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真っ赤な花

以前の著作である[真っ赤な花]を一話にまとめました。

どこまでも澄み渡った蒼い空

コンクリートで覆われた灰色の地面

しかし、一点だけ俯瞰すると

一輪の花のように

灰色のコンクリートを

朱く染めている部分がある

不自然な紅色

それは―血の色

独りの、髪が長い少年の血が

灰色の地面に

紅薔薇よりもなお

紅い血の花を咲かせていた


それは一人の少年が

糾弾者たちによる

愚言の重圧から

逃れるために成した

狂気の自殺


これから語られるは

狂わされた少年と

糾弾者たちの物語


少年の髪は長かった

数年かけて伸ばした

腰まである長い長い後ろ髪

それは少年の持つ個性だ


周囲は少年を批判した

自分たちの枠内という

常識を無視した行動に

少年を糾弾した


少年の心中を知ることをせずに

自分たちの枠内に引きずり込もうとしていた


絶え間ない糾弾は

精神を削り続ける

理性を歪ませる

狂気を生じさせる

そして

少年の内に抑え続けられた

死への欲求を解放へと導く

彼らは無自覚的に

少年を精神から殺め続けた

それは多弱の愚行

集団という名の愚者たち


彼らの無自覚に成す愚行は罪となり

彼らの身を永劫に縛る鎖となる

その鎖から逃れることは不可能


逃れるには、生命という砂時計が堕ちきった時のみ

罪業の檻から解き放たれる


度重なる糾弾は

少年の精神を狂気に歪ませた

彼らの糾弾に

少年の忍耐という砂時計は

狂気の深淵へと堕ちきった


見えざる砂時計を

愚かな彼らは

認識できることはなく


無自覚的に

己たちの枠内へと

引きずり続ける


だがそれも

最悪という形を取って

悲しき終焉を迎える


愚かなる集団によって

狂わされた歪な少年の精神は

少年の内向的な狂気を呼び起こす


無勇なる少年の最期は

集団の眼前での自殺

携帯していた刃物によって

己が脈を切ったのだ


愚かな者たちの集団は

少年の行動に我を失った


狂気によって想定された

愚かな彼らにとっての想定外


生者が死者へと

人体から血を噴き出す肉塊へと

存在を変換させた


彼らは我に返ると

少年のもとへと駆け寄ったが

少年は既に死に体

ただあるのは

生者特有の温もりが抜け

冷たくなった肉塊


自己陶酔の時を打ち破り

永劫の後悔という罠に嵌められた

愚かなる糾弾者たちの集団

彼らの精神には

生命という砂時計が堕ちきるまで

喪失の心痛と少年の死体が

脳裏に刻み込まされた――


《終》

次も、以前の著作です。

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