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5.かなり無理やりな設定でも、設定とノリは大事であることのススメ

 アリアさんには、俺は、アルフレッド・プライセンではなく、仮面の黒ローブ姿の異国の大貴族「ゲファルナ卿」で、自身の領地との貿易航路開拓のため、フランド王国に中継基地を開くために立ち寄った。その際に、アリア王女と知己を得た、というかなり無理やりな設定にしてもらった。


 せっかく1年もかけて受験の準備をして、行政大学校に入学したので、簡単に学生身分を手放したくない、と説明したら、アリアさんから、すべて俺に任せるという気持ちの良い返答があった。


 ちなみに、「ゲファルナ卿」とは、1000年以上前に、エクスが配下たちから呼ばれていたという「魔王ゲファルナート」という名前を拝借した。そのままゲファルナート卿という名前でもよかったのだが、1000年以上前とはいえ、魔王の名前だと気づかれるとも限らないので、トラブルを回避するために多少名前を加工することにした。


 それと、今回のキーパーソンであるウルフォン公爵について、アリアさんに詳しく教えてもらった。


 ウルフォン公爵は、王族(フランド王国では皇族という)の縁戚にあたり、先々代の時に臣下へ降りた家系の3代目とのことだ。ウルフォン公爵家は、王都から北にある広大な一帯(北部地方の約半分)を治めている貴族家の当主であるとのことだ。


 元々、皇族の血筋ということで、中央政府にも太いパイプをもっており、門閥派貴族達や原理主義の軍官、内官からの支持も得ており、有力大貴族の筆頭といってもよいだろう。そんな大貴族家から、次の国王陛下候補の筆頭 第一王子へ娘が輿入れすることにならば、将来、岳父(舅)として国を牛耳れる立場になる。


 第一王子がそのまま国王になれば、自身が国王になれなくても、権勢をほしいままにできるため、政敵の第二王女、第三王女は邪魔でしかない。


 それと、法務大臣は、原理主義にそこまで染まっていないが、元々第一王子派であったため、派閥の実力者のウルフォン公爵に盾突けるほどの気概もなく、逆らえないのだろう、というアリアさんの話だった。


 運が良い事に、ウルフォン公爵は今王都の公爵家の屋敷にいるらしい。


 魔獣狩りで国が混乱しているときに、王都を離れる愚は犯さないということか。たぶん支配地の北部地方では、いつでも兵を出せるように、準備させているのだろう、と想像した。






 『さて、この2日でなにをするのじゃ?主殿よ』


 エクスがアリアさんの話を聞き終わり、辞去しようとして監禁部屋を出た直後に聞いてくる。


 『魔王ゲファルナートよ。我は主殿ではない。異国の大貴族ゲファルナ卿よ』


 『クッハッハッハッハ。早速、ノリがよいではないか。主殿は。しかし、我と違い、人間の時間は有限じゃぞ。それと我のことを昔の名で呼んでくれるな』


 あれ?真面目にエクスは、昔の名前で呼ばれるのを嫌がっているのか?


 『世界中を恐怖に陥れた恐怖の魔王、ゲファルナート様なんて言われると、照れるではないか』


 ,,,,,,,嫌がっていたわけではなかったようだ。


 『まずは、目に見える手駒がほしい。この際だから、王都の地下組織ノーフェースを組織ごと乗っ取り、パルスキーの赤獅子会をそこに合流させ、俺が自由に動かせる実行部隊にする。次に、ウルフォン公爵に一旦矛を納めさせ、アリアさんとシルフェさんの身柄を解放させる。そうすれば、法務大臣、第一王子も身動きがとれなくなる。今回は2日しか時間がないから、あまり手がないのは致し方ない。それ以上時間をかけるとアリアさんもシルフェさんも精神的にまいってしまうから』


 『公爵を亡き者にするのではないのか?』


 『今回の目的は、あくまでアリアさんとシルフェさんの身の安全の確保までだ。ウルフォン公爵は、門閥派や大臣をつかって国王を動かせる実力者みたいだから、いきなり殺したら、フランド王国が大混乱になっちゃうかもしれないからね。今後、力を徐々に削いでいき、将来、排除する選択肢は残すけど、今はそこまでは必要ないと思う』


 『なるほどのう。実力者がいなくなると国が荒れるか。人間社会らしいのう』


 俺の考えに、妙にエクスは感心していたのが妙に新鮮だった。






 「お前で最後だな」


 俺は早速王都のスラム街へ行き、片っ端から地下組織ノーフェースについて聞きまくった。


 そしたら、俺のことを聞きつけたノーフェースの構成員が勝手に手向かってくるようになった。それでも、向かってくる「やつ」、または「奴ら」をすべて昏倒させ、アジトを聞き出すことに成功した。その後は、アジトに押し入り、中にいた30数人ほどを全員気絶させる。そして、最後の一人、おそらくボスであろう仮面の男に当身を当て、意識を刈り取る。


 部屋にした30数人全員に全能草をつかって、俺に絶対服従するよう暗示をかけ、ノーフェース制圧に成功した。


 『これでノーフェースなる仮面集団の制圧と洗脳が完了したのう』


 『あぁ。これで、明日の朝、いやもう今日の朝か。今日中にウルフォン公爵と話をつけることに注力できる。それから、明日中に、第一王子・法務大臣から、アリアさん、シルフェさんの身柄を引き取るスケジュールで進める』



 こんな流れで進めようと思う。


 【これまで】

 昨晩:アリアさん、シルフェさんを結界内へ保護完了。

 昨晩:ノーフェース制圧し、洗脳完了。 ←いまここ。


 【これからの予定】

 今日:ウルフォン公爵とアリアさん、シルフェさんへ矛を納めるよう交渉

 明日:第一王子、法務大臣と法的にアリアさん、シルフェさんを解放するよう交渉


 官僚の仕事らしくめでたく計画と期限が決まったので、ウルフォン公爵と面談して交渉しないとな。


 「魔獣狩り」の時に公爵の魔素を感じとっておけば、転移魔法で好きな時に移動できたのにと後悔するも、今地団太を踏んでも致し方ない。


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