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3.身も心も匂いも進呈されちゃうことのススメ

 王女からシルフェさんが投獄されているであろう地下牢の場所の説明を受ける。


 凶悪犯ばかりが収監されている地下牢のため、看守たちも凶悪で荒くれ物ばかりだという。


 シルフェさんのような可憐な美女が目の前にいたら、襲われて輪辱された後に殺されないとも限らないとのことだ。そのことを計算し、看守の暴走ということにして、シルフェさんを秘密裏に暗殺するのが、第一王子派の目的のようにも思える。


 第三王女の監禁されていた部屋のすみに、対物理攻撃、対魔法用のかなり丈夫な結界を展開し、王女にしばらく結界内で身を護っているようにいう。


 王女は素直に従い、結界に入ったのち、「アルフ君。シルフェのことを頼みます」と俺に丁重に頭を下げる。


 学生時代からの同級生とはいえ、自分の部下のために皇族が貴族の三男坊に頭を下げるなんて、なかなかできることではない。俺はその潔い王女の態度に好感を持ち、しばらくは目立たない程度には手を貸そうと思った。






 俺は、隠蔽魔法を自身にかけて、地下牢の廊下を進む。


 換気乏しい地下の牢獄だけあって、とにかく臭いがすごい。

 

 排泄物の臭いだけでなく、何かが腐った臭い、血や汗の臭い、下水の臭いなどいろいろな臭いが混じっている。


 ここまで強い臭さだと、いくらニオイフェチの俺でも心が萎える。


 暗い地下牢の廊下を進み続けると、他の囚人達の牢獄から少し離れた一番奥の凶悪犯用とも思えるVIP用の牢獄に、シルフェさんの魔素をかろうじて探知できた。やっぱり魔法を使えないようになんらかの方法で魔素を封じられているようだ。


 奥の方から、シルフェさんの叫び声が聞こえる。


 「下がりなさい。こんなことをして王国兵士として恥ずかしくないのですか!!」


 「クックック。元気のいい姉ちゃんだな。何時間泣き叫び続けるのか、今から楽しみだな」


 看守の一人が下品な笑い声をあげていた。


 俺は、急ぎ近づくと、シルフェさんは牢獄の中で看守2名にまさに襲われる直前の状況だった。


 シルフェさんは、首に魔法具「封魔の首輪」を付けられ、魔法を封じられていた。また、骨折が完治していないのか、右腕は布で首に吊るように固定され、右足も引きずりながら、看守たちに牢獄内の壁際へ追い詰められようとしていた。


 そんな状況で、身と操を護るためにできることは限られる。


 シルフェさんは、とっさに、牢獄の壁際にあった排泄時用の桶を左手で持ち上げ、右手をそえるように頭上まで持っていく。その後、中に入っていた自分の排泄物を頭からかぶる。そして、左手で顔全体と身体中に汚物を広げるように塗りたくる


 汚物が石畳の牢獄の床中にも飛び散り、周囲に悪臭を漂わせる。


 「クソっ。このくそ女が!」


 糞尿まみれになり、悪臭を放つシルフェさんを強姦するのをあきらめたのか、看守は、腹いせにシルフェさんの腹にケリをいれる。シルフェさんが「くの字」となり、牢獄の壁に突き飛ばされ「ウッ」とうめき声をあげた。その後、そのまま汚物まみれの床に崩れる。


 「次の身づくろいの日が1週間後にあるから、その直後に来てやる。せいぜい、きれいに身体を磨くんだな。汚くしてやがったら、看守全員の相手を24時間させるから覚悟しておけ!眠る時間なぞないと思え!」と捨て台詞を吐き、シルフェさんの牢獄を出ていく。


 俺は看守二人がシルフェさんの牢獄から少し離れるまで尾行した。


 頃合いを見計らい、俺は看守二人に接近し、首筋に当身を当てて、気絶させる。今度はうまく気絶させたようだ。牢獄のカギを看守から奪った後、二人の両眼球計4つをエクス本体のいる封印内へむしり取るように転移させた。


 俺のシルフェさんを穢そうとしやがって。眼球略奪の刑だ。


 怒り心頭の俺の頭の中に陽気な声が響く。


 『主殿よ。久しぶりの好物じゃ。感謝するぞい』


 『代わりに、甘味1か月分で相殺だからな』


 『それとこれと話は別じゃが,,,,,,まぁ仕方ない。甘味だけが続いても飽きるじゃろうから、8か月分毎日に甘味をまけておいてやろう』


 よかった。9か月分の甘味が1か月割引できた。






 その後、俺はシルフェさんのいる牢獄に向かう。






 俺はシルフェさんの牢獄の前にいる。

 シルフェさんは排泄物にまみれた汚い姿を見られたくないといい、俺に背中を向けている。


 「こんな汚くて臭い姿をアルフ君にみられたくなかったよ。でも、ここで会えたよかった。お願い。殿下は、アリア殿下がご無事なのか知っていたら教えて。お願い!」


 自分もボロボロなのに、第三王女のことを心配している。


 全く似たもの主従だなと呆れる。


 「今は第一王子派に監禁されている。専属の侍女たちも解任させられ、水や食事に毒を盛られ、病死に見せかけて暗殺されかけている」


 と俺は正直に答える。


 第三王女の危機を耳にした瞬間、背中を向けていたシルフェさんが、180℃向き直り、突然、汚物で濡れている床に、土下座して床に額をつけるほど頭を下げてきた。


 「アルフ君。こんなことを頼める義理はないのはわかっているのだけど、他に頼める人がいないの。殿下を,,,,,,アリア様を護ってください。こんな状況だけど、もしここから出られたら、私の身も心も、すべてをあなたに捧げます。だから、アリア様を救って下さい。お願いします。お願いします,,,,,,,」


 「ハー」と俺はため息をつく。


 主も部下も騙されやすいし情にもろい。

 こんな様子では、王権争いに勝つなんて無理だろうな、と呆れるが,,,,,,味方としては、正直嫌いではない。


 『エクス。どうしたらよいと思う?』


 『主殿よ。好きにするがよいぞ。自分の思う通りにな。我は楽しければなんでもよいのじゃ。ただ、王女っ娘と魔女っ娘ともに、主殿が助けなければ、ここで死ぬであろうな』


 『確かにここで手伝わないと、アリアさんとシルフェさんともに殺されるだろうな。王権争いに身を投じるならば、小役人の夢は、あきらめないといけないかな?』


 『いつものように、ローブと仮面で変装でもするのはどうじゃ?』


 『やはり、それしかないか。どこまで騙せるかわからないけど、ノーフェースとアルフレッドの二重生活で手を貸すことにするか』


 『決まりじゃな。良い判断だとおもうぞ。我も王女っ娘と魔女っ娘のことは嫌いではないしな』


 『エクス。背中を押してくれてありがとう。やはり頼りになるな。相棒』


 もとよりシルフェさんを見捨てる選択肢はないので、俺は覚悟を決める。


 「シルフェさん。わかりました。しばらくの間、協力しますので顔をあげてください」


 シルフェさんは、土下座したまま、糞尿まみれの顔を上げ、泣きながら「ありがとう、アルフ君。本当にありがとう,,,,,,,,」と繰り返し俺にお礼をいっていた。


 この美人の魔女姉さんは本当によく泣く。護ってあげたくなっちゃうじゃないか。まったく。


 ここに、俺とシルフェさんとで、パルスキーでの「代官の不正問題口出し無用及びお漏らし隠匿の盟約」、「魔技研究会仲介及び王女へお礼謁見と仕事お手伝いしちゃうね盟約」に加えて、三回目の「身も心も匂いもシルフェを進呈しちゃうね及び第三王女の完全護衛」の盟約が相なった。


 もちろん、魔法で縛ることはしないけどね。


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