表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界の鏡  作者: リーグス
PR
2/112

都会

「おおー」

 都市の端、馬車を降りたその場所で、ウェンディは感嘆の声を漏らした。

 端であっても観光客がやって来るため人は多く、それを目当てにした土産屋などによって賑わいが存在している。

「本当に来たんだ。来た……んだけど」

 キラキラと輝いていた瞳を陰らせながら取り出したのは、一枚の地図。

 それには目的地らしき場所が赤い丸で囲われており、ウェンディはそれを縦にしたり横にしたりとしながら凝視した。

 −−−−私が居る場所……どこだ?

 抱えていた問題は、現在地の不明。

 地図の読み方を知らないためどの向きで読めばいいのか分からず、しかもその手書きの地図には目印となる店名などは書いていない。

 −−−−師匠〜! ちゃんと全部書いて! 面倒くさがるなッ!

 あまりの不親切さに、思わず地図を持つ手に力が入る。

 だが、怒っても何も解決しないと自身に言い聞かせ、ゆっくりと息を吐いて感情を落ち着かせた。

 そして、今置かれている状況の解決策を思案し始める。

 −−−−あの白髪師匠には後で怒るとして……うん。やっぱり人に尋ねてみるのが一番かな。

 −−−−観光客なら、名物の場所くらい知ってるよね。

 とりあえず近くの人に聞いてみようと、ウェンディは一歩踏み出す。

 その瞬間、背中に軽い、いやけっこう重い衝撃が走った。

「いぇーい!」

「ぐふっ!?」

「なに気付いたら居なくなっちやってんのもー! ほら、あっちあっち! あっちに美味しそうなお店があ−−−−」

 ぶつかってきたのは、水色の長い髪を後ろで纏めた少女。

 猫のような金色の瞳をしており、一気にまくし立てていた口はウェンディの顔を見た瞬間止まる。

「……誰?」

「こっちのセリフですけど?」

 少女はウェンディの顔と服を交互に見ると、何かを理解したのか、顔を押さえながら「あああぁぁ……」と喉から声を出して屈み込んだ。

「やらかしたぁ。まさか、同じ制服の人が居るなんて……」

「同じ? ……あ、ホントだ」

 見れば確かに互いに同じ制服を着ており、少女は自分を誰かと間違えたのだろうとウェンディは理解する。

 そして、その誰かもまた、同じ魔女の学校の入学者であろうということも。

「よし、君!」

「? ……私?」

「そう! 一緒に探してッ!」

「い、いいけど、どんな見た目ぐえッ!?」

 勢いに押されたウェンディが尋ねるよりも速く、少女は襟を掴んで走り出す。

「見た目はほぼ私と同じ! ちょっと私より背が高くて、髪は濃い青色!」

「し、締まる……ッ! 締まってる……ッ!」

「あ、名前言ってなかったね。私はラマ! 探してるお姉ちゃんはノア! よろしく!」

「よろし……ッ。いや、ほんと……ッ。首……ッ!」

 ウェンディの悲痛な声は、道を行き交う人のざわめきに掻き消された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ