わが家へようこそ
「ふう、見事、逃げきれたね!さすが、僕!そして、さすが僕が一目ぼれしたハニー!!」
「・・・・うるさい。キモイ。もう喋らないで」
僕達は、見事、警官達から逃げ切り、僕の自宅まで走って来ていた。
どこにでもありそうな、普通のアパート。その二階、201号室が僕の今の家だ。
アパートに入る前に、一様、辺りを見回す。
が、人の気配はない。
追手の心配はなさそうだ。
まあ、当然だろう。
あの時の警官二人は上手く撒けたし、付近の監視カメラは煙で僕達の姿を映す事は無かったはずだ。
そして、家近くの道に仕掛けられている監視カメラの位置なら全て把握しているので、そこに移る様なへまはしていない。
「・・・・でも、すごいね。シルクハットボーイ」
不意に雫が僕を誉めて来た。
「え?何が?」
というか、今まで罵られてしかいなかったからか、急に褒められるとびっくりしてしまう。
「だって、あの状況で煙魔法とか、普通思いつかないもん」
ああ、その事か。でも、魔法って・・・・・。
「魔法?魔法か~~。ちょっと違うんだよな~。あれはマジック。僕はマジシャンなんだ」
「・・・・マジック?」
「そう。マジック。手品とも言うね。まあ、魔法と似た様なもんだけど。それにすごいって言っても、あれ、ただ僕が登場する時の演出にどうかと思って準備してただけだよ?まあ、煙の量を間違えたのに気付いて今回の空中歩行マジックでは使わなかったけど」
「・・・・じゃあ、何?あの状況の為に用意してたものじゃないの?」
「違う違う。偶々、分量間違えて登場で使わなくて、さらに偶々、警官達が押収してなかっただけだよ。まあ、上手くいって良かったじゃん」
「・・・・見直して、損した」
雫は少しムスッとした表情をした。いや、そんな勝手にすねられてもこちらとしては困るんですけど・・・・・。
にしても・・・・、
「全く、ふてくされた態度もかわいいな~。ますます惚れるよ?」
「それは困る・・・・」
「まま、何はともあれ、逃げきれたんだ。取りあえず、家に入ってよ。今後の事を話し合おう」
雫もそれに異論はないらしく、コクリと頷くと僕の後ろを付いて来た。
二階に上がってすぐのところに、201号室が見えてくる。
その扉を開け、僕は雫に中に入るよう促した。




