜けてるっていうか……。
「とりあえず朝食は作ってみた」
「あなたはなんていい人なんでしょうか……」
誰かに作ってもらうご飯ってすごく美味しく感じるよね。
うん。
幸せ…………。
「ってもう九時半じゃん!? 学校に連絡入れなきゃ!」
とりあえず今日は休ませてもらうことにしました。
この二人の軍人さんを置いて学校に行ったら、帰ってきたら家が廃墟と化してる気がするから。
「おはよう千早…………と、義龍」
「さんは?」
深沢さんの目がマジでした。
「…………さん」
軍人さんは、ちょっと引きながら、“さん”を付け足した。
ちょwwwおまwwww
と思ったけど口には出さないでおく。
「千早、顔に出てる」
「え?! 嘘!?」
ぱっと顔を背けると、軍人さんは笑いながら、
「嘘」
と言った。
最近、軍人さんがよくわかりません。
「なあ、佐和くん」
「なんでしょうか」
ザシャさんにはご退席してもらいました。
何か話がややこしくなりそうだったので。
「赤峰見てないか? …………いや昨日から赤峰が見当たらなくて…………」
昨日より更に沈んでる。
「というか赤峰って誰なんですか?」
昨日から出てくる、女性みたいな名前の人。
「私の…………何と言うんだろう、友人のようなそれ以上のようなそんな感じの」
「曖昧ですね」
そう言うと深沢さんは更に沈んだ。
なんか、タブーだったみたいです。
「見えなくなったんだよ……いつも一緒にいたのに」
「見えないって幽霊かなにかなんですか。怖いなあ」
「幽霊……のような違うような……」
また口を濁す。
暫く沈黙が続き、気まずい雰囲気になりかけたとき、
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ここは日本だ!」
と当たり前のことをおっしゃいました。
「それがなんですか?」
「日本なら、赤峰は存在していないことになってる」
「よくわかりませんが、それがなんですか? 女性が存在する存在しないって……」
「なぜ女性とわかった」
「だってあかねって言ったら女性名でしょう」
深沢さんは、少し考え込んだあと、私を凝視した。
「…………頭逝っちゃってると思わないで聞いてくれ。実は戦艦には魂が宿っていてね。“艦魂”って言うんだけど。その国の十代の女性の容姿をしているんだが、その赤峰は赤峰型戦艦の艦魂なんだ」
………………ふむ。
頭逝っちゃってるとしか思えないけど。
「君は幽霊が見えたりするのか?」
幽霊。は、見えない。
けれど、飛行機に居たり船に居たりする、その飛行機や船の名前を持つ人と出会ったことはある。
まあ、ぶっちゃけこいつら頭逝ってるよね☆ と思っていたが。
よく考えてみれば、その……“カンコン”ってやつの亜種みたいなものかもしれない。
「あー…………幽霊、じゃないんですけどね。物体の魂みたいなのは見えたりしますね」
「ほう……」
変な方向に飛躍しそうだったので、
「で、そのあかねさんって方とはぐれちゃったんですね」
きちんと話を元に戻しました。
「そうなんだよ」
「何か心当たりとかないんですか? 喧嘩したりとか。拗ねちゃったりとか」
「はっはっは、そんなこと、は……………………」
だんだん語尾が縮んでいく。
おーい、深沢さーん……?
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びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー m9(・∀・)ビシッ!!
作者:今回はザシャくんほとんど出てきてないね!
ザシャ:主人公のひとりなのにねー。
作者:だって君動かしづらいんだもん。
ONとOFFが違いすぎるって設定だし。
ザシャ:そうだなあ。
作者:ちなみにザシャくんはON→生真面目で誠実、OFF→飽きっぽくて女好き って設定なんですけどね!
ザシャ:軍人にあるまじき性格だね。
作者:自分で言うか?
ザシャ:うん。本当のことだし。
作者:次の次くらいに、ザシャくんの兵科が明らかになったりします。
なんでSSに飛ばされたのかもね。
ザシャ:俺は国防軍というよりブランデンブルク師団にいたんだけど面倒くさいから国防軍にしちゃったぜ。
作者:ブランデンブルクの資料が少ないからです。あと陸軍だと制服のイメージが湧きやすいから。
ザシャ:作者のエゴで振り回されるってかわいそうじゃない?
作者:そんなことないもーん。てことで、次回は赤峰さん(デレVer.)登場です。お楽しみに~!!
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