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第1話 水商人テーダン

 砂漠王国。

 サンドラムの街。

 天井の開いたサン洞窟の中にある、比較的涼しい街。

 砂漠のお手伝い精霊のジンたちと共存している。


 財務大臣の管理のもと、商人会があり、商業が盛んに行われている。


 水商人テーダンは、商人会の新人である。

「今日も、水くみだ!」

 明るく活発、元気いっぱい。

 テーダン・ダン。16歳。

 黒髪のくせっ毛にターバンを巻いた男の子。

 短いチョッキにぶかぶかズボン。

 水くみを丁寧にすることを心がけている。

 くんだ水を、一滴残らず売る。

 頭は悪いが、水くみ商人が一番、楽しいのだ。


 サン洞窟のオアシス。

 街から離れたところにあり、無料で、くみ放題。

 これを、荷車のタルに入れて、売る。

 単純明快。

 大もうけでは、ないだろうか。



 第1話 水商人テーダン



「動いてたら、暑くなってきた」

 水をくみ、二個のタルのフタを閉めた。

 サン洞窟の中にあるとはいえ、天からは、直射日光が振り注ぐ。暑いのだ。


「しょうがねえヤツだな。テーダン」

 砂漠の精霊ジンの、ジンリン。

 青い髪で小柄。ギョロ目の面白顔の男の子。

 生活に密着した魔法が得意な、テーダンの親友。


 ブオー。

 扇風の魔法をかける。


「あ、涼しいな。生き返るな」

「涼んでないで、早く帰ろうぜ。妹のオキミが、お前の帰りを待ってるぜ」

「そうだな。帰るか」

「荷車にも、魔法をかけるぜ」


 フワー。

 荷車のタルを軽くする魔法をかける。


「ありがとうな。ジンリン」

 荷車は、軽い力で押せるようになる。

「良いって、ことだぜ」


 サンドラムの街。

 市場エリアと住宅エリアがある。砂漠の洞窟の中の街。

 洞窟の天井は空いていて、暑い日差しが照りつける。

 街の住人は、男性は、ターバンが目立つ。

 女性は、日焼け止めで、顔、身体中を隠す格好が多い。

「…どなたか、お助けくださいな」

 街のターバン男に、声をかけてまわる女の娘がいた。

 顔、身体中を赤紫色の布で隠した女の娘だ。

 声で、可愛らしさが伝わる。

 しかし、今日は、暑い。


「暑いんだ。離してくれ」

「暑い。暑い」

 街のターバン男たちは、砂漠の精霊ジンたちの冷風の魔法が効いた室内へと、次々と入ってしまう。


「…どなたか」

 汗をにじませる女の娘。

 サンドラムの街の外の人が、ほとんど室内に入って行く。

「…お助けくださいな」


 その前に、荷車を引いて、オアシスから帰還したテーダンが通りかける。

「…どなたか。お助けくださいな」

 テーダンは、話しかけられる。

「あ、可愛い声の女の娘だな」

「…わたくしを、お助けくださいな」

「暑い…。また、後でな…」

 オアシス水売り屋。

 看板の前に、荷車を置いて、すぐ、店の中に入る。

 店内の床に敷かれた冷風の魔法陣から、涼しい冷風が吹いてくる。

「涼しい…」

「涼しいぜ」

 テーダンとジンリンは、冷風に救われる。


「…わたくしを、お助けくださいな」

 女の娘が、一緒に入って来た。

「…涼しいですわ」

 魔法陣の冷風に女の娘は、顔を覆っていた布を脱ぐ。

 金髪のロングヘアの女の娘だった。

「わたくしは、パトラ・ミト」

 女の娘パトラちゃんは、優雅にお辞儀する。

「わたくしに魔法のランプを使わせてくださいな」

「え?」

「貴方の望みも叶えさせてあげますわ」

 パトラ・ミト。16歳。財務大臣の娘だった。

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