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3.乙女の頼みを断れないなら、代わりに条件をつけることのススメ

 素人の俺に護衛の任を頼むのではなく、衛兵や軍官へ護衛を依頼しない理由があるのか聞いたところ、他の内官の派閥から、今回のことを騒ぎ立てられると、魔技研の事前調査業務を召し上げられるリスクがあるとのことだった。


 事前調査結果次第で、配置(陣立て)が決まる重要な調査任務のため、この役割を手放すことは魔技閥・魔技研としては絶対に避けたいとのことだった。


 それと、襲われた時の魔獣に出現の仕方に少し違和感があり、意図的に事前調査を妨害されている可能性があるため、あえて騒ぎ立てず、敵のしっぽを掴むため、慎重に調査をしたいという魔技閥上層部の意向があるようだった。


 このままだと、「そのうち死人が出ますよ」と思わず口に出しそうになったが思いとどまる。


 調査メンバー内に、魔獣専門のハンターを数人雇ってはいるが、これ以上規模が大きくなると外聞が悪くなるため対応に苦慮しているということだった。


 ハンターというと、パルスキーの元獅子の牙のアウトローたち収容組織、魔獣対策組織「赤獅子会」のような連中を雇っているのだな、と想像した。


「アルフ君。お願い。次回の調査は、ジェシカちゃんや幹部たちが行くそうなので、あなたの力で護ってあげて」


 とシルフェさんが口をはさんでくる。


 魔技研を紹介してもらった手前、シルフェさんに頼まれると俺は否とは言えないんだよな。それと、シルフェさんは、俺に幸を運んでくるニオイを漂わせているから、どうも俺はこの人に弱い。


 『クァッハッハッハッハ。まぁ、よいではないか。面白くなってきたな。主殿よ。娘っ子の頼みを断れないならば、条件付けするのも手じゃぞ』


 楽しみすぎだぞ。エクスよ。でも、条件提示はナイスなアイデアだ。「小役人のススメ」の一説にもあったしな。

 

 断れないなら、有利な条件を引き出すとしよう。


「シルフェさん。念のための確認ですが、以前約束した2つ目のシルフェさんの仕事を一つ手伝うということにカウントしてよいですよね?」


 と、俺が念押しをすると、シルフェさんは、苦笑いしながら、了解の意味でうなずく。


 ここで彼女がカードを切ってくるということは、やっぱり、これはかなり面倒な案件だな。


 さらに、いくつか条件を付けよう。


「引き受けるにあたり、いくつか条件があります。

 一つ、俺のやり方に干渉しない事。ただしシルフェさん、ジェシカさんへは求めに応じて情報は開示します。それと、

 二つ目が、万が一、他の内官・軍官派閥や貴族と揉めた場合は、第三王女殿下の懐刀殿、または魔技研究会代表殿の責任で事態を収拾する事。

 三つ目は、もし誰かの妨害活動が背後にあった場合で、俺が解決したとしても、俺の名前は伏せる事。

 そして最後に、俺が出した三つの条件について、魔法契約で縛ること、の全部で4つです」


 シルフェさんはジェシカさんの方をみて頷く。

 ジェシカさんも頷き言葉を発する。


「わかったわ。その条件、すべて受け入れます」


 すぐに、シルフェさんが、眼鏡出っ歯女子ことリアナさん含め、4人全員に契約魔法で縛るため、魔法を発動した。

 「今だ!!」とばかりに、シルフェさんが契約魔法を発動した直後に、俺は、周囲をうかがう探知魔法を、隠匿魔法を重ね掛けして展開した。


 魔法発動の直後は、魔法発動者の魔素が外気に放出され、他人の魔法の痕跡に気が付きにくい。そのため、シルフェさんに気が付かれず、俺の探知魔法で周囲に敵や不審者がいないか、調べようとするのにはベストなタイミングだ。


 探索魔法の結果、天井裏から使役魔法の痕跡を感じた。


 ネズミなどの小動物を使役して魔技研のサロンと応接室を調べているのだろう。


 シルフェさんが、全員を契約魔法で縛り終えた直後、ジェシカさんが俺に聞いてくる。


 「それで、アルフ君。事前調査の護衛計画は、具体的にどんなやり方をするつもりなの?」


 俺は、ジェシカさんにとっさに右手をかざし、発言を制止するよう合図を出す。


 同時に、かざした手と反対の左手で、隠し持っていたナイフを掴み、天井に向けて素早く放す。投げたナイフが天井を突き刺さり、そのまま「何か」の身体を貫いた感触が探知魔法を介して伝わってきた。使役していた小動物が死んだことで、何者かの使役魔法は解除された。


 魔法師は、大陸の国々含め、希少な存在のため、基本的には、素質があると認められると、国が見出し、奨学金や将来の条件のよい就職先などを餌に、魔術大学校などの専門教育課程へ進学させることにしている。

 

 なので、今回のように、使役魔法の使い手が動いているとなると、魔法が使えないであろう行政大学校の生徒のいたずらの線は消えた。


 え?俺?

 俺は魔法を使えない、、、、ことになっているから行政大学校にきているのだよ。


 俺がナイフを突然天井に放ったことに3人は驚いていたが、天井に突き刺さったナイフを伝って、ポタポタと小動物の血が床に垂れてきたことで、さらに驚き、全員目を見開いていた。


 それにしても、なんとなく、使役魔法の痕跡が、フランド王国の魔法の気配とは少し違うような気がした。


 『我も同意見じゃ。主殿よ』 


 エクスも、俺と同じ違和感を持ったとのこと。


 外国勢力の工作員が事前調査を妨害している可能性があり、やはり面倒に巻き込まれたことと俺はげんなりした。


記念すべき第40話となりました。


いつも読んでくださりありがとうございます。


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