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2.女子三人に囲まれるもハーレム的なニオイがしないときは避難することのススメ

 俺は今、女子3名に囲まれている。


 人生で初めての経験だけど、ハーレム感は全くない。

 正直、この面倒な展開から早く逃げ出したい。


 俺の向かいに魔技研代表のジェシカさんが座っている。

 今日もほのかに良い匂いが漂ってくるな。クンクン。


 ジェシカさんの隣には、第三王女専属魔術師のシルフェ姉さん。

 さちをもたらす匂いがする。

 二人の時に、またクンクンさせてほしい。


 そして、俺の隣には、眼鏡出っ歯女子のリアナさん。

 ちなみに独特な芳醇な香で嫌な感じはしない、という布陣となっている。


 リアナさんが代表を呼びに行くので、少しの間、そのまま「お待ち」していたら、リアナさんの先導で応接室の扉が開き、魔技研の代表ジェシカさんが入室してきた、、、、と思ったら、なぜか、どこぞの王女専属魔術師様まではいってきた。


 実に訝しい。

 

 俺はソファーから腰を少し上げて、いつでも逃走できるように身構える。

 なにか、俺の本能が告げている。面倒ごとのニオイというか、気配しかしない。


 ジェシカさんが、まず口を開く。


 「そんなに身構えないでよ。アルフ君。ところで、リアナとはもうお互い挨拶したかしら?」


 「はい。先ほど、ご挨拶させていただきました」


 と警戒感を出しながら、必要なことのみ答える。


 「魔技研は、知っての通り、議論を戦わせて優れた着想を生み出すことを旨としているわ。そのため、身分・出自に関係なく、優れた意見、アイデアを持っていて、発信してくれるメンバーを大事にしているの。リアナは平民出身だけど、努力家で素晴らしい才能をもっているわ。ぜひ上級生に対して敬意をもって接するようにして頂戴ね」


 ジェシカさんはじめ、魔技閥は、魔法・技術発展の前には、有能であることのみが正義で、才能至上主義という思想だと改めて理解した。どうりで「パン無駄」の俺が居心地よく感じる訳だ。


 「心得ています」


 と「当然ですよ」という意味で返事をしたら、「よろしい」とジェシカさんの声が聞こえてきた。


 少し雰囲気が和んだところで、


 「まずは、アルフ君。ソファーにちゃんと腰掛けなさい」


 とジェシカさんが苦笑いをしながら俺に言い、本題を切り出してきた。


 「実は、アルフ君にお願いあってきてもらったの」






 嫌なニオイがしたとおり、面倒ごとだった。


 ジェシカさんの話を詳しく聞くと、もうすぐ2年1回の一大イベント王家による「魔獣狩り」がある。王族の王位継承権のある王子、王女が参加することが慣例となっており、今年は第二王女、第三王女が参加する予定とのことだ。


 魔獣狩りは、王位継承権のある王族のお披露目と指揮権の研鑽、つまり、王権争いを演じるにあたり存在感をアピールすることが目的だ。そして付け足しになるが、国軍の軍事訓練の意味もある。行政大学校の2回生、1回生がその運営の多くを担い、国家運営能力を鍛えることも目的になっている。

 もちろん、学生側は中央政府へのアピールの絶好の機会だし、中央政府側は、有望な生徒の目星をうけ、青田刈りのチャンスでもある。


 ちなみに、魔技研は、魔法への見識が一般生徒よりも深く、また諜報技術の扱いが長けているため、毎回、各兵団・騎士団の配置(陣立て)の立案のための現地調査を任されているとのことだった。


 魔獣狩りが行われる現地を魔技研メンバーで事前に詳細な調査を行い、危険な魔獣生息地を避け、参加する兵団・騎士団がおおよそ均等に魔獣を狩れるように、魔獣の生息分布図と陣立ての提案を作成・中央政府へ提出することが期待されていた。


 参加する兵団・騎士団からすると、魔獣狩りの成果は、王家へ中央政府への大きな見せ場になるため、当日は殺気立った状況となる。獲物の大小で、不公平が少しでもあると、割り当てではない区画まで狩りにでてしまい、兵団・騎士団同士でもめ事の種にもなる。万が一、一頭も狩れない部隊がでると、陣立てが不公平だったと恨みを買うなどといった難しい役回りだ。


 そのため、魔技研が探知魔法や探索技術を駆使し、正確な魔獣の生息分布図の作成をこの3か月準備をしているところだという。


 直近の2回の現地調査で、突然、魔獣に襲われる被害が出ており、すでに2名が大けがを負う事件がおきているという。


 ジェシカさんが、シルフェさんへ相談したところ、パルスキーでの荒事も怪我人を一人も出さず、飄々と俺が捌いていたので、この件の処理に俺が適任だとの助言をもらったとのことだ。つまり、俺に魔技研調査メンバーの護衛役を頼みたいというので、呼び出させてもらったという趣旨だった。


 『誰かを護衛するとは、なんとも面倒な話じゃな。主殿よ』


 『まったく、俺が気があると思って、シルフェさんも余計な話をもってきてくれる』


 とエクスと二人で心の中で悪態つく。


 「アルフ君。なにか私に言いたそうな顔をしているけど?お姉さんに話してごらんなさい」


 冷たい笑顔をシルフェさんに向けられた俺は、無言で首を横に振るしかできなかった。


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