選ばれしもの
浩平達は集まり、1つ目の封筒を開く。
封筒からは1枚の2つ折された紙が入っていた。
浩平はその紙を開いた。
そこには『問題はこのチームの中で1番頭脳明晰な女性が答えよ。』と
書かれてあり、封筒の中は解答者の条件が書いてあるのだ。
健吾は『この条件だと遥だな。』と即答し遥を見た。
浩平も学校の成績だと確かに遥が優子よりは上なので、
この条件あてはまるのは遥と思った。
遥は優子に気を使っているのか、
健吾の言った言葉に戸惑いを見せている。
優子は『成績じゃ遥に敵わないしね、頑張ってね。』と
遥に言うと遥は何も言わずに頷いた。
1問目は遥が代表で答える事になった。
『じゃあ中を見て見るよ。』
相島は封筒から紙を取り出した。
『問題はこのチームの中で1番頼りになる男性が答えよ。』と
書かれてあった。
『じゃ、相島さんよろしくお願いしますよ。』
大友は少し投げやりに言う。
『おい、大友。どうしたんだ?』
相島は背を向けて、他人事のような感じの大友に声をかける。
『拗ねなくてもいいじゃん、相島さん答えてきてね。』と
千夏は言う。
今完全に大友はこの中で浮いてる存在になっている。
香織は何だか嫌な雰囲気を感じていた。
『岸谷さん、封筒開けてみて下さいよ。』
一幸は岸谷にそう促すと封筒から1枚の紙を取り出した。
『問題はこのチームの中で1番しっかり者の女性が答えよ。』と
書いてあった。
既に女性という段階で岸谷と一幸には解答の権利はなく、
奈緒子、由子のどちらかが解答しなければならない。
更に条件として、しっかり者の女性。
岸谷と一幸は考えている。
どちらも同じようなものとして見ているからだ。
当事者の二人は近所の奥さんの日常風景のようにお互いがお互いを
解答者に勧めあっており、岸谷と一幸も少し呆れ果てている。
『ここは由子ではなく、岸谷さんの奥さんでどうですか?
由子よりはしっかりしてますよ。』
一幸が言うと、岸谷は頭を掻きながら奈緒子を呼び、
『奈緒子、頑張ってこい。』と言うと奈緒子はちょっぴり
びっくりした様子をしていたが、コクンと頷くと解答者席に向かった。
『解答者の方は決まられましたでしょうか?』
司会者の男性は3組に対し言うと、
それぞれから1問目の解答者が出揃い、解答席に案内された。
遥は同じ1問目の解答者でもある岸谷奈緒子が気になっていた。
予選開始の前に会場内でぶつかった事を覚えているからだ。
その人が同じ1問目から解答者として横にいるのが不思議と
何かの縁だと感じていた。
相島は遥を初めて見た時から聡明な女の子だと思い好感を持っていた。
最初に出会ったのは1次予選を通過し、
控室に向かう肩を落として座りこんでいた
高校生のグループにまだ問題の入っている封筒をあげ、今ここにいる。
渡さなかったら、この場所にはいないグループだっただろう。
敵に塩を送った形にはなったが、それを相島は後悔してはなかった。
岸谷奈緒子は同じ解答者を見渡す。
一人は高校生の女の子、彼女の若さが少しうらやましいと感じていた。
もう一人は奈緒子が少し気になる社会人の男性である。
まだ20代後半くらいの男性で、付き合っている時の岸谷大輔と
似ている感じがしたからだ。
3人は席に座り、それぞれの色々な思いを感じながら問題を解いていく。




