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レイヤー52 飢えをしのぐための魔法
飢えは
ゆっくりと命を奪う
スリップダメージ
食料は増え始めた。
だが足りない。
問題は量だけではない。
時間。
腐敗。
劣化。
研究員が言う。
「作れても持たない」
洋蔵は頷く。
「だから止めます」
図面が開く。
保存術式。
生み出さない。
失わせない。
第一系統。
減圧封止。
真空生成。
酸素遮断。
酸化抑止。
腐敗遅延。
容器内環境固定。
研究員。
「空気を抜くのか」
洋蔵。
「時間を遅らせます」
第二系統。
錬金封入。
缶詰生成。
耐久容器。
密閉保存。
長期安定。
外界遮断。
「食料を閉じ込める」
第三系統。
低温保持。
魔法瓶。
簡易魔法陣。
熱移動抑制。
温度維持。
保存・輸送対応。
第四系統。
乾燥保存。
フリーズドライ。
水分除去。
軽量化。
再水和可能。
長期備蓄。
第五系統。
加工補助。
発酵制御。
熟成管理。
保存性向上。
風味維持。
研究員が言う。
「派手じゃないな」
洋蔵。
「必要です」
一拍。
「飢えは静かに来る」
配布される。
各拠点。
各家庭。
備蓄庫。
流通再建。
食料は
“ある”から
“持つ”へ変わる。
円が更新される。
保存。
加工。
封止。
低温。
乾燥。
備蓄。
一拍。
生産だけでは
文明は続かない。
時間を越えなければ
意味がない。
研究員が問う。
「最強の魔法は?」
洋蔵は答える。
「飢えを先延ばしにできる魔法です」
即ち
食べることは
生きること




