表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/23

第九話 混乱

 どうやってあの書庫への階段を上がってきたのか覚えていない。

 俺は膝に手をつき、荒い息を整えた。

 さっき見た死体が瞼の裏から離れない。血の匂いが自分の体に染み付いたように感じて、肌がぞわりと泡立った。

 とにかく誰かにこのことを伝えなければ。足をもつれさせ、なんとか図書館を出る。

 二階へ上がると、廊下の端に岩センが立っているのが遠目に見えた。まばゆい日差しが廊下をぎらぎらと照らしている。

 彼は壁にもたれかかり、何かを考えているようだった。なぜか大きな白衣を着て、ポケットに両手を突っ込んでいる。

「岩セン! 書庫で、部長が……! とにかく早く来てくれ!」

 俺はそれだけ言うと、返事を待たずに空き教室に飛び込む。何か教室に置かれていたものが足りないような気がしたが、今はそれどころじゃない。

 そこにいたのはスイだけだった。机にかじりついて演出画を描いている。勢いよく教室に現れた俺に気づいて彼女は顔を上げた。

「……どした?」

「スイ……! 千夏は!? いや、大変なんだ! 書庫で、部長が……!」

「……落ち着いて。何があったの」

 その時だった。俺の背後から声がした。

「あ、センパイ! 早かったっすね?」

「……あ、千夏ちゃんもおかえりー。お腹大丈夫?」

「そんなこと言ってる場合じゃない! 部長が……部長が、大変なんだ! ……死んでるんだよ……!」

 その言葉に二人がぎょっと目を剥く。

「……へ?」

「し、死んでるって……どういうことっすか?」

「とにかく、書庫に来てくれ!」

 俺は二人の手首を掴んで引っ張った。

「ふぇっ!? な、なにするんすか!」

「うわー、ひっぱられる……」

 二人を引きずって、転ばないように気をつけながら階段へ向かう。とにかく俺は書庫へと急いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ