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10.祭りは外から見て楽しむことのススメ

舞台のイメージは、中世から近世の西(の方)を参考にしていますが、「魔獣狩り」(鷹狩がモデル)・「陣立て」・「備隊」といった和のテイストをある程度いれさせていただいています。

 俺たちが王都に戻ってから、魔技閥、魔技研とシルフェさんたちは後始末に追われたようだ。


 今回、同行したハンターたちのチームは、フーバの妨害の共犯かどうかや、背後関係の調査の一環で数週間尋問を受けた。その結果、フーバとは無関係と判断され、無罪放免になった。


 ただ、リーダーの今回の不適切な人員手配を行った咎で、ルートン家を初め、魔技閥から出禁にされてしまった。6年間続いてきた事前調査のガイド役はお払い箱なってしまったそうだ。


 審問官の尋問から無罪放免になった後、リーダーとメンバーたちは、フーバの拘束・逮捕の件で、人選ミスをしたことの謝罪と、今回のタイミングで妨害工作を見破ってくれた俺に礼をわざわざ言いに来た。


 もしもっと後になってフーバの妨害がわかり、仮に、それが原因で魔獣狩りで悪影響が出た場合、フーバの妨害工作と関係なくとも、死罪となるか、一生投獄されていた可能性があったとのことだった。


 フーバの背後関係を王都の審問官が引き続き洗っているようだが、肝心のフーバは魔法で記憶にプロテクトがかかっているらしい。そのため、調査の進捗ははかどっていないとのことだ。


 王都の宮廷魔法師が数人がかりでプロテクトを解除しようとしているが、糸口がみつかっていないと耳にする。


 一方、ジェシカさんと魔技研幹部たちは、今回までの調査結果をもとに、魔獣の数・推定の強さの分布図・報告書の作成と6備隊(部隊)の配置案の検討を徹夜続きで行った。全員、目の下のクマをはり、やつれながらもなんかと期限内に提案書を作成させた。


 シルフェさんは第三王女に今回の顛末を報告し、第二王女共々、妨害工作の裏に潜む王国内の悪意(おそらく、王権争いで対立している第一王子派)を独自に調査しているようだ。ただ、フーバからも情報が取れないため、やっぱり調査の進捗はあまりないようだった。


 第二王女と第三王女の命でシルフェさんがあまり無理をしていないといいけど、と心配する。



 ということで、俺は、シルフェさんからの護衛の依頼も行政大学校 魔技研の一員としての魔獣狩り準備も無事終わった。


 魔獣の分布調査や備隊の配置提案には直接かかわっていないが、妨害工作をしかけてきたフーバを拘束し、王都の審問官へ引き渡すのに貢献した俺の評価が悪いわけはない(と信じたい)。


 3回生の研修先では、きっと希望は考慮されるはずだから、あとは成績を落とさず、適当に学校生活をエンジョイしようと心に決め、魔獣狩りとは距離を置き、いつも生活に戻っていった。






 そうこうしている間に、先日の事前調査から3か月が経過し、もうすぐ「魔獣狩り」が行われる。2日前から王都では、お祭り騒ぎとなっている。


 今回の魔獣狩りでは6つの備隊(部隊)のうち、VIPの第二王女、第三王女、第三夫人の子である第二王子、そして、第一王子派で王家と縁戚のウルフォン公爵4名が指揮官として参加することとなっている。ちなみに、ウルフォン公爵は財務閥とも関係が深いらしい。


 第二王女と王権を争っている第一王子は、2年前の魔獣狩りに参加したため、今回は自派閥のウルフォン公爵を送り出し、自身は辞退したようだ。一度参加すれば、次回以降は、任意参加でよいこととなるため、第一王子は、現在の責務遂行を優先したようだ。


 王位継承権暫定一位のため、無理に点数を稼がなくてもマイナスにならなければよい、という考え方なのだろう。その発想は、小者の俺も理解できるため、個人的には好感触に感じた。


 一方、第二王女はこの魔獣狩りで、貴族、内官、軍官へ能力をアピールし、第一王子を追い越す弾みにしたいはず。第三王女も、第二王女を支援できるよう、軍官、魔法師たちへ実力を示したいだろう。


 それと、王妃の子供ではなく、第三夫人の子である第二王子は王位継承権が低く王権争いに絡むことがないため、単に周囲に自分の存在を示すのが目的だろう。






 6つ備隊(部隊)のうちVIP4名以外の余った2部隊は、師団長、副師団長が指揮官として参加することとなる。


 誰が、どの配置(陣立て)で、どの部隊を率いるのかは、公平を期すため、魔獣狩り開催前日に国王陛下が決定するのが通常だ。決め方は、なんでも、通常、国王陛下が矢を放ち、それをもとに占い(くじ引き)で決めるのだとか。


 うーん。正直、どうやって矢を使って占うのかは、一学生にはわからない。


 魔獣狩り当日の朝、国民に対しても、魔獣狩りの陣立ては公表される。国軍の軍事訓練の意味もあるので、国威発揚を意図しているのだろう。


 当日の早朝に公表された内容を見ると、ほぼ魔技研の提案の通り、魔獣の数・強さが均等になるように、最前列1部隊、中央3部隊、後方2部隊となるよう、区画を割り当てられ、国王陛下の矢占いの結果、陣手立ては以下のように決まったようだ。





【魔獣狩りの陣立て】

           最前列:第三王女


中央左:第二王子/ 中央真ん中:師団長/ 中央右:副師団長


    後方左:第二王女 /  後方右:ウルフォン公爵






 『主殿は祭りに参加しないでよかったのかのう?』


 『祭りは外から見ている方が楽しめるんだよ』


 調査の護衛任務が終わった後は、もう面倒ごとは御免とばかりに、魔獣狩りイベントとは距離をおいていたが、実際に面識のある第三王女とシルフェさんによい成績を出してもらいたいものだ、と国民の一人として、心の中で王都から声援を送った。


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