1.戦勝報告
以前投稿していたものを修正して再度投稿します
「王よ、此度の勝利、誠におめでとうございます」
「おめでとうございます!」
この大広間の下座中央前列に座る大きな体格の男に次いで、他の家臣達も声をそろえて頭を下げる。そして俺はそんな非現実的な景色にやや遅れをとりつつも、同じように頭を下げた
「うむ。しかし今回の功労者は我では無い。柳泉!前へ」
「は、はい!?」
突然名前を呼ばれた俺は声が裏返りながらもどうにか返事をした。ただし、前へと言われて「かしこまりました」と前に出て良いものか分からない。
視線を少し左右に動かすと、隣に座る老人に頷かれた。きっと遠慮するなということだろう。小さく頷き、俺は俺を呼んだ主の前へと進み出る。腰を下ろしたのは、先ほど勝利を真っ先に祝った男の隣だ。
顔を上げると上座に座る主は不満げに扇子を閉じて、自身の前を指さす。
「・・・はい」
俺が大人しく更に前に出たことで、満足げに頷く主。そして背中には警戒心むき出しで、視線で殺そうと睨み付けてくる家臣達。
「柳泉よ。此度の献策大義であった。そちのおかげで、長年頭を悩ましていた事態にケリを付けられたわ」
機嫌がいいのは結構なことだが、済んだのなら早く戻して欲しい。ここはあまりにも居心地が悪い。
「そなたには恩賞を与えねばならんな。しかしそなたは皇子の客であり、我の家臣ではない。何か望むことはあるか」
望めば何でもくれるのだろうか。あまり遠慮の無いことを言えば背後から切られかねない。ただ、そうなってくると願いは1つになってくる。
「ではお、私の身の安全をお願いします」
「それは当然だ。でなければ朱光が悲しむ。それで?」
「・・・」
「それだけか」
少しビックリしたようで、主は口を閉ざした。ただ俺にとって身の安全が最優先である。なんせ俺はこの土地の人間じゃない。いや、正確に言えばこの世界の人間で無いと言うべきか。
「わかった。そなたの願いを叶えよう。しばらくこの宮に留まれば良い」
「王!?」とか「いけませぬ!」と周りの家臣らがざわめいたが、手をあげて周りを黙らせた。あまりにもこの場所は居心地が悪い。話はきっと終わったのだろう。
「ありがとうございます!」
頭を深々と下げて元の場所に戻った。先ほど、教えてくれた老人はニッコリとして頷く。おそらく間違いは無いと言うことだったのだろう。そしてその後も褒美の授与があり、主は部屋から去って行った。それと同時に家臣の皆さんも部屋を出ていくのだが、とにかく俺への視線が刺々しい。まぁそれも仕方が無いのかもしれない。
俺がこんなことになっているのは、とても厄介な理由がある。まぁこんなことを言っても誰も信じてくれないのだろうが・・・。
のんびり投稿です




