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【BL】前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか  作者: Bee
ダイチの本心

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10

「ただきっかけがそうだったとしてても、俺の気持ちは本物ですし、その……キスだって、したいと思っています」

「……じゃあ、今ここでできるかい? ダイチ」


 試すように彼に囁く。

 でもこれは、俺がダイチと、そしてダイチが俺と一緒に歩むためのファーストステップ。


「キスできたら……全部許してくれますか」


 緊張なのか、少しかすれて震えたダイチの声。そして俺を射るように見つめる瞳。俺の手を握るその大きな手に、力がこもる。


「さぁ……どうかな」


 いじわるくそう言うと、ダイチが「約束してください」と真剣な眼差しで俺を見つめる。


 握られていた手が離れた。今度はその手が今度は俺の肩にかかり、ダイチの端正な顔が近づいてくる。俺の唇に、ダイチの吐息がかかった。


 ダイチは寸前で一瞬ためらうように静止し、それから覚悟を決めたように顔が傾いた。俺はそれを見届けてから、目を瞑った。


 胸のドキドキ音がすごい。俺のなのか、それともダイチのものなのか。


 フワッと唇に柔らかいものが重なり、小さく吸い付くような感触があって……。さあこれからと期待したら、なぜかすぐに離れた。


 え? まさか、もう終わり?


 俺が唖然としていると、ダイチが俺の肩に顔を伏せて、俺を抱きしめた。


「……すっげー緊張した〜〜〜〜」


 俺の耳元に、安堵したようなダイチの明るい笑い声が広がる。


「でもこれで許してくれますよね」


 体を起こして、期待したように俺を見るダイチ。

 あまりにも控えめすぎるキスに驚いたけど、……まあキスには変わりないか。


「しかたがない。これからゆっくり慣れていこうな」


 これまでの緊張した空気が、一気に和らいだ気がする。

 ダイチもこれまでと同じ、人懐こい笑顔を見せている。


 あー、これで一旦落着か?


 ダイチが俺のことを本気で好きで、黒木の影響も夢程度なら、もういいか……。


「ね、ユウジさん。今度オリエンテーリングに行きませんか?」


 緊張が解けたのか、これまで見たことがないくらいテンション高めのダイチに、俺の心も和んで頬が緩む。


「オリエンテーリング? ……って、小学校のときにやった、森とか山の中にあるポイント回って歩くやつ?」


「そう。でもあれって本当はタイムを競うスポーツなんです。コンパス使って地図を見ながら、山の中の各チェックポイントを走って巡って、ゴールまでのスピードを競うんですよ。ちょっと遠いですが、オリエンテーリングのコースがある島があって、そこで今度大会があるんです」

「え!? 俺は地図みながら山歩きとかできないし、それ以前に走れないよ!?」

「大丈夫です。難易度の違うコースが複数あって、子供でも参加できるんですよ。体験コースもあるので、ゆっくりでも問題ないです。俺は本気でやりますけど」

「一緒に歩いてくれるんじゃないの!?」


 俺の反応に、ダイチが「はははっ」と、おかしそうに笑う。


 まあ、そうだな。ダイチと2人で、黒木の好きだった山を歩くのもいいな。

 ダイチみたいなトレイルランは無理だけど、在宅ワークばかりの俺も少しは体力つけて、ハイキングに行くのもいい。


「あ、そうだダイチ。ダイチはバイクの免許取るの禁止ね。危ないから」


 黒木みたいに死んでしまうと嫌だから。


「えー」と不服そうな声がしたけど、こればかりは譲れない。


 それでもしだよ? ——もしもの話。めちゃくちゃ気が早い話なんだけど、俺が死ぬときまでダイチがそばにいてくれたら、ダイチの中にいる黒木の欠片と一緒に天に昇ろう。


 それでダイチを開放してやるんだ。


 ……本当に、ダイチとずっといっしょにいれたらの話だけどね。


「あ、そうだ、ユウジさん。俺からもお願いが」

「ん? なに」

「……佐藤さんと2人で、あんまり酒飲みに行かないでほしいんですけど」


 あー……、初めてダイチが佐藤と会ったのがあれだったもんな。そりゃ嫌か。


「あのときは悪ふざけしちゃって、ダイチの印象よくないかもだけど、佐藤はああ見えて、いいヤツなんだよ」

「……俺の中の黒木さんが、スゲー拒否ってます」

「え!?」

「話聞く度、すっげーイラッとするんですよね。……俺の心が狭いだけかもしれないんですけど」


 あいつ、黒木と接点はないって言っていたのに。もう一度問いただしてみるか。

 まあただ単にダイチが佐藤を嫌いなだけかもしれないど。


 でもこうやってちゃんと嫌なことや、悩んでいることを話してもらえたことは、すごく嬉しいことだ。

 やっぱり何事も話し合うことは大事だなって、つくづく思ったよ。


 これから先、黒木がどういった形で干渉してくるのかは分からないけど、ダイチの顔を見てダイチの言葉を聞いて、問題があればちゃんと話をして、2人の時間を大事にしていこう。そう胸に誓った。


 黒木、ダイチと会わせてくれてありがとうな。

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