レイヤー34 ミッシングリンク
そこが遺失しているということに
気がつくとは限らない
魔法陣が組まれている。
層は揃っている。
供給。
制御。
機能。
補助。
観測。
研究員が頷く。
「完璧だな」
洋蔵は答えない。
起動。
光が走る。
——止まる。
「……動かないな」
静かな沈黙。
計測器は正常を示している。
供給は来ている。
制御も動いている。
観測も生きている。
「どこが悪い」
洋蔵は図面を見る。
「ありません」
「何が」
「足りていません」
一拍。
「どこにある」
「ありません」
同じ言葉。
研究員が眉をひそめる。
「あるものは全部あるだろう」
「はい」
「だから動かないのか」
短い沈黙。
洋蔵が線を引く。
層と層の間。
空白。
「ここです」
「何もないぞ」
「それが問題です」
指で叩く。
「繋がっていません」
研究員が黙る。
「……通ってないのか」
「はい」
「エネルギーは届いています」
「でも、意味が渡っていません」
一拍。
新しい紙を出す。
薄い層。
ほとんど何も書かれていない。
「これを入れます」
「何の層だ」
「接続です」
短い返答。
「翻訳とも言います」
魔法陣の間に差し込む。
再起動。
光が走る。
今度は止まらない。
機能層が応答する。
「動いたな」
「通りました」
静かな肯定。
研究員が低く言う。
「今まで無くても動いてたぞ」
「単純だったからです」
一拍。
「複雑になると」
「繋がらなくなります」
円が変わる。
生成。
変換。
供給。
蓄積。
観測。
解釈。
収集。
積層。
接続。
「増え続けるな」
「違います」
短い否定。
「見えてきただけです」
前提そのものが間違い
ということもある
仮説が正しい確率がどれほどのものか




