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イケメンはご遠慮いたします。  作者: 紫野 月
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 月曜日です。

 また新しい一週間の始まりです。

 営業部のフロアは朝から活気づいてます。というか営業さんが忙しそうにしているので事務方もつられて忙しい気分になっているのです。ってかピリピリしているカンジ。

 ああ、早く外回りに行っちゃって下さいな…… なーんて心の隅っこで思ってしまいました。ごめんなさい。


 朝のバタバタが終わりホッとしていたのも束の間。夕方の終業一時間前の今、再びバタバタピリピリが発生しております。月初めで営業さん達も早めに帰社してくるのである程度仕方のないことです。

 しかし、今日はいつも以上にピリピリ感があります。いえ、どちらかというとバチバチッの方があてはまるかも。なんと珍しく営業のエース水嶋さんがフロア内にいらっしゃるのです。

 いつもはこんなに早く帰ってくることなんてないのに…… まっ、そういう日も偶にはありますよね。ってか偶にしかないことなので女性社員の皆様が色めき立っているのです。

 なんとかきっかけを作って水嶋さんに話しかけ、今日この後の約束を取り付けようと、お互い牽制しながら虎視眈々と時機を狙っておられます。


 先ほど営業二課の可愛い新人営業マン(いや女の子だからウーマン)が仕事の相談にかこつけて誘っていましたが見事に振られていました。

 その次は一人では話しかけにくいと数人で挑んでいましたがあっけなくかわされてしまいました。

 奥村さんもあれやこれやと話しかけていますが仕事以外の話題に持ち込むことが出来ないようです。

 そんなこんなで今、水嶋さんからは近寄ってくるなオーラが漂いはじめてます。そりゃ水嶋さんだって早く仕事を片付けて出来る事なら定時に帰りたいですよね。それなのになんやかんやと話しかけられ仕事の邪魔をされたら不機嫌になりますよ。それは当然の事だと思います。


 しかしその負のオーラをものともせずチャレンジしようとコーヒー片手に近寄っていくお姉さまがいらっしゃいます。うーん勇者だ。こんな冷気を漂わせた方に近付くなんて私には出来ません。コーヒーどころか急ぎの書類を片手にしたって行けそうにありませんよ。

 ああ、どうやらコーヒー作戦も失敗したようです。

 気の毒に。水嶋さんの為にわざわざドリップまでしたというのに…… 受け取ってもらえなかったコーヒーを片手に大変しょんぼりなさってます。

 うわっ。それを見ていた奥村さんがニヤッと笑いました。すっごく嫌な笑い方です。なんていうか、そうメロドラマの悪役が悪だくみを思いついた時に浮かべる感じのやつ。こっ、こわ…… 見なきゃよかった。


 水嶋さんの不機嫌オーラとお姉さま方の無言の圧が渦巻くフロア内。カ、カオスです。なんかだんだん息苦しくなってきました。この緊迫したムードをどなたか打破してくれないでしょうか。

 ああ、頑張れ美鈴。あともう少ししたら終業時間だ。

 ぴったり定時に席を立てるよう兎に角仕事を片付けよう。

 集中、集中だ! 仕事に集中するんだ。

 パソコンの画面しか、もう見ないぞ__っ。



「お疲れ様」

 緊迫感でパンパンになった空気の中、綺麗な声が響きました。

 営業一課紅一点、戸田マリエさんが出先から戻ってきたようです。

 帰って来たばかりの戸田さんは、この妙な雰囲気を意に介すことなく水嶋さんの傍に行くと、

「主任。後藤物産の件ですが」

「ああ、どうなった?」

「××××」

「××××」

 そして二・三会話したあと二人してフロアを出ていったのでした。ミーティング室にでも行ったのでしょうか。


 ああ! ありがとうございます、戸田さん。

 貴女のお蔭でこの重苦しい雰囲気が解消されました。

 ううっっ。空気がおいしいよぉ。



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