表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/54

マリちゃんの怒り(マリちゃん視点)

 私は学校が終わると仕事がない限り、哲ちゃんの家に遊びに来る。私が傍にいる事実を当たり前になるように今の内から刷り込んでおくために(黒い笑)。

 それに今はベースを練習するために来ている。哲ちゃんの傍にいるには何か楽器ができる方が良い。まだまだお子様の哲ちゃんは恋愛に興味ないだろうから、私も自然で居られるように頑張っている。

 だって考えてみて。中学生が小4男子に夢中になってるって、友達も信じてもらえないよ。まして私はモデルをやってるからか、同級生より大人びている。高校生に間違われる事もあるくらい。だから、とっても変に見えると思うの。

 今日も哲ちゃんの仕事部屋で練習してる。哲ちゃんの仕事部屋には元々バンド練習できるだけの楽器が揃っている。亡くなった哲ちゃんの伯父さんがプロのミュージシャンだったらしくて、ギターなんて何本も置いてあるの。

 そのなかのベースを借りて私は練習しているの、爪が痛むとモデルの仕事に障るからピックで弾いているわ。

 それにしても今日は哲ちゃんの帰りが遅い。普通なら小学生の哲ちゃんがさきに帰宅しているはず。哲ちゃんは友達が少ないし仕事もあるから、あまり放課後は学校に残らないもの。何かあったのかな?

 トラもそわそわし始めている。トラは仔猫の頃からずっと哲ちゃんと一緒だったから、離れると不安そうにする。おばさんによると最近は落ち着いたけど、哲ちゃんが小学生に上がったばっかりの頃はニャーニャー鳴いて哲ちゃんを探し回っていたんだって。だから今でもいつもの時間に哲ちゃんが帰ってこないと、そわそわし始めるの。

 「哲ちゃん迎えにいこうか。」

 そう話しかけると、トラはとても賢いので「ウニャッ」と鳴いてから私に寄って来る。抱いていけということだろう。トラはとてもチャッカリしているの。




 小学校の校門の所まで来ると、向こうから事務所の顧問弁護士さんがやって来た。

 「山下君に事件のことで、中学校の先生に呼び出されたから来て欲しいといわれたんです。」

 カツアゲしていた松永のことは知っている。運動部で期待されてて、スポーツ推薦で進学も決まっている奴だ。

 少し運動ができることを鼻にかける小物で、私みたいにモデルで世間に認められているような人間には卑屈な態度をとるのに、普通の生徒には大きな態度で上から来るので皆に嫌われている。

 だけど顧問の先生なんかには猫を被っているので割と可愛がられているの。あんな下手くそな演技に騙される先生たちも、陰で普通の生徒にはバカにされているけど。

 とにかく一部の先生たちに贔屓されているやつの事件だから、哲ちゃんたちが呼び出されるなんて、嫌な予感しかしない。私たちは急いで応接室に向かったの。

 「生意気言うなっ!」バシイッ!!

 応接室の前でも聞こえるほどの怒鳴り声に殴打の音、あれは松永を贔屓している顧問の藤沢の声!!

 私たちは慌てて部屋に入ったわ。

 その時、私が見たのは崩れ落ちる哲ちゃんの姿だったわ。

 私は声も出せずに、哲ちゃんに縋り付くしかできなかったわ。トラが「ニャーニャー」と哲ちゃんを心配しているのを辛うじて認識しているだけで、他は何も頭に入ってこない。

 「寝たふりするなっ!起きろっ!俺が性根を叩きなおしてやるっ!」

 藤沢の非常識な怒鳴り声で、私は何とか正気を取り戻したかわりに怒りが湧いてきた。哲ちゃんに触れたら、こいつ殺してやる!と思ったけど小学校の先生が藤沢を抑えてくれたし平嶋くんは泣いちゃっているしで少し冷静になれた。

 弁護士の先生は修羅場に慣れているみたいで冷静ではあるけれど、子供に暴力を振るう藤沢に嫌悪を隠さずに警察と救急に連絡をいれていた。

 その間も藤沢は「寝たふりだ」とか「暴力でなく指導だ」って寝言を言っていたので、私はこの体育教師に社会的に死んで貰えるよう弁護士先生に頼む決心をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ