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地球を丸っと氷漬けにする手伝いを、僕はする事にした

「――――で、協力するのはいいけど、一体何がしたいのさ?」

 雫をやっとの思いで落ち着かせて、僕は聞いた。

 雫に協力するのは当然ながら、喜んでするところだが、何をするのかが分からなければ、協力のしようもない。

「さっきも少し言ったけれど、雪女一族の復興を手伝ってほしいのよ」

「分かりました。やっぱり、今から襲いますね」

「・・・・殺すよ?」

「あ、はい。冗談です。すみませんすみませんすみません」

 またも見事な土下座をみせる僕に雫はため息を付いた。

「・・・・はあ、話を続ける。まあ、最終的には子供を産んで育てたい訳だけど、でも、もしも今子供が生まれたとしても、何の意味もないの」

 真剣な面持ちで語る雫を僕は顔だけ上げて、見上げ、聞いた。

「何で?雪女一族を復興させたいんじゃないの?」

「・・・・させたい。でも、無理。温度が高すぎる」

「温度?」

「・・・・そう。温度。成人した雪女なら、これくらいの暑さでも、耐えられるんだけど、子供は、そうはいかない。こんな熱いところにいたら、死んでしまう」

 言われて、人和は壁にぶら下げている温度計を見た。

 温度計は32℃を示している。

 確かに人間でも暑いし、雪女なら、それも子供となれば尚更だろう。

「なるほどね。でも、雪山とか行けば、夏でも結構涼しいよ?」

「・・・・無理。私の故郷の山も、人間からすれば極寒の山だけれど、最近は少しずつ暖かくなってきてしまった。おかげで仲間も、子供を残せないまま、次々と死んでいってしまったし・・・・」

 雫は悲しそうに肩を落として俯いた。

「そ、そうか・・・」

 これには僕も何も言う事も出来ない。

 周りの仲間が次々に死んでいき、自分だけ残される。

 その孤独は考えただけで余りある。

「でも、じゃあ、雫はその誰もいなくなった故郷からこの真東京にやって来て、何がしたいの?婿探し?」

「・・・・それももちろんある。けど、それ以前にこの暑さを食い止めて、雪女の住める世界を作りに来た・・・」

「暑さを食い止める?どうゆう事?」

「つまり、地球全体を冷やすの。地球を丸っと氷漬けにして」

「・・・・・・・・・は?」

 ―――――――え?何言ってんの、この子?

「いやいやいや、そんなの一生物に出来る訳ないじゃないか」

「・・・・私なら、出来る」

「え?出来るの!?」

「・・・・でなければ、わざわざ、こんなに人の多いところには、来ない」

 僕の驚いた表情を見て、雫は心なしか、自慢気に語る。

 が、すぐにその自信ある態度はどこかへ行ってしまった。

「・・・・でも、実際、真東京に来て、分かった。私一人じゃ、難しい。協力者・・・・必要」

「ああ、そこで、僕か」

「・・・・そう。癪だけど」

「酷くね!?」

 が、雫は人和の言葉を無視して、続ける。

「・・・・あなたのマジック、すごいと思う。それに、さっき逃げている時に分かったけど、あなたは、真東京の地形にも・・・詳しい。ホントは・・・・、嫌だけど、私に協力・・・・・、して欲しい」

「わ~~、本当に嫌なんだね。よく分かったよ」

 雫は不安げな表情で僕を見つめてきた。

「・・・・ダメ?」

 ・・・・・下から見上げるその視線は、ずるいと思います。

「・・・・・・・・・・・・・・・ふっ」

 僕は笑った。

「ふふふふふふふ、ふははははははははははははは!!!!!」

「・・・・えっ?」

 急に笑い出した僕を見て、雫は困惑の表情を浮かべる。

「ふはははは!!あ~~~、分かってない。何にも分かってないな。雫さんよお!?まさか、僕が断るかもしれないと、ホントに本気で心配してたの?命の恩人で!超絶美人で!誰もが称える様な立派な目標を持ってて!そして何より、僕がこれ以上ないほどに惚れているあなたの願いを断る!?はっ、もう少ししっかり考えてくれよ!!そんな事、あるはず無いじゃないか!!」

 僕はひとしきり、言葉をまくし立てると、雫の前に跪いた。


「―――――ぜひとも、あなたのお手伝いをさせて下さい。いや、お手伝いします。例えあなたが嫌がろうとも」


 雫は、僕の目を見て、固まっていた。

 そんなに僕の態度が意外だったのかな?

「何さ。そんな驚いた顔して。雫の隣にいたいっていう男心、分かってくれよ」

「・・・・・だって、私はあなたの告白を断っているのよ?」

「そこは、僕の今後の頑張りで何とかするよ」

「・・・・・・・・・・ぷっ。ふ、ふふ、ふふふふ」

 そんな僕の態度が面白かったのか、雫はクスクスと笑いだした。

「な、何だよ」 

「・・・・いや、何でもない。・・・・・ん。分かった。これから、よろしくお願いします。人和」

「・・・・・・・・・・・・あ、うん」


 不意に見せた雫の笑顔に見とれて、僕は上手く言葉を返せなかった。

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