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[15]*

お茶会は皆が王妃殿下と同じテーブルに着くことを許されました。幸運なことにレオ様の斜め前の席が私の場所であるようです。今日は神様すらも私の味方をしてくれているのでしょうか。


ここからだと存分にレオ様を眺めることができます。でもあまり直視し続けてレオ様に気がつかれてはいけませんし、何より眼福が過ぎて私の眼が潰れてしまいかねません。ああなんて可愛らしいお姿。ーやはり見ずにはいられません、悩ましいです。



気がつけば目の前に美しいカップがセットされていて、お茶が注がれ始めました。うっかり忘れるところでしたが、今はお茶会の真っ最中でしたね。レオ様鑑賞会を勝手に開催しかけるところでした。



王妃殿下とお母様たちが和やかにお話しを始められました。暫くはまたレオ様を鑑賞していても平気そうです。


周囲のペースに合わせ、お茶を飲み進めます。この世界ではとても珍しいらしい緑茶です。ほんのりと桜の香りも漂ってきます。おいしいー




「さてレオ、そろそろあなたのお茶を振舞って差し上げたらどうかしら」


王妃殿下が告げられます。ゆっくりとそれは優雅に立ち上がったレオ様は


『わかりました、母上』


とおっしゃるや


『こちらへどうぞ』


と、自ら案内をしてくださります。


少しだけ離れた場所に可愛らしい席が設けてありました。大きなトネリコの樹がほどよく日差しを遮ってくれています。


『好きな席に掛けて

 それとあなたたちのことを名前で呼んでも構わないだろうか』


レオ様が名前でお呼び下さるですって?なんたる僥倖、幸甚の至り、神様私今とても幸せです。

思わず天に向かって祈りそうになりました。


ご令嬢たちからの視線を感じ、はっと我に返ります。

そうでした!皆様私が席を決めるのを待って下さっているのですね。公爵家の娘である私より前に動いてはいけないと言われているのですよね。失礼いたしました、今すぐに決めます決まっていました、はいここにします!


私が選んだのはレオ様の左隣の席です。正面からご尊顔を存分に拝見するのも堪らないけれど、やっぱり少しでもお傍に近寄りたいのが乙女心です。レオ様は右利きですからここがベストポジションに違いありません!



レオ様はご自身がとてもお好きだというアイスティーをご用意下さっていました。この香りはアールグレーでしょうか。私も大好きな紅茶です。侍従さんの説明によると、王宮内で収穫したリンゴンベリーのシロップを使用しているのだそうです。


リンゴンベリーの甘酸っぱさが紅茶と素晴らしく合います。とてもとても美味しいです。レオ様はお顔が麗しいだけではなく味覚のセンスもバツグンでいらっしゃるのですね。そしてこれはゲーム内では明かされていなかった貴重な新情報です。邸に戻ったら[レオ様極秘ノート]に忘れずに書き加えなくては。


 ・レオ様のお好きな飲みもの=リンゴンベリーのシロップ入りアイスティー




レオ様は右隣に座ったヘルミ様から順番にお声をかけていらっしゃいます。つまり私は最後ーその間ずっと眺めていられるのですね。今日の私は陣取りすら完璧でした。


お話しされている様子を見ていますと、レオ様は私たちのことを1人ひとりよくご存知のようです。名前はもちろんのこと、家門のこともとても詳しくご記憶されている様子。お顔が麗しいだけではなく味覚のセンスもバツグンで、頭脳も明晰でいらっしゃる、流石我が推し!パーフェクト王子です!


うっとりと眺め続けていますと、ソフィア様とのお話し中に信じがたいお言葉がー


『ソフィアだけではなく、あなたたち皆のことも友達だと思っているのだけれど、ダメ かな』


ととととと友達ですってーーーー?!


レオ様とお友達に?レオ様が?レオ様の?

[友達]を反芻していたらお返事申し上げることすら忘れていました。レオ様がお友達、レオ様と私がお友達、お友達、お友達とお友達ー1日に受諾できる幸運の容量をとっくに超えてしまいました。既に瀕死、虫の息です。

そんな瀕死の私へ止めを刺すかのようにレオ様は真夏の太陽よりもまぶしい笑顔をお浮かべになりながら


『よかった 、これから私のことはレオと呼んでほしい。友達だからね』


「レオ様ー」


5年間、前世も含めますと8年になるでしょうか、ずっと恋焦がれお慕いしていた憧れの方が、今目の前で微笑みを浮かべ、名前を呼んでくれと囁いたのです。

嗚呼、爆発しそうです。王都中を走り回って伝えたいー私幸せです!



完全に油断していました。心が半分王都へと駆け出していたその時


『あなたがスイーリだね。いつも噂に聞いていたよ、会えて嬉しいな』



あ え て う れ し い な



とうとう息の根を止めに来たのでしょうか。気を失わぬようにするので精いっぱいです。

私の方こそ嬉しいですレオ様ー!ずっとずっとお会いしたかったですー!


ーあれ?待って『会えて嬉しい』の前になにやら不穏な単語が聞こえたような、ええと確か


「噂-  でございますか?」


まさか、もう悪役令嬢と噂が広まっているのでしょうか?精一杯善良なよき令嬢を目指していたつもりだったけれど、それも全て失敗だった?歓喜から一気に奈落へと転げ落ちて行くかのようです。



『うん、アレクシーや先生からね。2人ともいつもあなたの自慢ばかりなんだよ 、妹のいない私に酷いとは思わない?』



兄様-----!ありがとうございます!よき兄を2人も持って妹は幸せです!



兄様の話をきっかけに、レオ様とも少しだけ打ち解けられたような気がします。

その後もレオ様を中心に夢のような時間を過ごしました。今日ほど時間が止まってほしいと願ったことはなかったわ!

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