もう兄とは呼ばせない
ヴォルフがあまりに鬼畜だったので、改稿しましたf^_^;
「手当てがまだだろう?交代だ。」
義兄のヴォルフはそう言うと、薬一式を持って中に入って行こうとする。
「くっっ。でも、アリィは…。」
アリィはまだ、傷ついている。
「何があったかは、ガイウスに聞いた。だから大丈夫だ。私も先ほどの事をアリィに謝らないといけないし。」
そう言うと、俺の肩をポンと叩いて、ごく自然に優雅にドアを開けた。
アリィに、「常に警戒してドアのカギはかけておけ」って言っておくの忘れてた…。
後悔しても、もう遅い。
ドアの隙間から見えたのは案の定、驚いて息を呑むアリィの顔。
ドアは俺の目の前で、全てを断ち切るかのようにパタン、と閉じられた。
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「お兄様!!」
あっいけない!つい習慣で、兄と呼んでしまう。さっき「妹ではない。」と、言われたばかりなのに…。
ヴォルフはそれに対して何も言わずに、悲しそうに微笑んだ。
「アリィ、さっきは済まなかった。帰って来ないかと、さらわれたのではないかと心配のあまり動揺していたんだ。」
私の頰を叩いた事を言っているのだろうか?
でも、保護者が悪い事をした子どもを叱るのは当たり前だ。
服を破かれて怖い思いもしたけれど、ガイウス様のお陰で助かったから、私に特に被害は無い。それよりも、お兄様にそんな顔をさせてしまった自分の行動が悔やまれる。
「いいえ、私がいけなかったんですもの。
ごめんなさい。お兄様。」
今度こそ聞き届けてくれそうだ。きちんと謝っておく。
「………ではない。」
呟く声が低過ぎて、よく聞き取れない。
「え?」
「兄ではない。」
「!」
「私はお前の、兄ではない。」
「そんな!!」
やはり、お兄様は許して下さっていなかった。軽率な行動を取った自分勝手で愚かな私を、もう妹とは思いたくないんだ。
さりげなく薬を棚に置き、怖い顔をしてこちらに近付く兄…ヴォルフ。思わず後ずさった私は、壁ぎわまで追い詰められてしまった。
トン、と背中が壁に当たる。
ヴォルフが壁に両手をついて、水色の瞳で私を真剣に見つめる。
怖い…。
壁とヴォルフに挟まれる形になった私には、もう逃げ場がない。
助けて!
と、懇願するように彼を見上げるが、もう効果は無いようだ。
ヴォルフは口の端を上げて形だけの笑みを作ると、作り物のような整い過ぎた顔をこちらに寄せてきた。
「え?」
今、何が起こったんだろう?
唇に触れたものは、何?
ヴォルフは苦笑すると、さらに唇を重ねようとしてきた。
な…ちょっと待って!!
ストップ、ストップ、ストーップ!!!
ドンッッ
再び重ねられる前に、ビックリして思いっきり突き飛ばす。
両手で唇をガードし、プルプル震える。
自分でも、顔が青から赤になっているのがわかる。
「ハッ。」
黒髪をかきあげる姿も絵になるんですが、そんな事ではごまかされません。
「こういう事だ。もうお前を、妹だとは思っていない。一人の男として見て欲しい。」
思考、一時停止…。
思いもよらない言葉に、頭が真っ白になる。
………再起動。
何ですって〜〜!!!!
何でなんだ?何でそうなった?
動揺しまくるあまり、私はまともに物が考えられない。
今日の一件が、そんなに彼にショックを与えたのだろうか?優しかった兄は、目の前で豹変してしまった…。
口をパクパクして焦る私を見て、ヴォルフが笑う。あ、いつもの笑顔だ。
「お兄様…、何で?」
ついクセで、そう呼んでしまう。
途端にヴォルフの顔色が変わる。
「何で?
お前をずっと大切にしてきた私に、今更それを聞くの?
どこの誰ともわからない者にお前を攫われそうになって、私がどんな思いでいたかもわからないとでもいうのか?」
「ごめんなさい。でも…。」
「でも?だって?
お前はいつもそうだ。いつも自ら危険な所に飛び込んで、残された者の気持ちを考えない。何度も死にそうな目にあっているのに、心配する周りの心などお構い無しだ。
よく考えるといい。
自分がどう、振る舞えば良いのか。
自分がどう、周りに見えているのか。」
兄…ヴォルフはそう言って、出て行こうとする。
が、最後に振り返ってこう言った。
「さっきの事は謝らない。旅の間、考えておいてくれ。」
ドアを開けて立ち去る兄を、壁に寄りかかったままの姿勢で見送る。
罰を、与えられたのだろうか。
確かにお兄様の言う通り、私は自分のことばかりで、周りがよく見えていなかった。
旅に出る時も、自分の都合を優先して、優しいリオンを苦しめてしまった。
これから私は、どうすれば良いんだろう。
どうすればみんなにまた、認めてもらえるの?
頭の中に答えの出ない問いを抱えたまま、私はゆっくりと、膝から床へ崩れおちていった。
ご迷惑をおかけしましたm(_ _)m
改稿前の変な二人は忘れて下さい…。




