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6.そっち方面で勘違いされてたことに気が付くことのススメ

 アジトの客室で、俺は4幹部の一人、セーレがいれた紅茶を味わいながら、リーゼが来るのを待っている。オーファにリーゼと二人で話す場をつくるように伝えてからしばらく待たされた。


 正直、気軽な感じで、彼女の身の上など、すぐに聞けると思ったのだけど、リーゼはなかなか来なかった。雑用の仕事ってそんなにやることがいっぱいなのか?と正直、疑問に思った。待っている間、セーレが俺の世話をしながら、ノーフェースの成り立ち、オーファや幹部たちの仕事や日ごろの鍛錬の様子などの説明をしてくれた。


 しばらくするとセーレも自分の仕事があるからと言い、席を外していった。セーレが席を立った、すぐ後に、リーゼがノックをして部屋に入ってきた。


 あれ?先ほど見かけた時より、少し、小ぎれいになった気がする。

 それに少しリーゼの顔が赤い。


 「主様。お待たせして申し訳ありません」


 と、リーゼが部屋に入るなり、頭を下げてくる。


 リーゼは、部屋の入口から、俺の方にゆっくり近づき、その場で自分を魅せるように一周まわった。メイド服のスカートがきれいに翻る。そのあと、リーゼは、俺に正面を向いて、いきなり胸のボタンをはずし、服を脱ぎ始める。


 俺はビックリして固まった。


 彼女がメイド服を脱ぎ、下着姿になったところで、ようやく俺は我に返り、慌てて服を着るようにリーゼに言う。


 オーファが、俺の「目に留まった」というセリフを、そっち方面でとらえていたことに初めて気が付いた。セーレも、リーゼに湯浴みかなにかさせている間、俺を退屈させないため、間をつなぐ役目だったのか、と思い至った。


 「リ、リーゼ。服を着なさい。俺は、お前の話を聞きたいだけだ」


 俺が言うと、リーゼが頑張ってくる。


 「お頭や幹部様方から、主様にご満足いただき、悦んでいただくように言われています。どうぞこのまま可愛がってください」


 俺はリーゼに近づき、自分の来ていた黒のローブを下着姿のリーゼにかけ、リーゼの脱いだメイド服を床から拾い上げ、リーゼに渡す。


 「とにかく、服を着ろ。オーファやセーレの勘違いだ」


 とリーゼに伝えるも、俺のローブを床に落とし、両膝を床について、俺に抱き着いてくる。そして、どうか俺の気が済むまで抱いてほしいと泣きながら訴えくる。


 どうやら、俺が、リーゼの肌を見て、気にいらなかったか、気が変わったと思ったらしい。もし俺の機嫌を損ねたら、アジトから追い出されるのでは、と心配したのだろう。


 服を着せ、泣きじゃくっていたのをなだめ、なんとか落ち着いたところ、聞き出したら、オーファや幹部たちから、くれぐれも俺に失礼にないよう、そして十分に満足させるよう、何度も言い含められてきたらしい。


 俺はリーゼをソファーに座らせセーレが準備していった紅茶を飲ませる。まだ温かかったため、リーゼも少し落ち着かせたようだ。


 「リーゼ。誤解があったようですまなかった。俺はお前の魔素が気になって呼び出した。少しお前の身の上話を聞かせてくれないか?」


 と伝えたら、一瞬キョトンとした顔をしていたが、俺が怒っているわけではないことが伝わり、安心したのか緊張した表情を少しだけ緩め、頷いた。


 リーゼは、物心ついたときには、スラム街の孤児院で生活していた。両親が誰かはわからず、孤児院の神父に拾われた際も身元を知らせるモノもなかったという。そのまま孤児院で育ててもらい、12歳の直前で孤児院を出た。


 孤児院は喜捨に頼っているため、ある程度大きくなると追い出されるらしい。その後の居所や仕事があろうとなかろうと。11歳の春に孤児院を出ても仕事のあてもなく、結局、いろいろあり、最終的に娼館に拾われたそうだ。


 娼館では、はじめ娼婦たちの世話や雑用をこなしていたが、しばらくし、胸が膨らみだしてからは、「男の扱いを仕込む」と称して、半ば無理やり、娼館主や娼館の男たちの相手を毎晩させられていたらしい。


 そして、ある晩、娼館主の相手をさせられているところに、オーファたちが現れた。


 リーゼは、そのことを「お頭に地獄から救い出してもらった」と言っていた。そして、ノーフェースに来てからの1年は、乱暴もされず、暴力もふるわれず、食事もちゃんと食べられ、構成員みんなに優しくしてもらっているといっていた。


 うーん、暗殺者集団で、構成員みんなが優しいというとは、娼館では、どれだけ過酷な環境だったのか、と少し考えさせられてしまった。


 『結局、このメイドっ娘の出自はわからずじまいじゃのう。魔素が少し魔物に近い気もするが、詳細はわからんのう』


 エクスがわからないならば、彼女のルーツを探るのは、これ以上はお手上げだな。

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