40話 「え、なんだって!?」
「……だよね」
覚悟していた。
そう物語る猿渡さんに。
「僕は――」
僕は、告げる。
「――猿渡さんのことが、好きです」
僕は、告げた。
告げた、のだけれども。
「…………………………………………………………………………………………え?」
帰ってきたのは、こんな間抜けな一文字だった。
え?
こっちがそう言いたくなるくらいには、猿渡さんの反応は想定外だとでも言えますか。
「え、」
なんか、こう、凄まじい拒絶か遠回しな拒絶か『え、なんだって!?』が来るのかと思っていたがどうやら違うらしいし。
確かに今、猿渡さんに僕の言葉は届いてなかった。もしくは、届いていてスルーした。
でも、演技にしては自然すぎる表情だ。
でも、微妙に頬が赤いような気もする。
演技をするくらいなら赤くはならない、ような気がしないでもないし。
つまり。
「……もう一度、ハッキリ言い直した方が良かったりしますかね?」
「いやいや大丈夫、聞こえてたから!」
物凄い勢いで否定された。
って言うか、聞こえてたのね。良かった良かった。
これで『え、なんだって!?』が来ていたら少し悲しかったからね。
「ただ、ちょっと、想定していたのとあまりにも違いすぎる言葉が飛んできて驚いてただけだから、さ!」
「え、なんだって!?」
想定!?
ってことは、猿渡さんは僕になにか別のことを聞かれる(or言われる)と思っていたの?
別のこと、とやらを聞かれたくない(or言われたくない)から、僕によそよそしかったの?
じゃあ、別のことって?
「……あぁ」
そうか。なるほど。一つ、心当たりがあるじゃないか。
僕の下着だ。
今、僕が身に付けているのは、猿渡さんの下着。
何故かとってもフリフリがついていた、可愛らしいデザインの下着だ。
どうしてこんな勝負下着がこんな場所にあるんだ、とか聞かれたら猿渡さんも困るよねそりゃあさ。
いや、でも待て。
現さんの《創造捏造》が言うには、猿渡さんの態度の原因は僕の好意なん、じゃ……。
「あ」
そうか。
かけ算か。
一つ一つは小さくても、かけることで強靭な力を発揮し、無敵となる。
そんな少年マンガチックな最強理論なのか。
つまり。
『猿渡さんのことを好きな僕』
×
『猿渡さんの下着を履いた僕』
↓
『好きな人の下着を履いて一晩過ごした男子高校生(つまりバリバリ思春期)』
それは。
「違ううううううううううううううう!」
僕の右手を押さえつけた力を甘く見てもらった困るんだよマジで!
プラトニック、超大事!




