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家族の怒りと決着

 結局、俺は救急搬送されたものの特に異常は無く軽い脳震盪で、病院に一泊しただけで済んだ。もっとも数日は学校を休んだけど。

 中学校体育教師藤沢は警察に連行されたものの処分保留で釈放された。しかし今後の示談交渉の行方によっては再度収監、起訴もありうると思う、前世の弁護士事務所での経験上。藤沢(理不尽に殴られたから今後、敬称は略)は分かってないだろうな。あのタイプの人間は自分の主張は認められて当然だから、疑いもしないだろう。

 休んでいる間、多くのひとが見舞いに来てくれた。

 マリちゃんが毎日来ているのはいつもの事として、平嶋くんとお母さんも来てくれた。

 平嶋くんは純粋に友人としてだが、お母さんの方は事件の発端が平嶋くんをカツアゲ中学生から助けた事だったからお詫びをかねたお礼をされた。

 また、あの後すぐにカツアゲ中学生松永のご両親から平嶋くんへ謝罪があったそうだ。なんでもすぐに謝罪と弁償をしようとしたのを、藤沢が止めていたらしい。「自分に任せておけば大丈夫、簡単に解決する。」と言っていたらしい。子供じゃないのに何でも自分の思い通りになると信じられる自信はどこから来るのだろう。不思議でならない。

 その他、下山さんと飯島さん。K。スパークの真壁さんなんかが来てくれた。スパーク所属事務所社長が花を送ってくれたりもあった。




 俺が登校を再開する前日に、藤沢が中学校校長とともに我が家を訪れた。

 謝罪に来たのかと思ったが、藤沢の服装はジャージ。さすがに校長は背広を着ていたが・・・ひょっとして体育教師のジャージは正装なのかも。

 俺が知らないだけかと思ったが、うちの両親の常識でも無いようで憮然としている。

「この度は藤沢が大変失礼とご迷惑をおかけして申し訳ありません。」

 校長は空気が読めるらしく両親の怒りを感じ取っているんだろう、冷や汗を掻きながら謝罪を口にしてくる。

 「君も何か言いなさい。」

 校長に促され、藤沢が俺に話しかけてきた。

 「今回の事は俺も悪かった。しかしお前にも悪いところがあった。お互い悪かったんだから水に流そう。お前が中学に上がってきたら俺が鍛えなおしてやるから心配するな。」

 藤沢の面白トークを俺は聞き流していたのだが(実際、日本語なのに意味のない戯言で理解できないんだもん)、母ちゃんが切れた。

 「あなたはさっきから何を言ってるんですかっ!!!あsdfghjこいうytr!!!」

 母ちゃんも興奮しすぎて、何を言っているのか分からない。だけど自分の子が加害者側の代理人に理不尽な理由で危害を加えられて、更に全く反省のいろが無ければ興奮もするだろう。母ちゃんが興奮しすぎているので、俺は自分のことなのにとても冷静でいられた。父ちゃんもそうだったんだろう、比較的冷静に回答する。

 「どうやら謝罪に来られたわけでは無いようですね。自分のされたことの報いはじぶんで受けるしかないのですから、今後の謝罪は結構です。お帰り下さい。」

 校長の方は青い顔をしているが、藤沢の発言を聞いた後では何も言えないよな。部下がバカだと可哀想だ。同情するだけで許しはしないけど。

 藤沢は不満そうにしている。こいつにとっては自分はいつも正しいんだから、自分の主張を受け入れない俺の両親が間違っていると思っているんだろう。俺が中学にいったら思い知らせてやる、そういう顔をしている。

 二人が帰った後、母ちゃんが玄関に塩を撒いていていた。本当にやる人を前世も含めて初めて見た。

 その後、藤沢は書類送検された。収監されることはなかったが学校は懲戒免職になった。実際、事件後の授業は生徒にボイコットされていたらしい。首謀者はマリちゃん。彼女はやはり中学校でもカリスマ女王だった。マリちゃんの指示で、ほぼ全校生徒が動いたらしい。

 他の先生の授業にも影響が出始めていて、先生方からも藤沢の処分が願われていたらしい。今では先生の中にもマリちゃんの顔色を窺う者が居るという。

 平嶋くんから金を脅し取っていた松永は、推薦を取り消され一般受験を受けることになった。絶望的らしい。

 松永の両親は平嶋くんに損害賠償して示談成立、その分松永の小遣いを停止することにしたらしい。金もないし受験勉強すればいいよ。

 松永から逆恨みされるかと思ったが、勉強に忙しいのとバックのマリちゃんが怖すぎて何もできないらしい。

 藤沢も近況も後輩の城田せんせーによると、あの性格のため友人もなく再就職できずバイトでなんとか食いつないでいる状態らしい。嫁さんにも愛想をつかされ、子供がなかったのが不幸中の幸いと言われたんだって。





 全部片付いた後の週末、平嶋くんとの約束だったセッションをマリちゃんも含めてやった。

 予想以上にマリちゃんの上達が早くて、俺も平嶋くんも驚いた。セッションがとても良い感じだったから、無性にドラムスを加えたくなった。

 俺がそう言うと、二人も賛成してくれた。どこかにドラムのできる子いないかなぁ。

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