表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45歳DTPデザイナーは36協定違反で異世界出向  作者: 洋蔵
異世界でもDTPなのか
PR
21/69

レイヤー20 媒体と媒介

紙の厚さと種類

インクかトナーか

仕上がりの差がかなりある


術式は揃っていた。

生成され、拡張され、

召喚され、錬成され、

実績で選別されている。


それでも、差が出る。


「同じ術式です」


研究員が言う。


「だが、結果が違う」


机の上に並ぶ報告書。

数値にばらつきがある。


洋蔵は一枚を手に取る。


「媒体は?」


「……違います」


即答ではなかった。


紙を並べる。


羊皮紙。

薄紙。

金属板。

刻印媒体。


同一術式。

異なる媒体。


「ここか」


小さく呟く。


「出力が変わっています」


研究員が覗き込む。


「増幅されているものと、減衰しているものがあるな」


「はい」


洋蔵は頷く。


「媒体はただの器ではありません」


一拍。


「特性を持ちます」


紙に書く。


・保持力

・伝達速度

・劣化率

・干渉耐性


「術式に影響します」


研究員は腕を組む。


「相性があるな」


「あります」


即答。


別の資料を出す。


術式と媒体の組み合わせ表。


良好。

不安定。

非推奨。


「検証したのか」


「はい」


淡々とした返答。


「実績から抽出しています」


一枚を指す。


「この術式は金属板で安定します」


「紙だと?」


「劣化します」


「理由は」


「保持力不足です」


短い説明。


さらに別の組み合わせ。


「こちらは逆です」


「紙の方が良い?」


「はい」


「反応速度が速い」


研究員は小さく息を吐く。


「一律じゃないな」


「できません」


即答。


洋蔵は新しい紙を広げる。


そこには二つの項目。


術式。

媒体。


その間に線を引く。


「媒介です」


「媒介?」


「術式と媒体を繋ぐ層です」


研究員が眉を寄せる。


「そんなものが必要か」


「必要です」


静かな断定。


紙にさらに書き加える。


・書式

・刻印方法

・配置構造

・インク/素材


「同じ紙でも、結果が変わります」


一拍。


「どう書くかで変わる」


研究員は納得したように頷く。


「DTPだな」


「はい」


即答。


「配置設計です」


洋蔵は図を描く。


術式(構造)

媒介(設計・表現)

媒体(物質)


三層構造。


「ここを分離します」


「今までは一体だったのか」


「曖昧でした」


静かな修正。


「分けることで制御できます」


研究員は図を見つめる。


「媒介で調整するのか」


「はい」


「媒体を変えずに?」


「可能です」


一拍。


「逆もできます」


「術式を変えずに媒体で調整する」


研究員は腕を組む。


「自由度が増えるな」


「はい」


洋蔵は別の資料を出す。


媒介パターン一覧。


高密度配置。

冗長配置。

視認優先配置。

耐障害配置。


「目的別に用意します」


「選べるのか」


「はい」


即答。


「用途に応じて」


紙を一枚めくる。


失敗例。


文字の欠損。

配置ズレ。

インクのにじみ。


「これがバグです」


研究員が苦笑する。


「物理的だな」


「はい」


「ですが結果は同じです」


一拍。


「不発、誤発動、暴走」


静かな言葉。


洋蔵は最初の円を見る。


回収。

分析。

再設計。

再配布。

生成。

拡張。

実績。

召喚。

錬成。


そこに新しく加える。


媒体。

媒介。


「ここも循環させます」


研究員がゆっくり頷く。


「設計だけじゃ足りないな」


「はい」


「実装が必要です」


短い答え。


魔法は構造だけでは成立しない。

どう表現し、どこに乗せるかで結果が変わる。


同じ術式でも、違う現象になる。


後美洋蔵、45歳。

異世界出向中。


仕事はさらに広がった。


設計する。

選ぶ。

呼び出す。

整える。


そして——


載せる。


終わりはない。


媒体が変わる。

媒介が変わる。

結果が変わる。


すべてが、次に繋がる。

デスクトップパブリッシングだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ