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第四十二話 最悪のまま
文化祭当日。
結局俺たちは演劇を諦め、ありふれた展示を作った。予想通り大して人は来ない。それでもこんな文化祭も悪くないと思えた。
「……センパイ、暇っすね。いっそほっぽり出して他を回っちゃいます?」
千夏がいたずらっぽく微笑んでこちらを見つめる。
俺は頷いて彼女の隣に並ぼうとした。そして、突然足を椅子に引っかけて盛大に転ぶ。
千夏が隣で笑う。その笑顔が今は少しだけ救いだった。
「……はは。行こうぜ」
俺の不運は変わらない。父も兄も先輩も、そして幼馴染も失った。あのころの温かい居場所ももうない。前になんて進めそうにない。……それでも。
何を失っても残るものがある。
スイは「千夏ちゃんもいつかいなくなる」と言った。しかし、もし千夏がいなくなることがあっても——俺はまた悲しんで、そして生きていけると思えた。
だから、俺は最悪の未来を静かに見据える。
そして、千夏の後を追って一歩踏み出した。




