4.国の名前で魔王をデレさせることのススメ
フロンティア島(仮称)に第一の都市を作るにあたり、最適な立地を探すため位置関係をエクスと調査する。
この島は、北東~東~南の方角は、海を挟み、大陸に囲まれている。大陸には多くの国があり、フランド王国にちょっかいをかけてくるシスプチン王国も大陸にある。ちなみに、シスプチン王国は、ここから南東方面となっており、島の南西の方角にフランド王国がある。
貿易の中継地として、貿易立国を掲げるならば、この囲まれ感は、まさに最適な場所だ。
海からほど近い丘の上に、俺とエクスは本拠地を作り始めることにした。
将来的に、経済特区などの区画も確保できるよう、少し海から距離があるこの丘の上に、王宮を立てよう。
『主殿よ。国の名前と島の名前はどうするのじゃ?』
『さすがエクス君。よい質問じゃな。実はもう考えてあるのだよ。国の名前、都市の名前それと島の名前に、エクスの名前を借りたいと思っているんだけど、いいかな?』
『我の名とな?』
『国の名前は、エクス・ゲファルナート魔法王国。魔法の国っぽいだろ? そして、首都、つまりこの町は首都エクス。そして、この島の名前はゲファルナート島。俺の大切な相棒の名前を借り受けたい。どうか受けてほしい』
俺は真剣にエクスに説明する。
『照れるではないか。名前を借りたいというところではないぞ。「俺の大切な相棒」というところじゃ』
最近には、珍しくエクスがデレだな、と思った。
まずまず気に入ってくれたようだ。
俺たちは、魔法ではなく、できる限り「ブラックストーン」を使って町をつくる。町づくりは、複数の魔法を刷り込んだ、いろいろな種類のブラックストーンの効果の実験もかねているんだ。
実験用サンプルの中で、エクスと俺から特に評価が高かったのが、「ブリック・アーキテク」と名付けた土魔法と風魔法と火魔法の組み合わせのブラックストーンだ。
ジェシカパパことジュリド・ルートンさんにサンプル3として渡した「フラットフォーロード」という荒地を平坦地にするブラックストーンもなかなか便利だったけどそれ以上に便利だった。
「ブリック・アーキテク」は土魔法でレンガを作り、風魔法で細部まで削るように加工して、最後に火魔法で焼き付けるという代物だ。これで、建築物の製作のスピードが格段に上がる。10分で簡単な建物を一つ作れた。
『エクス。この調子だとすぐに町ができあがるな』
『子供のようにハシャギよって。それにしても、もう少し、我の美的感覚をもっと取り入れてほしいものじゃ』
エクスが、昔自分がつかっていた魔王城のおどろおどろしい悪魔建築様式を採用するように何度も迫ってきたがことごとく突っぱねた。国の名前は魔王風だけど、町には人間が住むんだから、あまりな魔王風建築は避けないとな。
俺とエクスは、エクスがつくった土ゴーレムを数十体使役し、1か月ほどかけて、300人くらいは住める町を整備した。
俺も手伝うけど、これ以上は、実際に住む配下たちを中心に進めてもらう。自分たちの町ということを意識してもらうためにも町づくり、国造りに参加してもらうことは重要だ。
快適に住めるように、いろいろな仕掛けをしてあるが、シンバたちが来てから詳細を説明しようと思う。
『知ってはいたが、主殿は凝り性じゃのう。細部にこだわるとは、魔王づかいが荒いから我も疲れたぞ』
エクスが愚痴ってきた。一度臍を曲げられたら宥めるのが大変なので、帰ったら甘味でご機嫌をとろう。幼女魔王様もあれでなかなか我儘だからな。
『疲れたから、甘味は3つは用意するのじゃぞ。主殿よ』
ご機嫌取り作戦がまる聞こえだったみたいだ。魂がつながっている副作用というやつか。
俺とエクスは、町のいたるところにブラックストーン技術を応用した。
まずは、井戸だ。多数の箇所で、島の地下2000Mから、土魔法と水魔法の組み合わせブラックストーンのよって、地下水をくみ上げられるようにしておいた。そして、町の景観を確保するため下水道も完備している。
下水処理は、土魔法と水魔法によるろ過が中心で、ろ過処理装置を組みこんだ。この町をパルスキーみたいに汚い町になってほしくないからな。
そして、一番のこの町のウリは、町の中央の王宮広場の地下に、大きなブラックストーンだ。ここから町中の魔素を供給する。このブラックストーンは陰系統の闇魔法を込め、外気からも魔素を自動で吸収できるようしてある。出力上限はあるが、半永久的に起動できる。
それと、隣国に攻め込まれるなど、いざという時のために、このブラックストーンから、町全体を防げる対物理、対魔法の大型結界を起動できるようにしてある。
住民の生存権の確保、外敵からの安全の対策も万全だ。
『主殿よ。町というよりも、まるで魔法化要塞じゃな。並みの魔法師の一団の攻撃ではビクともしまい。いったい誰と戦うつもりじゃ』
『この都市はブラックストーン技術とそれを使った魔法具製造の一大拠点になる予定なんだ。周辺国は、その技術に涎を垂らしながら群がってくる。もちろん政治的に攻め込まれないように対策を練るつもりだけど、いざという時の備えが必要だ』
『確かにな。新技術の中枢ならば、征服したいと思うのも、人間の性じゃな。我が名を冠した首都エクスを灰燼する訳にはいかぬな』




