それでもなぜか安心するのは、
午前、十二時。
「千早」
「…………」
「千早?」
「わぁああっ?!」
ぼんやりとしていたら、背後に軍人さんが立っていた。
「これが戦時中だったら殺されてたかもしれない」
と真顔で言うから、
「今は戦時中じゃないし」
まともに切り返しました。
後ろを振り向くと、……なんというか、服がにあってる。
軍服よりもはるかに。
「似合ってる?」
軍人さんがうざったい表情で聞いてくるから、
「アーハイソウデスネー」
棒読みで返しておいた。
「似合ってるって素直に言えばいいのに」
素の軍人さんが垣間見えたような気がします。
家に帰ると、軍人さんの大量の荷物を使われていない部屋に運ぶ。
「取り敢えず、軍人さんのふ
「ザシャ」
「……ザシャさんの服はクローゼットの中に入れておきましょ……
「どうした? 何か危険物でもあったのか?」
固まった私にかける言葉は確かに間違っていると思う。
なぜならクローゼットには、
「なんなのこの危険物は!?」
銃火器が大量に仕舞われていた。
それと、大きなリュックも。
「これが危険物? ただの護身用のマシンガンじゃないか」
と鉄製の大きな銃を取り出してきた。
「狙撃銃ですよね!」
「いや、護身用だ。千早も一つ持っているといい」
私に一番小さな拳銃らしきものを持たせようとしてくる。
こ こ は 現 代 日 本 で す が ( ゜д゜ )
何かがぷっつんする音がした。
「………………軍人さん」
「ザシャだ」
「軍人さん」
「いやだから―――
「ぐ ん じ ん さ ん 」
「……ハイ」
「ちょっと来てください」
軍人さんは眉を下げると、
「……はーい」
不服そうに頷いた。
「さて軍人さん」
「……何だろうか」
リビングのソファの上。
分厚い本が二冊。
「私から簡単にこの世界のことを聞きますか、それともこの本を読みますか」
本のタイトルは、『日本国憲法』、『2012年版六法全書』。
なぜか本棚に置いてあったこの二冊が無駄にならなくてよかった。
「……これは何についての本だ」
「国の決まりについてです」
軍人さんは眉を寄せて考えていたみたいだったが、
「読むのもいいが時間がかかりそうだ。……手っ取り早く口頭で頼む」
「それが人にものを頼む態度ですか」
「いや、千早が読めと」
また何かが切れる音がした。
「あのですね軍人さん。この世界や社会のことを知らないで生きていけますか? 無理ですよね。日本で銃を持って街を歩くだけで捕まるんですよ。盗みは働いちゃいけないし、差別はしちゃいけないし、誰かを傷つけたり殺したりも駄目なんです」
「……………………」
「何も知らないで生きていけますか」
軍人さんは頭を下げた。
「おしえてください」
「…………よし」
なんだか犬を躾たような気分です。
一通り説明し終えたあと、軍人さんはクローゼットの中の銃火器を整理し始めた。
「家宅捜索なんかされませんから、隠しておけばいいです」
と説明したのに軍人さんはわざわざ、
「いや、すべて壊せば証拠はなくなるだろう」
「その時間と労力は違うことに費やしてください!」
必死で引き止めました。
「それから、その軍服も。…………あとリュックには何が入ってるんですか。怖いです」
軍人さんは手を止めて、リュックを手にとった。
「……これは、私の大切なものだから」
そう言ってクローゼットの奥に仕舞った。
なんか、釈然としない。
「そういえばなんでクローゼットにこんなものが置いてあるんですか」
問いかけると、クローゼットを閉めて立ち上がった軍人さんが、
「最初はここに居たんだ。どこかに閉じ込められていると思った」
苦笑いで答えた。
「…………ああ、だから拳銃を突きつけて脅したんですね。わかりました」
「……それはごめん」
四日目、賑やかな夕方。
作者:四日目終了ー。
???:おーう。
作者:あれ、君誰?
???:某お気に入り小説の主人公級の人だ(`・ω・´)キリッ
作者:そちらの作者さんに怒られるよ。
???:いや、名前まだ出してないから。
作者:そうだけど。
???:しかも了承とったじゃないか。
作者:そういう問題じゃ……いえ、もういいです。
???:と、いうことで。五日目には俺が出てきます。
作者:……男だったんだ。
???:最低限そこは確認しようよ……。