私は本当に理解してなかったのかもしれない。
「……おかえり」
「ただいま」
二十七日目、夜。
いつもと変わらない、……少しだけぎこちない夜。
「軍人さん、これ……」
机の上で散らばっている書類を指差すと、軍人さんは眉を下げて笑った。
「ごめん、つい夢中で読んじゃって。片付けるね」
書類をまとめてクリップで止めて、茶封筒の中に丁寧に仕舞った。
封筒の裏に書いてあるドイツ語は読めなかったけど、軍人さんの扱いからして重要なものなんだろう。
どんなものなんだろう、少しだけ気になった。
「それ、……なんですか?」
控えめに指差すと、軍人さんは懐かしそうに笑った。
「これは俺が研修医だった頃に扱った人のカルテ。医者の側で書いてたやつだよ」
荷物を整理してたら出てきて、と言う軍人さんに、数日前の雰囲気はない。
「懐かしい、ですか?」
そっと聞いてみると、軍人さんは私を真正面から見た。
「……うん。すごく」
そう言うと、軍人さんは封筒を持ってキッチンを出ていった。
「千早~」
「はい?」
暫くして、軍人さんがひょこっと顔を出す。
柔らかそうな金糸が揺れる。
「俺のタイピン見てない?」
「さあ……見てないですね」
軍人さんが衣料品を自室から出したところを(洗濯以外で)見たことないし。
「そっか、じゃあいいんだ」
「なくしたんですか?」
軍人さんは眉を下げて、
「そうみたい」
と言った。
二十八日、朝。
「おはようございます……」
眠気を堪えながらキッチンへ行くと、軍人さんが朝ご飯を作っていた。
「おはよう。今日は遅かったね」
「寝坊しました……」
軍人さんが作ってくれたご飯(純和風)を食べる。
どこでこんなレシピを見たんだろう。
ご飯を食べ終わると、軍人さんが机の上に何かを置いた。
「千早、お弁当」
……こんなことまでしてくれるようになりました。
すっかり主夫と化してしまった軍人さんに苦笑いしつつも、素直にそれを受け取る。
「ありがとうございます」
玄関先で靴を履いて、鞄を持つ。
朝の空気に、小さく欠伸をして、軍人さんに向き直る。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
軍人さんが、私を見て笑う。
そして。
私の、顔に、
首に、
手を――――
パシッ。
「……ぁ…………」
軍人さんの手を払ってしまった。
行き場をなくした手が、暫く空を彷徨う。
軍人さんは、下ろした手を見つめた。
そして、苦笑いを浮かべた。
「……ごめんね、いってらっしゃい」
そう言って、部屋の奥に消えた。
今、私、軍人さんを避けた。
軍人さんを警戒して、軍人さんを、怖いと、思った。
私は急いでドアを開けて外に出た。
暫く、ドアの前で叩いた方の手を見ていた。
びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー・"(>0<)"・
作者:……物語も佳境に入ってきましグハッ(殴
千早:こんばんは、お久しぶりです皆さん。
作者:おま……っ、凶暴……!
千早:何か言われましたか、作者さん?
作者:……いえ、………………なんでもないです……(ガクブル
千早:さて、あと少しですね。
作者:……もうこの時代のことを書けなくなると思うと辛いです。
…………昭和の事なんか書けない……っ。
千早:それはあなたが勉強してないからでしょう。
作者:少しは勉強した……と思うよ?
八雲って船が、オランダまで行くんだよ~。
千早:間違った捉え方をしていらっしゃいます……。
遠洋練習航海での寄港ですよ。
作者:やくも! やくも!
千早:……聞いてないし。
作者:あとは、…………あとは…………。
千早:それだけなんですね。
作者:まあ……そうですが…………。
でもね、次話はやっと、あの人が登場です!
千早:あの人? ……何故か寒気が……。
作者:ちっはたーん、もってもてー。(棒
千早:軍人さん、銃。
作者:本当にすみませんでした。
バンッ!
作者:………………。
千早:作者(ただの屍)が天に昇ってしまったため、ここで終了です。
ではまた次回でお会いしましょう。




