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第六話 異変

「こんちはー」

「……ちは。」

 俺とスイはガラガラと空き教室の扉を開ける。視線の先では千夏がアイスを食べていた。二個目を開けている。

「あれ?真田パイセンより先に二人が来るなんて珍しいっすね。」

 確かに部長がいないのは珍しい。周りを見渡すと、岩センの姿が目に入った。

「…………。」

 岩センは教壇で背中を丸め、息子さんの写真を見ている。その後ろ姿がいつもより重苦しくて俺は立ち止まった。

「岩セン? なんかあったの」

「……いや、今は話せねえ。」

 岩センは写真をしまって返事をした。

 彼は俺たちの視線を受けてゆっくりと振り向く。そして何度も口を開けては閉じた。

「……どうしても、言えねえ。すまねえな。」

「……聞いていいのか分かんないけどさ。」

 俺は一歩前に踏み出した。

「――前言ってた、息子さんのことでなんかあったとか?」

「…………。」

 岩センはただ黙って俺を見返した。彼の手はわずかに震えている。

 それでも、その目だけはいつものように優しかった。

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