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地味に転生できました♪  作者: きゃる
第2章 私の人生地味じゃない!
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魔導王国入国審査

 泣き疲れて寝たせいか、夢も見ずにぐっすり眠れた。すごくスッキリして、爽やかな朝だ。

 朝の光がカーテン越しに入ってきて、少し眩しい。身体を起こして伸びをする。


「うーん」って…あれ?


 ベッドから少し離れた椅子には水色頭の物体が。

 って、まさか、レオン???


「ああ、アリィおはよう。よく眠れた?」


 眠そうな顔でこちらを見る義弟の顔には、小さい頃の面影が……じゃなくって、


「レオン、まさかとは思うけど、ここでそのまま???」


 今はもう私より遥かに背の高い義弟は、椅子から立ち上がり伸びをしながら答える。


「ああ慣れてるから。座ったままでも寝られるよ?それより今日は入国審査があるから、早めに仕度しないとな。」


「疲れが取れてないんじゃないの?大丈夫?」


「アリィこそ、昨日は大変な思いをしたけどもう平気?」

 レオンが近付き、私の顔を覗き込む。


 昨日のことって……ヴォルフの行動を思い出して、赤くなる。

 あ、そっちじゃなくってレオンが心配しているのは手配犯の方か。


「あ、別に大丈夫。すっかり忘れてたし。」


 私にとっては手配書の男よりも、昨夜の義兄の告白の方が大問題だった。


「はぁ?ま、それならそれで良いけど。夜中にうなされることも無かったみたいだし。」


「心配してくれてたの?優しい良い子ね。レオン君、大好き〜〜!」

 昔のように抱きつくことはしないけれど、水色に染めた弟の髪を撫で撫でする。


「じゃ、俺は着替えて先に下に行ってるから、準備できたらすぐに来て。」


「わかった。ありがとね、レオン。」


「ああ」と応えて出て行く彼の耳が少し赤い。久々に子ども扱いされて照れたのかしら?


 冷たい水で顔を洗うと、着替えて出発の仕度を整えてから、私も下へ降りて行った。





「おはよう、もう大丈夫?」

 朝からお茶を飲んでくつろいでいるガイウス様は、今日もとても爽やかだ。


「ありがとうございます。お陰様でぐっすり眠れました。」


「え、ぐっすり?あ…ああ、そう。それは良かった。」


 ちょっとびっくりされてしまった。

 私何か変な事言ったっけ?


「アリィ、おはよう。」

 隣の人物が挨拶してくる。


「おはようございます。おにぃ…ヴォルフ。」

 ぎこちなく声が震えなかったかしら?

 昨日の今日で顔を合わせるのは、何となく変な感じがする。


 レオンは向こうでみんなの分の食事を用意してもらっている。私も手伝わなければ!!


 その場をそそくさと立ち去る。


 朝食の席を取り囲むと、頃合いを見計らったようにレイモンド様がいらした。


「おはよう。みんな揃っているようだね。食べながら話しようか。」


 ということで、朝の会議が始まった。




 国境を越えるにあたって、入国審査というものがあるらしい。リンデルは魔導王国なので、魔法によって危険物や危険人物を感知するんだとか。

 それなら別に、髪を染めなくても良かったんじゃ…と思ったけれど、レイモンド様曰く


「向こうも魔法をずっと使い続けているわけではないからね。人って見た目や第一印象が大事でしょ?」


 とのことだった。

 ま、確かに他国まで絵姿が出回っているという噂の『近衛騎士団』の面々は、多少なりとも変装しといた方が良いのかも。

 あれ?でもそれでは私が男装しているのって一番あやしいんじゃあ?


「ああ、それなら大丈夫。私の趣味って事にしておくから。君の今日の役回りは私の愛人ね?それなら一緒にいても怪しまれないし、私が護衛もしてあげられるし。」


「いえ、そんなポスト要らないんですけど。女性としてまともに入国したいです。それに護衛ってお忙しいレイモンド様のお仕事では無いのでは?」


「んー?今日は他にする事も無いから、私が一番暇なんだよね。あと、男装しといた方が危なくないし何かと…」


「何かと?」


「面白そうだから。」

 断言すると、クスクスと笑った。


 周りは呆れているのか何も言わない。そうだった、この方こんな人だった。でもおかげで、昨日の事を何も咎められずに済みそうだ。


「ところでアリィちゃん。昨日ヴォルフと何かあった?」

 え、そっち?


「えと、あの、その……。」

 途端にオロオロして挙動不審に。

 何て答えれば良いんだろう?


「別の国に行く事だし、お互いに名前で呼び合う方が良い、と話していただけです。」


 うわ、お兄様涼しい顔してサラッとそんな嘘を。でも、名前で呼んでというのは本当の事だから、嘘にはならないのかしら?


「ふーん。そういう事にしといてあげようかな。

 でも、確かにこれからは本格的に『旅一座』として振る舞うから、敬称は要らない。特にアリィちゃん、という呼び方はまずいから、何て呼べばいいかな。もしかして、アレク?」


 そう。私はあの人にそう呼ばれていた。

 でもそれは、私と彼だけの特別な呼び名だった。

 幼なじみのリオンはいつも慈しむように私をその名で呼んでいた。

 あまり使いたくはない。でも…


 でも、それでは私のわがままになってしまう。頷こうとした時、声が割って入る。


「アリィだから、『アロ』で良いんじゃないんですか?どうせ従僕扱いだし。」


 レオンだ。ひどい事を言っているようだけど、助けてくれている。


「『アロ』ね。ペットみたいで可愛いから、ま、いいかな。私はレイ、ガイウスはガイ、ヴォルフはヴォル、レオンはレオ。ロバートは…。」

 レイモンド様が珍しく考え込んでいる。


「彼は変装によって性別も変えてくるから、その時になったら指示を出すよ。」


 確かに、おっしゃる通りです。女性の時はちゃんと女性らしい名前で呼ばないと怒るし。



 かくして簡単な会議の後、私達は国境を越えてリンデルに入るべく、宿を出立した。



  *****************



 山道を迂回して、昼過ぎにはリンデル側との国境へと到達した。国境の壁…というより魔障壁が張り巡らされたそこは、やはり魔導の国なのだと感じさせられる。

 通行できる門は関係者用の通用口を除くと一箇所しかないので、貴族や商人、旅支度の者達が長蛇の列を作り、今か今かと入国審査を待っている。


 まるで、遊園地の人気アトラクションに並んでいる大人の列みたい。ただし、馬や荷馬車付きの。


「王族や有力貴族として入る時は、いつもフリーパスなんだけどねぇ。今日は夕方までに入れれば良い方かな?」

 愛人役?のレイモンド様がおっしゃった。


「え?そんなに??」


 リンデルの入国審査は厳しいようだ。


いつもありがとうございます。

風邪を引いてしまいました。

更新ペース落とします。m(_ _)m


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