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第十二話 リタイア

 千夏は体の震えが止まらないようで、ぺたりとへたり込んでしまった。

「あ、あの……なんでそんな平気なんすか……? あたしは全然無理っす……!」

「俺も……平気じゃないよ。けど、ここで目を逸らしたくないんだ……」

 俺は俯いていた顔を上げた。彼女の唇が震えている。

「……あたし、空き教室に戻ってます……!」

 そう言って彼女は走り去ってしまった。スイも心配そうに見つめている。

「スイも、大丈夫なのか?」

「ん……。怖い。けど、私もハルトくんの手伝いしたい。うん、頑張ってみる……」

「そ、そうか……」

 彼女は顔を青くしながらゆっくりと立ち上がって、俺に続いた。

 とりあえず、俺は死体を恐る恐る観察してみることにした。

「一見転落死にしか見えない……俺だって、千夏と転ばなければ違和感に気付かなかった。」

 俺は顎に手を当てて考えた。

「段ボール以外にも何かあるかもしれない。……まずは現場を見てみようぜ」

「……うん」

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