レイヤー38 最強だが災厄の魔法
予測と予知は紙一重
研究員が言う。
「天気を読むなら次は戦だな」
洋蔵が一枚の紙を出す。
そこには何も描かれていない。
「見えません」
「何が」
「まだ起きていないことです」
沈黙。
「未来か」
「はい」
静かな返答。
研究員が笑う。
「神じゃないか」
「違います」
短い否定。
「観測です」
指を立てる。
「数秒なら見えます」
「数秒?」
「剣が来る前」
「矢が放たれる前」
「死ぬ前」
沈黙。
「……対人戦で無敵だな」
「かなり」
肯定。
「未来視」
その言葉が落ちる。
一拍。
別の紙。
「数日先」
「数ヶ月先」
研究員の顔が変わる。
「そこまで行くか」
「行けます」
「やるな」
「禁呪です」
即答。
静寂。
「なぜ」
洋蔵が答える。
「未来は一つではないから」
複数の線。
枝分かれ。
可能性。
「見るだけで負荷がある」
「選べば反動がある」
一拍。
「変えると」
沈黙。
「災厄になります」
研究員が低く言う。
「未来改変か」
「因果干渉です」
別の紙。
確率。
成功率。
生存率。
勝率。
「これは」
「触れてはいけません」
短い返答。
「操作すると」
間。
「世界が壊れます」
研究員が黙る。
「大げさだな」
「いいえ」
静かな断定。
「偶然が死にます」
沈黙。
「……不条理だな」
「だから封印します」
封印術式図。
認証。
制限。
監視。
「兵器じゃないな」
「災厄です」
一拍。
「最強だが」
「使うべきではない」
円が更新される。
生成。
変換。
供給。
予測。
兵装化。
未来視。
因果干渉。
封印。
研究員が呟く。
「魔法が神話になったな」
洋蔵は静かに言う。
「越えてはいけない線です」
出来ても脳が負荷に耐えられない




