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第10話 水くみパラダイス

 首都ニューデザート。

 魔法のじゅうたんで、やって来たテーダンたち。

 首都の人々には、かなり驚かれた。

 魔法のじゅうたんを丸めて小脇にかかえるテーダン。

 パトラちゃんの道案内で、大臣住居に滞在中の母クレオ・ミトに会った。


 大臣住居エリア。

「パトラですのねえ」

「お母様。サンドリッチメロンが食べたいですわ」

「はいはい。ありますよう」

 パトラちゃんが、二人いるかのような、似たもの母娘。

 差し出されたカットメロンは、美味しそうだ。


 はむっ…。

「…美味しいですわ」

「…美味い」

「…天国に昇るぜ」

 パトラちゃん、テーダンと、面白顔でギョロ目のジンリン。三人で、メロンをスプーンで食べる。

 美味しい。

 甘い。

 デリシャスである。



 第10話 水くみパラダイス



 首都ニューデザート。オアシス水売り屋本店。

 テーダンとジンリンは、師匠に会いに来た。

「おお。テーダンとジンリン。元気そうじゃな」

 砂漠精霊ジンの長老スフィンクスだ。

 テーダンの水売り屋は、このサンドラム支店なのである。

「水売り屋は、繁盛しておるかのう」

「大もうけだよ。オアシスが無料だからさ」

「本当だぜ」

 テーダンにとっては、恩人。

 ジンリンにとっては、父親だ。

「相変わらず、頭が悪いままか。テーダン。継続が力じゃぞ。頭の出来は、関係無い」

「うん。わかった」

 スフィンクスは、師匠。テーダンは、褒めれば伸びる子だとわかっている。

「ジンリン。お前は、テーダンのことを助けるのじゃ」

「おう。わかってるぜ。父ちゃん」

 ぎゅ。

 手と手を握り合う。

 スフィンクスは、父親。ジンリンは、プライドが高く、強気だが、サポート向きの才能を持っていることを理解している。

 テーダンとジンリン。

 良いコンビだ。

 これからも、二人三脚。水商人を続ける。


「わたくし、商人テーダンさんの婚約者ですわ」

 パトラちゃんが、お辞儀をする。

「おお、テーダンも、そんなお年頃か。美人を見つけたのじゃな」

 長老スフィンクスが、目を細める。

「随分と、マブイねーちゃんじゃのう」

 マブイねーちゃん。

 ジンリンと同じ意見だ。さすが、父親。

「モテるというのは、商人として成長した証拠じゃぞ」

「あ、ありがとう。スフィンクス師匠」

「テーダンは、色男だぜ」


 水売り屋本店の混雑する時間帯になった。

 その後、サンドリッチメロンの箱を3箱持って、魔法のじゅうたんで、サンドラムの街に帰還した。


 サンドラム街。フリーオアシス。

「ここが、俺とジンリンの夢のオアシスだ」

「まさしく、夢のはじまった場所だぜ」

 水商人を続ける夢を持つ。

 精霊ジンの親友がいる。

 しっかり者の妹がいる。

 そして、この商人に惹かれたパトラちゃんがいる。

 上流階級の出では無い。

 しかし、夢、親友、妹に恵まれている。 


 水商人テーダン、魔法のランプなんかいらない。

 上手く使う方法なんて思いつかない。

 地道に、地味に、水くみ人生。エンジョイだ。


 砂漠王国。

 砂漠の精霊ジンと共存する国。

 魔法のランプがある。魔人を従えて、それで成り上がる人の話は、別の物語。

 水商人テーダン。夢は、水くみパラダイス。

 暑い中、キミに“水”を売る商人が頑張っている。

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