22話 え
思春期の男子なら、一度くらいは『この世界に特殊な力を持った人間がいたら楽しいんだろうなぁ』とか考えた事があるだろう。きっと。
で、今、実際に僕の前には《創造捏造》なんて力を持った人間がいる。
……これは、喜べば良いんだろうか嘆けば良いんだろうか喜べば良いんだろうか。それとも、喜べば良いんだろうか。
「で、《創造捏造》ってどんな力なんですか?」
相手が特殊な力とか持ってたりするのなら、その内容を知って対策を立てる事が大事だと思うんだ。
「話してみればどーせすぐに分かるだろうよ」
「実と話せばきっとすぐに分かるわよ?」
殆ど同時に、そう言われた。
ハモってないせいで聞き取り辛かったけど、それは二人のコンビネーションが良くないって事だよねよっしゃ。
「はーい、夕食食べたい人はカウンター席に来いやー」
ガバッ、とその声に反応し、勢いよく席に着く四人。
「って、あれ、アリスちゃんもいたんだ」
「? アリス、今ハブられましたか?」
ふと横を見たら、現さんを見つける前を最後に姿を見ていなかったアリスちゃんがいた。
「ちょっと暇だったので釣りしてました」
「釣り?」
この海に、釣れるようなものなんてあったっけ?
と、そう言えば。
「アリスちゃんがと初めて会った時、アリスちゃんって頭に海草つけてたよね?」
「? はい」
「この海に海草なんてあったの?」
少なくとも僕が見た限りでは、海の中には砂くらいしか物がなかったのに。
「ある所にはありますよ。魚を見た事はありませんけど」
「なのに釣りを?」
「海草を釣ってるんです」
へぇ。
しょっぱくない海で海草って育つの? ……とか思ったけど、この世界にリアリティを追求したらいけない気すらしてきたよもう。
「スミレの事をアリスって呼ぶ奴がようやくできたのか。良かったなスミレ」
「アリスです、って何度言えば良いんですか!」
「さぁ、スミレちゃん達も喋ってないで食べちゃってねー」
おっと、そうだった。久々(?)の唐揚げ定食。冷めない内に食べないと。
でも、これだけは。
「……あとさ、アリスちゃん。《創造捏造》って言葉を聞いた事ってある?」
あの二人からヒントが貰えないのなら、アリスちゃんから聞くしかない。
「え? 何ですかそれは?」
え。




