杉林の野郎、たっぷりと可愛がってやるよ!!
「あ、いた!探しましたよ石神さん!」
人和が帰り、俺がまた一人で酒を飲んでいると、『フィレット』の扉が開けられた。
「何だ、杉林か」
そこには、杉林が立っていた。
こんな時間に店に入って来るなんて、本当に俺を探し回っていたのだろう。
「どうしたじゃありませんよ。こんな時に何、酒なんか飲んでるんですか!」
こいつは一様俺の部下の癖に、小うるさくて困る。
「こんな時だからこそ、だ。飲まずにやってられっか。杉林、お前も飲んでけよ」
「いや、だから今はそんな場合じゃ・・・・」
そこまで言って杉林は言葉を止め、じっと俺を見つめて来た。
ん?何か俺の顔に付いてるのか?
「・・・・石神さん、本当に大丈夫ですか?みんなから『鬼の石神』なんて呼ばれているのに、今はその・・・・・、鬼の鬼気迫った様な迫力が感じられませんよ?いや、あんな事があって大丈夫も何も無いとは思うんですけど」
「・・・・・・・・・・はっ」
――――まったくこいつは、俺の気持ちを見透かしやがって・・・・・・・、本当に困った奴だ。
「・・・・・・ほら、隣座れよ」
「はあ・・・、少しだけですよ」
杉林は俺の隣に座り、マスターに酒を注文した。
「って、お前もカシスオレンジかよ!」
「悪いですか?酒はあんまり得意じゃないんですよ」
「・・・・まあ、いいけどよ」
ぐびりと、俺は芋焼酎を一気に口に運んだ。
「ぷうーーーーっ」
さすがに一気に飲むとキツイな。
だがまた、そのキツさもいい。
嫌な事を忘れるには持って来いだ。
ああ、でも忘れちゃいけない事があったな・・・・。
俺は杉林の肩をむんずと掴んだ。
「な、何ですか石神さん」
「なあ、杉林。俺の顔がゴリラってどういう事よ?そこらへん詳しく聞こうじゃないの。ん?」
「げっ・・・・」
この表情!
人和の言っていた事は本当だったらしい。
ふっ・・・・・。
―――――たっぷりと可愛がってやろうじゃねえか!!




