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Force  作者: 本願寺 裕真
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A time of the moment

『おい、浩平。この船凄くないか?

温水プールもあるし、ゲーセンもあるぜ!』


健吾はとても興奮している。


『浩平、どこに行く?やっぱりプールかな。』


健吾はさっきの問題の事などもう既に忘れているようだ。


だけど無理もないかも?


この船はちょっとしたレジャー施設のようなものだから。


『優子達もプールに行かないか?』


健吾が誘うと『私はパス。』と優子は健吾の誘いを断った。


遥かも健吾の誘いを断り、二人で船内をゆっくり見た後に


何をするか決めるらしい。


健吾は浩平の手を引き、プールへ誘う。


『わかったよ、じゃあまた後でな!』


浩平は遥かと優子に軽く手を挙げ、部屋から出て行った。



『香織さんどこ行きます?プール?それとも岩盤浴?

ショットバーもありますよ。』


千夏は香織にまくし立てるように言っている。


『へぇ、色々あるんだね!』


香織も施設の充実さにびっくりした。


まさに豪華客船顔負けの船内施設の数々、全て行きたい気分だ。


『相島さんと大友はどこに行くの?』


千夏がそう聞くと、


『とりあえず客室で昼寝でもするかな、朝早かったからな。』と


大友が言うと


相島は『俺は船内を見てまわるよ、中々乗る機会なんてないしな。』


『じゃあ、またディナーの時にね。大友、寝坊しないでね!』と


千夏が部屋を出ていく。


その背中越しに大友が『おぅ!』と声をかけた。




『まずは一段落ですね。』


戻ってきた岸谷に一幸が声をかける。


『えぇ、何とか終わりましたね。』


『これからどうしましょうか?』


『あなた、プールバー行かない?』と奈緒子は岸谷に言う。


『私達は甲板で風を浴びてこようかな?』


由子は一幸の腕を取り引っ張っている。


一幸はいつかもしていたように右手で


『ごめんね。』の合図をしていた。


『じゃあ、俺らも行こうか。』と


岸谷は何年ぶりかわからないけど奈緒子と手を繋ぎ


最後に部屋を出て行った。


圭介達が入っていったドアを横目に見ながら・・・




浩平と健吾は温水プールでひと泳ぎした後、


プールサイドで横になっていた。


『なぁ、浩平。遥って予選の時に比べて何か変わったよな。』


健吾は天井を見上げながら言う。


『何かわかんないけど、積極的になったと言うか・・・』


浩平は何故変わったのか理由を知っている。涙の決意を聞いたから。


『そっかぁ?やる気になったんじゃないか?』


浩平は前日の事は遥と自分の二人だけの秘密にしたかった。


『ところで優子の方はどうなんだよ。』


浩平が健吾に聞くと


『う~ん、実際のとこよくわかんないだよなぁ、

元々気分屋だからな。』


健吾は相変わらず天井を見上げたままだ。


『遥のやる気を少しはわけて頂きたいもんだな。』と健吾が言う。


『お互い様だよ、優子の積極性が欲しいよ。』


そしてお互い顔を見合わせ、


健吾は『きっと今頃、あの2人くしゃみでもしてるぜ』と言い、


『いない所でひどい事を言ってるな、俺達は』と浩平が言い、


二人で笑った。




『なんか、大友って急にテンション下がったと思いません?』


千夏は岩盤浴の上に寝たままで香織に尋ねる。


『あの事をみんなに反対されたからじゃない?』


香織はちょっと心配になっていた。


最後の封筒をみんなで探していた時の事。


大友が言った事に対して強く反対した。


『大友の事だから、明日にはまた元気な大友に戻ってますよ。』


千夏は笑顔で言うと『馬鹿に大友の事わかってるじゃないの。』と


香織は冷やかす。


『ちょ、ちょっと香織さん、冷やかすのはやめてくださいよ~。』


そう言ってる千夏の顔を見るとまんざらでもない様子だ。


『そういう香織さんはどうなんですか?相島さんはどうです?』


千夏は矢継ぎ早やに聞いてくる。


『頼りになる先輩、そしてそこから恋に発展なんて定番ですよ。』


千夏とこんな話をするのは初めてだった。




『なんか久しぶりね、こうやって二人きりで飲むのは。』


奈緒子はグラスを見ながら言う。


付き合っていた頃は何度もこんな事はあったが、


結婚して菜月が生まれてからは、


二人きりで外で飲む事なんてなかった。


『久しぶりにデートしている感じだな。』と


奈緒子の顔を見ていうと『何だか恥ずかしいわね。』と


奈緒子は照れを隠すように横を向いて言う。


『でも、あなたがこの大会に出てくれるなんて思いもしなかったわ。』


『気持ちの変化かな?というより変わりたかったかも知れないな。』


『どういう事?』


『う~ん、毎日の日々から変化が欲しかったと言うか、

何か変わるんじゃないかと思ってね。』


『ふ~ん、そうなのね、私全然気付かなかったわ。』


そう呟くと奈緒子は俯いた。


『参加したおかげでこうしてまた二人きりでお酒が飲める。』


そう言うと岸谷はグラスを重ね、奈緒子と乾杯した。


『久しぶりのデートに。』




『つかの間のひとときですね。』米村はそう言うと、


『そうですね、たまには休まないと気も滅入ってきますからね。』


圭介は窓から外を見て、


『いくら自由に飛びまわる事の鳥でも休まなくては、

いつかは飛べなくなってしまう。』


かもめが甲板の手摺りで休んでいる。

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