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6.押し入るのは礼儀を慮り、休憩時間になるまで待つことのススメ

 【これまで】

 昨晩:アリアさん、シルフェさんを結界内へ保護完了。

 昨晩:ノーフェース制圧し、洗脳完了。 


 【これからの予定】

 今日:ウルフォン公爵とアリアさん、シルフェさんへ矛を納めるよう交渉 ←いまここ。

 明日:第一王子、法務大臣と法的にアリアさん、シルフェさんを解放するよう交渉



 今日の予定として、ウルフォン公爵に無理やり面会しないとな。


 ノーフェースのアジトでそのまま少し仮眠をとり、食事と着替えをして一息入れたのち、ウルフォン公爵家の屋敷を探知魔法ローラー大作戦で盗聴を開始する。


 『公爵は屋敷の中で執務をとっているようじゃのう』


 『あぁ。午後のティー・タイムになったら、屋敷へ押し入ろうかな。ついでにノーフェースの奴らがどれだけ使えるのか、試験をしようと思う』


 『人間なぞ、誰も、たかが知れていると思うがのう。まぁ主殿の判断にまかせるわ』


 エクスにとっては、俺や俺が興味をもっている以外の人間は、誰も同じに映るのだろうな、ということを理解した。


 『ノーフェースの方は俺にまかせてくれ』






 ノーフェースのボスだった男を呼び出し、約3時間後に(無理やり)行うであろう公爵との面談についての段取りの相談と数人部下を同行させるように命令する。


 ボスの仮面をとらせ、少し身の上話を聞く。


 「小役人のススメ」に、「国治るや、法を持たずして差配するは是悪也。力を持って差配するは次点也。最善なるは徳・仁をもって差配すること也。能わず者が徳・仁をもって差配することは難であり、力をもって差配すること是最善となる」とある。


 これは、法によるルールを作らずに国や国民を支配すると、国民や民が不幸な結果となる。権力や武力などの恐怖心をもって支配するのもやり方としてはアリだけど最善ではない。最善策は徳や仁で、民の心を包み込むように治めることを説いている。


 ただ、この一説の深いところは、徳や仁なる心がない偽善者は、徳をもって治めることはできず、国や国民が心服せずに逆に国が乱れてしまう。それで、結局は権力・武力などの恐怖で治めることが一番良い方法となってしまう、ということだ。


 俺に徳や仁なる心があるのかはわからないが、部下になったものには、「信賞必罰」を徹底することと、人間として、俺も心を開いて接しようと「小役人のススメ」を読んで決めている。


 ボスは、30代前半くらいの男で、元々孤児であったという。子供の頃に、他の暗殺集団の幹部に拾われ、時に半殺しの目にあいながら、その幹部の男から暗殺技を盗み見て覚えていったということだった。10年程暗殺集団で、その幹部のところの下男をやっていたが、その男が暗殺対象者から返り討ちにあい、自分も身の危険を感じ、名前(呼び名)を変え、以来、仮面をかぶり、ノーフェースを立ち上げ、徐々に大きくしていったということだった。


 ボスは、名前がないということだったので、俺は「孤児」という意味の古代語である「オーファン」という言葉から「オーファ」と名付けてやった。オーファは感激しているようで、「一生お仕えいたします」と丁寧にお礼を述べられてしまい、逆にそんなことぐらいで、と恐縮してしまった。


 オーファは、魔法の才だけでなく、俺と同じくナイフの扱いが得意だったので、妙に親近感をもった。他にも、ノーフェースの幹部達4名の素顔と身の上話を聞き、やはり全員が、名前がなく、あだ名で呼びあっていたので、俺が、これを期に名前を付けてやったら、やはり感激され、俺に忠誠を尽くすことを全員から誓われた。


 全能草の効力を差し引いても、暗殺集団のトップと幹部達で骨の髄まで暗殺者だが、一旦、懐にはいると、身内には甘いのかもしれないと思った。


 この5名は、なかなかの実力があるようなので、ウルフォン公爵との面会時に影に潜ませ、連れて行くことにした。






 『どうやら、一息いれるようじゃな』


 俺たちは、ウルフォン公爵の広大な屋敷の壁の外にいる。

 少し前に、ノーフェイスのアジトから、公爵家の王都の屋敷の外までやってきて、一息入れるのを待っていた。俺も貴族の出であるので、休憩時間まで待つぐらいの礼儀くらいはあるよ。


 ティー・タイムにするようなので、飛翔魔法で壁を乗り越える。

 ノーフェースの5名は、金属製の鉤爪のようなものを壁に食い込ませて俺の後を少し遅れて、よじ登ってきた。


 『新しく下僕となった者どもは、なかなかやるものじゃのう。主殿よ』


 とエクスも珍しく感心していた。


 俺たちは、無事に壁を乗り越え、公爵家の敷地に入った。ここからは俺とオーファの2名で行動することにし、他の4名は、屋敷内に別々に侵入し、その後は、段取り通りに行動することになっている。


 なお、この屋敷に中に、2名魔法師もいることが公爵屋敷を盗聴の際の探知魔法でわかっていたので6名全員に気配がバレないよう隠匿魔法をかけている。


 俺は、壁を乗り越え敷地内で着地をすると同時に、4名の幹部に頷いてみせ、「行動を開始せよ」と合図をする。


 4名が方々に散っていった。


 俺とオーファも、敷地内から屋敷内へ侵入し、ティー・タイム中のウルフォン公爵にこちらの要求を無理やりのませる交渉を開始することにする。


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