篩落とされた者は
最後の3問目に選ばれた3人が解答席に着く。
岸谷は緊張をほぐす事を考えるが考えれば考えるほど
プレッシャーが押し寄せる。
『浩平君、さっきは見事な推理だったね。
まさか旗が3色とは思いもしなかったよ。』と
渇いた唇が少しは潤うように話しかけた。
『たまたまですよ。』と浩平もそう言うだけで
浩平の緊張感も岸谷にはひしひしと伝わって、
更に緊張感が高まった。
香織は席に着くと岸谷、浩平に軽く会釈をした。
特に岸谷には予選会場である某ホテルに集まった際に
人込みの中で倒れそうになった時に
助けてもらった事を思い出す。
しかも1次予選も断トツの早さで通過しているから、
1番のライバルでもあるし1番気になる男性でもある。
浩平は岸谷と香織を横目で見ている。
浩平から見ると二人は大人に見える。
落ち着いた雰囲気がしており、どこと無く余裕すら感じてしまう。
今ここにいるのも、香織達からもらった封筒から
ここまで勝ち残れたのだから。
そしてこの状況下においても、気軽に話かけてくる。
夏休みの思い出作りだと割り切ってみても、
やはりどこかで割り切れない自分がいる。
『ではいよいよ最終問題です。』
司会者の男が開始の合図を出した。
解答時間はあっという間に過ぎていく。
『さて、お楽しみにはディナーの時に発表しますか。』
圭介は米村を呼び、こう言うと『お楽しみですか?』と
米村はどういう事なんだろうという顔をして圭介を見ている。
『そう、ディナーの時に解りますよ。
それより今日のシェフは槙野さんですか?』と
圭介は米村に尋ねると
『えぇ、槙野シェフですよ。』とこたえる。
『そっかぁ、槙野さんの作る、子牛のひれ肉の赤ワインソース
大好きなんだよなぁ。』と
頬杖をつきながら圭介は3人の解答者の顔を
じっと眺めるように見ている。
『米村さん、信頼している人達から、
ふるいにかけられ堕とされる時ってどんな気持ちでしょうね?』
圭介は聞くと、『流石に堪え難いでしょうね。』と米村がこたえる。
『もしそのふるいにかけられるのが米村さんだとしたらどう思います?』
圭介がそう言うと、米村は『えっ?』と言ったまま声を失った。
圭介は笑いながら、
『あはは、冗談ですよ。私はあなたを信じていますからね。』と
言うと米村の肩をポンポンて叩くと、
『これからも宜しくお願いしますね。
そろそろ時間ですよ、米村さん。』と
圭介は言い、テーブルの上のミネラルウォーターを飲み干した。
『では時間となりました、皆様お疲れ様でした。』
司会者の男性がそう言うと3人共に深いため息をついて
解答用紙を司会者に渡すと仲間のところに戻る。
『皆さん、本当にお疲れ様でした。これから夕食までは
フリータイムとなっております。船内施設は自由に
ご利用出来ますので、ゆっくりお寛ぎ下さい。』
圭介はそう3組の前で言って一礼した。
『船内施設につきましてはパンフレットをご覧下さい。』
司会者の男性がそう言うと各組にパンフレットを渡し、
『ディナーは18時からとなっております。
宿泊は到着後、別荘をご用意しておりますので
そちらでお休み下さい。』
そう言うと圭介とともに奥の扉から出ていった。
『どうです、私の演出は?』圭介は田中雅美に笑顔で話す。
『まさか最後の1つ、3組分が同じ場所にあるなんて
想像もつきませんでしたよ。』
雅美は笑顔で言う。
『明日はもっと驚く事が起こりますよ。』圭介が言うと、
『ちょっとだけでも教えてもらえません?』雅美が聞く。
『明日ですよ。』圭介は笑顔で雅美を見つめる。




